塾の開業で成功するポイントは?教材や売上・失敗理由まで徹底解説

今回は学習塾の独立・稼ぎ方について挙げてみたいと思います。

街中には多くの学習塾があり個別指導や集団指導・パソコン映像の塾など、それぞれの特色があります。

昔と比べると学歴重視の人は少なくなってきている気もしますが、それでも子供が教育に遅れを取らないように塾に通わせてあげたいという親御さんは多いものです。

少子化が進むに連れ、塾の業界は今後は縮小傾向になる事も予想されますが、それでも年々堅調に業績を伸ばしている学習塾も存在します。

また勉強に励む子供や学生さん達を応援してあげる為に学習塾を開業したいと考える人もいるでしょう。

今回はそんな学習塾の開業に触れてみます。

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塾の開業に資格は必要?

塾の開業に資格や許可は必要なのでしょうか。

結論から言えば、塾の開業には特別な資格や許可は必要ありません。

自宅で塾を始めることも出来ます。

もちろん学校の先生のように、教育免許が必要な訳でもありません。

そのため誰でも自由に学習塾を開業する事ができます。

 

ですが学習塾に限らず、税務署への開業届は提出しておいた方が良いでしょう。

税務署に対して「個人事業の開業・廃業等届出書」を開業後一か月以内に提出する必要があります。

開業届を提出する事により青色申告ができたり屋号の口座が作れるといったメリットがあります。

もし開業が決まった際には早めに提出をするようにしたいですね。

 

また確かに学習塾開業には資格は必要ありませんが、それ以上に必要となるのは「教える技術」と「コミュニケーション力」です。

一流大学を出ていても教えるのが下手な講師はたくさんいますし、どんなに優秀でも生徒さんとコミュニケーションが上手く取れなければ優秀な講師とは言えないでしょう。

求められる塾講師は、決して資格や学歴ではなく、生徒にわかりやすい指導をしてくれて成績を上げ、希望校に合格させてくれる講師です。

塾を開業する際にはまず生徒さんをきちんと教えられるだけの講師人材が揃っているかどうかを見直してみましょう。

 

塾を開業するための準備は?

学習塾を開業するためには前もって準備をしておく必要があります。

ここでは学習塾を開業する前の準備を簡単に挙げていきます。

 

①コンセプト設計

まずは自分がどのような学習塾を開業したいのかイメージを固める事が大切です。

  • 経営ビジョン
  • 指導方法(個別・集団等)
  • 進学型か復習型か
  • 月謝・価格帯
  • 授業時間
  • カリキュラム
  • 生徒によっての学力
  • 生徒数
  • 開業エリア
  • 使用する教材
  • 保護者との繋がり
  • 教室レイアウト

具体的に自分が開きたい学習塾のコンセプトを明確にし、他校との違いを明確にアピールします。

②物件探し

学習塾を開業するには物件探しが必要です。

現在ではオンライン学習等を進める塾もありますが、教室を構えて講義をする塾がまだまだ一般的です。

塾向けの物件探しをする上では、近隣にどれくらいの学校があるか・競合する塾の数はどれくらいか・利便性やアクセスの良さはどうか・帰り道の明るさ等を想定して物件を選定していきます。

