不動産屋の独立・開業は儲かる?資格から集客まで成功のコツを解説

今回は不動産屋の独立・開業について挙げてみたいと思います。

不動産ビジネスはその形態だけ見れば儲かり易いモデルという事は言えます。

在庫を抱えない・低資本で開業可能・人件費も1人でやる分にはかからない等の利点があり、特に商品在庫を抱えないという部分では大きなメリットと言えます。

不動産業者はレインズというデータベースにて業者間で情報共有しているので特別な在庫を抱える事もありません。

しかし参入障壁が低い分やはり不動産開業者は多く、全国には12万を超える不動産業者がおり、その中で勝ち抜いていく事は簡単ではありません。

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不動産屋で独立・開業するには?

不動産屋で独立・開業する際にはどのような手続きが必要になるでしょうか。

以下に順番に挙げていきます。

 

①事務所

不動産業を開業するには事務所が必要となります。

テナントを借りても良いですし、条件を満たせば自宅開業も可能です。

用意した事務所の所在地を管轄する都道府県で宅建業の免許申請をする事になりますので、事務所の設置は必要です。

不動産開業時には主に以下のような場所を事務所として検討できます。

  • 店舗・事務所
  • 自宅
  • レンタルオフィス(難しい)

 

一般的には店舗や事務所を借りて独立開業する方が多いですが、自宅等でも条件を満たせば開業は可能です。

レンタルオフィスや自宅開業のハードルが少し高めなのは、その要件を満たすことが難しいからです。

例えば自宅であれば、専用の出入り口がある事や居住スペースときっちり分けられている事が必要となりますし、レンタルオフィスであれば他法人と共有していない専用の出入り口があり、室内もきちんと間仕切りされているといった要件があります。

特にレンタルオフィスの場合には出入口が共有(1つのみ)となっている所が多いので、宅建業の開業は中々難しいと言えるでしょう。

 

②会社の設立

不動産業を開業する以上は、個人で開業するのか法人として開業するのかも選択する必要があります。

特に法人として独立開業をする場合には多少手間も時間もかかりますし、取引における制限も異なってきます。

不動産業の独立開業において、個人と法人の違いを簡単に挙げると次の通りです。

個人

  • 開業時の手間がかかりにくい(税務署への届け出程度)
  • 開業時の経費があまりかからない
  • 倒産してしまった場合には個人資産も債務の対象になる

法人

  • 社会的信用が高い
  • 税制上のメリットがある
  • 倒産した時のリスクも限定的
  • 開業時の手間・経費がかかる

 

長期的な運営を考えると法人経営の方が有利に思いますが、開業当初は個人経営として初めて、売上等の規模に応じて法人に切り替えるといった方法もあります。

経営形態はそれぞれにメリット・デメリットがありますので慎重に検討をするようにしましょう。

 

③宅地建物取引士

不動産屋を開業するには、事務所に専任の宅地建物取引士を5人に1人以上所属させている必要があります。

これは経営者自身が有資格者であっても良いですし、従業員が有資格者であっても構いません。

宅地建物取引士は重要事項説明や契約書への記名・押印といった業務があり、必ず設置が必要になります。

最近では試験の難易度も上がってきていますので、誰を設置するのか独立開業前に考えておきましょう。

 

④宅建免許の申請

宅地建物取引士が確保できていれば、今度は代表者が都道府県の宅地建物取引業担当課に免許の申請を行います。

手続きとしては、公的証明や申請書・経歴書・誓約書・身分証明書・事務所の写真等、様々な書類の提出を求められます。

また宅建免許を取得するには、最低限以下の条件が必要です。

  • 宅地建物取引士を設置している
  • 欠格事由に該当しない
  • 事務所の形態を整えている

 

書類を提出し、審査には5~6週間程度かかると考えておいた方が良いでしょう。

 