幸いにも、路面店等が主となりやすい飲食店等と比較すれば、学習塾のテナント候補となる物件は数多くあります。

個人の学習塾のテナントとしては、10~15坪程度が一般的かと思います。

二等~三等地も含め、教室に合ったテナントが見つかるまで根気強く物件探しをしましょう。

③備品の用意

物件が決まっても、学習塾を開業するには必要最低限の備品等が必要です。

例えば机・椅子・パーテーション・教材・PCなど、指導方法も視野に入れて選ぶようにします。

また基本的な備品だけでなく、教室の雰囲気を整えるための世界地図や時計・年表など必要なものを準備します。

学習塾は他業種と比較しても初期投資額が低いのが利点ですが、備品を揃えるとしても中古品やオークション等も含めて長く使用できるものを選ぶようにしましょう。

④講師の確保

塾を開業する際には講師も確保しておく必要があります。

自分一人で教える分には必要ありませんが、ある程度の生徒数や規模になってくると講師の雇用も視野に入れなくてはなりません。

特に集団講義ではなく個別指導の場合には、それだけ講師の人数も必要になってきますし、自分に苦手科目がある場合にはその科目だけ他に講師を雇うといった方法もあります。

また雇用形態として学生アルバイトでも良いのか、社員を雇うのか等も検討していきます。

講師によって生徒間の評判が変わることも多く、塾の集客力にも繋がる部分でもありますので、慎重な人選が必要です。

⑤生徒集め

学習塾を開業するのに最も重要なのが生徒集めです。

現在ではどの塾でも生徒さんの獲得に力を入れており、特に知名度の低い個人の塾は生徒さん集めに苦労する事でしょう。

学習塾は近隣エリアから通う生徒さんが多い事から、募集方法としては昔ながらの新聞折り込みやチラシ配布といった方法が一般的です。

最近ではWEB利用の塾も増えてきていますので、HPやSNSを利用した集客も効果的でしょう。

また生徒集めとして大きいのが口コミ波及です。

特に仲の良い生徒同士が同じ塾に通うようになったり、保護者の評判から生徒が集まっていく場合もあります。

生徒集めは塾経営において肝になる部分ですので、効果的な集客方法を検討しましょう。

 

塾の開業資金はいくら?

塾の開業資金はいくらくらい必要になるのでしょうか。

ここでは小規模な学習塾を例にして、シュミレーションとして開業資金を考えてみたいと思います。

 

 開業資金内訳

  • 物件取得費:72万円(面積:10坪/ 賃料9万円×8カ月で仮定)
  • 内装費:100万円(坪10万円。細かい部分はDIY)
  • 看板代:15万円
  • 学習教材費:20万円
  • 生徒募集折り込みチラシ:30万円(チラシ5円×5万部×/デザイン・印刷含む)
  • 講師求人費用:20万円(求人誌掲載費)
  • HP開設費:10万円
  • 空調設備:設置済
  • 机・椅子 (8セット):16万円(2万円×8セット=16万円)
  • コピー機:30万円(中古)
  • PC×2台=10万円
  • プリンター:3万円
  • ホワイトボード:2万円
  • 本棚:1万円
  • CDプレイヤー:2万円
  • 電話・FAX:5万円
  • タイムレコーダー:1万円
  • 雑費・諸経費:3万円

 

開業資金内訳 金額
物件取得費 720000円
内装工事費 1000000円
看板代 150000円
学習教材費 200000円
生徒募集折り込みチラシ 300000円
講師求人費用 200000円
HP開設費 100000円
机・椅子 160000円
コピー機
300000円
PC×2台 100000円
プリンター 30000円
ホワイトボード 20000円
本棚 10000円
CDプレイヤー 10000円
電話・FAX 50000円
タイムレコーダー 10000円
雑費・諸経費 30000円
合計 3390000円

 

シュミレーション上では、3390000円の開業資金が必要という計算になりました。

 

塾開業の場合、講義する生徒の人数や指導形態によっても必要なテナントが異なりますし、内装業者を入れるのであれば開業資金は更にかかります。

また特に開業前の生徒募集や講師募集にはコストがかかる為、広告費は多めに計上しておいた方が良いかもしれません。

他業種と比較すると塾開業の初期投資額はさほど高額な方ではありませんが、開業前には綿密な事業プランが必要と言えます。

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個人塾を自宅で開業する場合の注意点

個人塾を自宅で開業しようとしている方もいるかもしれません。

確かに自宅開業であれば賃料もかからず、固定費を削減できるため利点もあります。

ですが個人塾を自宅で開業する際には幾つかのデメリットもありますので、幾つか挙げてみます。

 

自宅住所を公表できるか

例えばHPやチラシで広告をする場合、教室の住所を公表するケースも多いかと思います。

個人塾を自宅で開業した場合には、自宅の住所を掲載する事になります。

経営者が男性であればさほど気にならないかもしれませんが、女性の場合にはセキュリティ上の理由等から自宅住所の公開を控えたい方もいるでしょう。

 

プライベートとの区別

個人塾を自宅で開業する場合、仕事とプライベートの区別が付きにくくなります。

私生活でのメリハリをつけにくい事もありますし、時間外に生徒が相談に来ることもあるでしょう。

自宅で開業をするとプライベートとの線引きが曖昧になり、ストレスが溜まりやすくなる事もあります。

 