⑤保証協会への加入

不動産屋を開業するにあたり、保証協会へ加入します。

「免許を取得したのであれば協会加入は不要では?」と考える方もいるかもしれませんが、保証協会や指定流通機構を利用するために加入が必要になります。

特に独立開業後によく利用する事になるレインズも指定流通機構の会員である必要がありますので、やはり加入が必要です。

また協会へ加入する事で営業保証金が免除されるメリットもあります(営業保証金は1000万円ですが、弁済業務保証金なら分担金60万円)。

協会への加入は通常は免許が交付された後に加入しますが、免許申請後であれば交付される前でも手続きする事ができます。

そして都道府県に届け出をした後、免許証の交付を受ければいよいよ営業開始という流れになります。

 

不動産屋の開業は自宅でもできるの?

不動産屋の開業は自宅でも可能です。

ですが通常のテナントと比較して、自宅開業は多少ハードルが高いことも事実です。

 

一般的に自宅で不動産屋を開業する場合には、以下のような問題点があります。

  • 事務所への専用の出入口があるか
  • 玄関から他の部屋を通らずに、事務所へ入る事ができるか
  • 他の部屋と壁で区切られおり、居住スペースときちんと区分けされているか
  • 事務所としてのみ利用することができるか(事務所の機能が備わっているか)

 

例えば自宅開業の場合、自宅の出入り口は通常は1つである事が多いかと思いますし、他の部屋を通らずに事務所に行くとなると出入り口付近の部屋を事務所として選択するようになるケースも多いと思います。

また事務所としての機能が備わっている事が要件となっており、事務所の室内にはパソコンやFAX、電話機やプリンターといったOA機器も必要ですし、電話回線も自宅回線とは別の電話番号を求められるでしょう。

 

また自宅開業として無事に免許が交付されたとしても、開業後には以下のようなデメリットも考えられます。

  • 立地条件が悪いと集客に影響する
  • 信用性に欠ける場合も
  • プライベートとの区別が付きにくい
  • 騒音・害虫など(周囲の騒音・家族の会話等)
  • 簡単に引っ越しできない

 

もちろん自宅開業であればテナント賃料もかからずに費用を節約できます。

また水道光熱費等を経費として計上できる可能性もありますし、何より移動する事なくいつでも自宅事務所で仕事に取り組めるという点もメリットです。

 

逆に自宅開業の場合には集客力が弱まるケースが多いので、それを補う為のちょっとした付加価値を提供してあげる事もポイントです。

特に賃貸の場合には、立地に左右される色が強く自宅開業だと集客力がネックとなりやすいので、売買から始める方法もあります。

不動産屋を自宅で開業する場合には、行政窓口担当者ともよく相談をしながら手続きを進めていくようにしましょう。

 

不動産開業時の保証協会(ハト・ウサギ)はどちらが良い?

先ほども説明したように、不動産屋として独立開業する際には保証協会に加入する事が通常です。

この保証協会には2種類あります。

  • 全国宅地建物取引業協会連合会(ハトマーク)
  • 全日本不動産協会(うさぎマーク)

よく不動産屋店頭にシールが貼ってあるのを見かけた事がある人も多いと思いますが、不動産業者はどちらかの協会に加入しています。

 

あくまで個人的な意見としては、どちらに加入するにしても大きな違いは感じないというのが正直な所です。

業者の割合的には全国宅地建物取引業協会連合会(ハトマーク)が圧倒的に多いです。

逆に費用の面では全日本不動産協会(うさぎマーク)が20万円程度~安いように思います(定期的に変動する可能性がありますので詳細は協会HPにてご確認ください)

 

加入する協会によって差別を受けるといった事も殆どないですし、どちらに加入しているのか気にする不動産業者は殆どいないと思いますので、自分が好きな協会に加入するのが良いでしょう。

もちろんどちらに加入してもレインズを使うことは出来ます。

強いて言えば業者間でたまに話題に上がる事があったり、関係書類のフォーマットの違いといった所でしょうか。

 

例えばシェア重視の人やコスト重視の人など、個人の考え方や好みもあるかと思います。

これから長くお付き合いをする協会ですので、自分に合った協会を選択するようにしましょう。

 

不動産屋の開業資金はいくら?

不動産屋を開業する場合の開業資金はいくら必要なのでしょうか。

よくインターネット上などでは、1000万~必要といった記事も見かけますね。

ここでは簡単に不動産屋の独立開業資金をシュミレーションしてみます。

 

 開業資金内訳

  • 物件取得費:120万円と仮定(10坪:賃料12万円)
  • 内装工事費:80万円
  • 備品(中古利用。PC・電話・机・イス・応接セット・FAX・プリンター):30万
  • パーテーション:2万
  • 車両(1台:中古):40万
  • 広告宣伝費:20万
  • 免許申請手数料:3.3万円程度
  • 保証協会加入金:139万円程度(全日本不動産協会)
  • 弁済業務保証金分担金:60万円

 約494万円

 

上記では494万円の開業資金が必要という結果になりました(シュミレーションであり実際の開業資金とは異なります)

ですが上記は一般的な開業資金としての目安であり、やり方によっては300~400万円程度に抑えることも十分可能です。

例えば選択するオフィス次第では内装費が殆どかからない所もあるでしょうし、車両費も自分で既に車を所有していたりカーシェアを利用する等すればコストは殆どかかりません。

広告宣伝費もブログやSNS等の無料媒体で宣伝している不動産業者もたくさんありますし、備品等も中古やオークションサイトを利用する等して安価に仕入れる事ができます。

 

特に不動産屋で開業資金を抑えるポイントとして、以下の点はよく考えておきたい所です。

  • 立地
  • 宣伝方法
  • FC加盟
  • 人件費

 

上記は不動産業務において特にコストがかかりやすい事から、支出のバランスを検討する必要があります。

今ではネット等の利用により二等地~三等地でも十分に集客が可能な場合もありますし、人件費も開業時は軌道に乗るまでは一人で運営していく事もできます。

FCに加盟した場合には、知名度の高さやFC専用のポータルを利用できる・業務支援を受けられる等のメリットがありますが、個人の不動産屋にとって必ずしも必要かどうかは開業者の考え方次第です。

特に不動産屋の独立開業時は売上も不安定なケースが多い事から、開業資金をどれくらい見込んでおくのか事前にしっかりと検討しておきましょう。

 

未経験でも不動産屋の開業はできる?

不動産屋は未経験でも開業は可能です。

不動産屋の業務は一連の流れで、物件掲載→反響→案内→契約といった流れの繰り返しですので、一度その流れを覚えてしまえばさほど難しいものではありません。

特に賃貸は売買と比較しても業務内容はシンプルである事から、慣れるのにもさほど時間はかからないでしょう。

 

またなぜ未経験でも可能かと言えば、嫌でも他業者と繋がりが出来てくるからです。

自社HPに物件を掲載する際にも掲載許可を取りますし、管理会社とは鍵の受け渡しや契約でもやりとりします。

他業者さんと繋がりが出来れば情報交換する事もあるでしょうし、仲良くなれば営業方法を教えてもらえる事もあるでしょう。

 

もちろん他社での経験があればそれも活かす事ができます。

不動産屋として独立するには2~3年経験を積んでから開業といった流れが一般的ですので、経験を積む余裕がある方はどこかの不動産会社に入社して業務の流れを掴んでからの独立も考えられます。

もし不動産会社で経験を積むのであれば大手がお勧めです。

大手の方が法令を遵守した会社も多いですし、待遇も良い所が多いです。

中小零細の不動産会社であれば営業力が身に付く事もありますが、経営者との相性にも大きく左右されます。

 

ですが不動産屋の独立開業には経験があるに越した事はありませんが、必ずしも必須という訳ではありません。

少し厳しめに言えば、これだけ有用な情報を誰でも無料で得られる時代であれば「未経験でできるかどうか」といった疑問自体が、少しナンセンスのようにも感じられます。

また逆に言えば、経験者だからと言って成功する保証は何もありません。

未経験者であっても本人の努力次第でいくらでもカバーでき、結局は経験 or 未経験という問題ではなく、開業者自身の熱意や努力にかかってくる部分が大きいと言えます。

 