集客力の弱さ

あくまで立地にもよりますが、自宅の場合には集客力が弱まるケースも多々あります。

住宅街等で視認性が悪かったり大きな看板を設置できない・駅から遠く利便性が悪いなど、集客力に影響が及ぶ可能性があります。

特に大手の塾などは駅前に位置している事も多く、個人塾がそれに対抗するには立地以外の強みが必要です。

 

生活感

個人塾を自宅で開業した場合、どうしても教室に生活感が出てしまう事もあります。

飲食店やサービス業でもないので内装や雰囲気にはさほど拘る必要がないかもしれませんが、それでも生徒さんの中には気にする子もいるかもしれませんし、保護者が来た際に生活感丸出しというのはどうかとも思います。

自宅で開業する場合には生活感の排除という点も考慮しておいた方が良いでしょう。

 

家族の理解

あなたが個人塾の開業を希望したとしても、家族の理解も十分に得ることが必要です。

特に自宅での開業の場合には生徒さんと家族が顔を合わす機会もあるでしょうし、保護者との付き合いもあります。

独りよがりにならず、まずは家族の理解・協力を得ることから始めましょう。

 

建物規約

戸建てではなくマンションやアパートで開業を希望する場合、建物の管理規約等に引っかかる事も考えられます。

また規約で問題がなかったとしても、頻繁に建物内に生徒さんが出入りする事について、周囲から苦情が入る可能性もゼロとは言えません。

建物のルールを始め周辺住民の理解を得られるかどうかについても検討しておきましょう。

 

塾の開業後の売上・利益は?

塾を開業後の売上・利益はどれくらいを見込めるのでしょうか。

ここでは参考にシュミレーションとして売上・利益を考えてみたいと思います。

 

 売上条件

  • 生徒数:30人(中学生対象)
  • 集団指導(入会金なし)
  • 月謝:20000円(生徒一人あたり)
  • 講習費:春季20000円/夏季30000円/冬季20000円(生徒一人あたり)
  • 月謝:600000円(2万円×30人=60)
  • 講習費:175000円(夏・冬・春の合計=7万円。7万÷12カ月×30人=175000)
  • 教材費:60000円(教材2000円×30名)

 

 経費条件

  • テナント賃料:10万円(面積:10坪)
  • 人件費:292250円(売上の35%)
  • 教材仕入れ:42000円(教材原価1400円×30名)
  • 広告宣伝費:83500円(売上の10%)
  • 水道光熱費:25050円(売上の3%)
  • 雑費・諸経費:16700円(売上の2%)

 

売上項目 金額
月謝 600000円
講習費 175000円
教材費 60000円
合計 835000円

 

経費項目 金額
テナント賃料 100000円
人件費 292250円
教材仕入れ 42000円
広告宣伝費 83500円
水道光熱費 25050円
雑費・諸経費 16700円
合計 559500円

 

[売上合計] 835000円 ー [経費合計] 559500円=275500円

シュミレーション上では275500円の営業利益が見込める可能性があります。(シュミレーションであり実際の収支とは異なります)

 

塾経営においては生徒数が売上に直結し、生徒数が順調に増えていけば売上も安定していく傾向があります。

また近年ではスマホやPCを利用した学習塾等も多くなっており、どれだけ生徒が学習しやすい環境を整えてあげられるかも大切です。

塾の経営では生徒や保護者の口コミ・評判も鍵になる事から、一つ一つの授業を分かりやすく質の高い授業にする事が求められます。

 

塾で使用する教材はどうする?