そして未経験から早く脱却するためには、「営業」を数多くこなす事です。

営業を通じて多くのお客さんと話しますし、今ある物件の中でどう成約に結びつけるか考えるようにもなるでしょう。

もちろん最初の頃は会話の引き出しも無いですし物件も頭に入っていないので、カウンターに付いても顧客にはすぐ帰られてしまうかもしれません。

ですが何度も営業をこなしていく事で自分なりのスタンスが出来てきますし、それが一番の早道でもあります。

未経験という事をマイナスに捉え過ぎず、営業を通じて積極的に行動していきましょう。

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不動産屋は儲かる?売上は?

不動産屋の売上はどれくらいになるのでしょうか。

ここでは不動産屋の売上をシュミレーションとして考えてみたいと思います。

 

 1か月の売上想定

  • 賃貸専業の店舗
  • 客単価:8万円(仲介手数料)
  • 他スタッフ:2名
  • 月契約数:15
  • 雑収入:売上の25%(広告料・紹介マージン等)
  • 仲介料収入:80000円×15契約=1200000円
  • 雑収入:1200000×25%=300000円
  • 月商:1200000+300000=1500000円

 

 1か月の経費想定

  • 賃料:15万円(15坪)
  • 人件費:37.5万円(売上の25%)
  • 広告宣伝費:15万円(売上の10%)
  • 通信費:4万円
  • ガソリン代:3万円
  • 車両維持費:1.5万円(保険等)
  • 光熱費:3万(売上の約2%)
  • 諸経費:2万円(印刷・インク等)

 

売上項目 売上額
仲介手数料 1200000円
雑収入(マージン) 300000円
売上合計 1500000円

 

経費項目 経費額
賃料 150000円
人件費 375000円
広告宣伝費 150000円
通信費 40000円
ガソリン代 30000円
車両維持費 15000円
光熱費 30000円
諸経費 20000円
経費合計 810000円

 

【売上合計】1500000円-【経費合計】810000円=690000円

シュミレーション上では、690000円の営業利益が見込める可能性があります。

(シュミレーションであり実際の収益とは異なります)

 

不動産業においては、仲介であれば仲介手数料が利益の大半を占めます。

ですが売上は仲介手数料だけでなく、以下のような売上(雑収入)があります。

  • 広告料(AD:1か月分~程度)
  • 引っ越し業者紹介(引っ越し代の10~20%程度や、見積りFAXで数百円~など)
  • 火災保険(30%~前後)
  • 消毒・害虫駆除(30~50%程度)
  • ネット回線(1~2万円程度)
  • 鍵交換代(シリンダー原価3000円~5000円)

(取引業者によってマージン率や金額は異なります)

 

この他にも保証会社の代理店手数料や24時間サポートのオプションマージン等もありますし、司法書士や測量士・リフォーム業者・新聞屋やプロパンガス・解体工事業者とも紹介料を含めた繋がりがあります。

特に広告料は地方の物件であれば殆どの物件に付くかと思います。逆に競争力の高い物件や新築には付かない事が多いです。

上記のように仲手以外にもADやオプション売上があるので、例えば家賃7万の物件であっても15万~の売上になる事も珍しくありません。

 

不動産業者によっても異なりますが、仲介手数料以外の雑収入の割合は売り上げの20~30%程度を占める事が多いでしょう。

例えば200万円の売上の不動産屋であれば、その内の40~60万円程度は雑収入で占めているように思います。

不動産屋の開業においては仕入れ原価がかからない為、経営が軌道に乗れば大きな収益を得られる可能性があります。

 

不動産屋の独立時の年収は?