塾を開業するにしても、生徒さんが使う学習用教材がなければ学習は進みません。

学習塾を開業するのであればその教材の仕入れも検討する必要があります。

フランチャイズであれば本部が教材を買うこともありますが、個人で塾を開業する場合には自分で仕入れていく必要があります。

塾が教材を購入するルートとしては以下のような方法があります。

  • メーカー(出版社)から直接購入する
  • 代理店(取次会社)から購入する
  • インターネット等で探して購入する

 

塾で教材を購入するとなると、現実的なのは代理店(取次店)から購入する方法です。

中にはかなり多くの教材会社の本を扱っている代理店もありますので、塾として登録をすればネットからでも注文する事ができます。

中には出版社から直接購入しないといけない教材も一部ありますが、多くの教材は代理店経由で購入できるでしょう。

また会社によっては見本やサンプルを送ってくれる所もあります。

以下では塾専用教材を扱っている業者さんを幾つか挙げています。

  • 中央教育研究所
  • 日本教材出版
  • 育伸社
  • 教育開発出版

 

ただし注意しなければいけないのは生徒さんに合った教材かどうかという事です。

教材を発注しても生徒さんが希望する内容からかけ離れたものだと、定着率に影響が出る可能性もあるでしょう。

学校の教科書に沿っていない教材や個人指導向けの教材・進学塾向けなど、様々な教材がありますのでよく中身を把握してから購入するようにしたい所です。

 

また教材を仕入れる場合においても、売上の何%まで仕入れ費として計上するのかという問題もありますし、生徒さんへの教材費で利益を乗っけるのかどうかという点もあります。

生徒さんの事を考えてベストな教材を仕入れていくようにしたいですね。

 

個人塾の開業が失敗する理由とは

昨今では多くの学習塾が廃業しています。

特に個人塾の廃業は目立ち、個別指導塾等は伸びている所もあるものの、多くの塾が厳しい状況に立たされています。

今後は少子化の影響もあり市場としても縮小傾向にあると見られています。

 

まず個人塾の開業が失敗する理由として、当然ですが競合塾の存在があります。

特に大手では優秀な講師陣が多数揃っており、教室の立地も一等地に構えている事も多いものです。

また生徒を合格させるためのカリキュラムが完成されており、生徒数も多い事からライバルもでき結果として合格率も高まります。

その他にもテキストからプリント教材や試験対策など、過去のデータや経験からノウハウが凝縮されています。

 

そのため個人の塾が授業の質や価格で大手に挑むのは至難の業です。

個人塾ならではの強みを活かして開業をしなければ生き残っていく事は難しいでしょう。

例えば個別指導の徹底や生徒さんへの面倒見の良さ・月謝が大手よりも安い・実績のある塾長がいる等、個人の塾に通うだけのメリットを設けてあげる事が大切です。

 

また当然に生徒さんを集客できなければ塾は成り立ちません。

個人塾が生徒さんを集める方法としては、例えば以下のような方法があります。

  • チラシ(ビラ配布)
  • 新聞折り込み
  • 看板(認知度アップ)
  • お店に広告・冊子を置かせてもらう
  • ネット広告(リスティング等)
  • 授業の無料体験(お試し)
  • SNSの利用
  • HP・ブログ
  • 口コミ

ですがこれらの事を全てやっても、中々生徒さんが集まらないという塾もあるようです。

個人的には塾の開業においては口コミ波及の効果が強いと思いますので、日頃から生徒さん一人一人に質の高い授業を行っていく事が大切なように思います。

 

またせっかく苦労して生徒さんを集めたとしても、肝心の講師陣のレベルが低ければ意味がありません。

レベルの低い講師の割合が多いと、やがて生徒さんは他の塾へ移っていきます。

そうなればいつまで経っても売上は安定せず、持ち出しの状態が続くことになります。

生徒さんの指導だけでなく、講師陣のレベル強化も併せて行っていきましょう。

 

また教育情報というのは毎年のように変更されます。

出題傾向も学校ごとに変更されていきますし、出題範囲も学校ごとに異なりますので定期的にチェックしていかなければなりません。

特に大手校ではこの点には注視しており、常に出題範囲や法改正に敏感になっています。

個人レベルでこの辺りの変化にどこまで調査していけるかという点も課題です。

 

学習塾の開業まとめ

学習塾の開業について幾つか挙げてみました。

学習塾は現在下降気味の所が多いかと思います。

学習レベルの低下・合格難易度の低下・人口減少・独学者の増加など、様々な理由により塾の生徒獲得は増々難しくなっていくでしょう。

また資本力の高い大手校があるからには、個人塾ならではの強みを活かして運営をしていく必要があります。

その時代に合った学習方法や生徒の募集が求められるのかもしれませんね。

それでは今日はこの辺で。

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