不動産屋の独立時の年収はどれくらいになるのでしょうか。

せっかく独立開業をするのであれば気になる所ですね。

 

例えば一般的な数名のスタッフで営業している小規模な賃貸不動産屋であれば、一店舗の月の売上は200万円前後かと思います。

契約数にすれば閑散期であれば10~15件程度・繁忙期であればその倍くらいは見込めます。

営業マンには一人当たり80万~100円程度が目標売上として設定され、それを超えたら歩合給が付くといった店舗も多いでしょう。

 

確かに不動産会社経営者の中には1000万円を超える人も多くいますが、開業当初から年収がそこまで届く事は稀です。

まず既存の不動産屋と開業したての不動産屋では「客数」が全く違います。

例えば営業マン時代には20~30人の接客をしていたとしても、開業時に接客できる人数は良くて10名前後といった所ではないでしょうか。

特に一人不動産屋では営業だけでなく物件確認やHP掲載・経理事務など全て自分でこなさなければならないので、営業にあたる時間も削減されます。

 

また賃貸か売買どちらをやるかによっても異なります。

数をこなす賃貸に対し、売買であれば月に一件取れるかどうか。当然に契約が全く取れなければ売上はゼロになります。

もちろん成約があれば大きな売上が見込めるのも売買の魅力で、例えば3000万の建物であれば100万円近い手数料になります。

開業時にはどちらを優先してやるのか、慎重に判断する必要があります。

 

そのため不動産業は軌道に乗れば、大きな収入を見込みやすい業態でもあります。

ですが開業時から数年は売上が安定しない所も多く、独立時の年収は500万円にも満たない方が多いのではないでしょうか。

特に近年では不動産業者の廃業者数が増えている事もあり、独立時には綿密な事業プランが必要と言えます。

 

不動産業界の仕事内容は?

不動産関連の仕事にはどのような仕事があるのでしょうか。

ここでは簡単に幾つかをご紹介します。

 

不動産仲介

戸建てやマンション・アパート等の賃貸や売買を仲介するお仕事です。

売主と買主・貸主と借主をマッチングさせるお仕事と言えます。

不動産の独立希望者にはこの仲介業務を中心に検討する人が多いでしょう。

 

不動産販売

販売業務はデベロッパーやハウスメーカーが建てた分譲マンションや戸建てを販売したり宣伝するお仕事です。

問い合わせがあった顧客や住宅展示場に来た顧客に対し営業をかけます。

 

開発(デベロッパー)

デベロッパーとは土地や街を開発する業務を行う会社です。

再開発や商業施設の開発・リゾート開発など、デベロッパーが中心となって開発が進んでいきます。

デベロッパーの収入源は、販売時の売却料やテナント賃料が収入となります。

 

管理会社

管理会社は不動産オーナーからの依頼を受けて、物件を適切に管理する業務を行います。

建物の運営・管理は元より、入居者募集やクレーム対応・清掃業務など多岐に渡ります。

収入源は主にオーナーから手数料を得ており、相場としては家賃の5%前後~の金額となっています。

 

不動産屋の開業時の集客はどうする?

不動産屋として独立開業しても、集客ができなければ意味がありません。

日々の反響が無ければ継続的な成果を出し続けることは難しいでしょう。

 


来店型集客

不動産屋の集客をおおまかに分けると、「来店型集客」と「ネット集客」に分ける事ができます。

来店型集客はその名の通り、顧客が来店しやすい場所に店舗を構え、利便性の良い立地で集客をする形です。

例えば駅前や人通りの多い路面店など、目立つ場所に店を構える事が多くなります。

大手店やFC店などはこの来店型集客を得意としている店舗も多い事でしょう。

 

ですが個人で不動産屋を開業しようとする場合、この来店型では集客が難しいケースも多いです。

駅前立地等は賃料が高く、その分固定費が上がり、開業時からこのようなテナントで勝負する事は得策ではありません。

またそれをカバーする為に人件費を削ったり歩合のハードルを高く設定しなければならない事もあり、人員が安定しずらい事もあります。


ネット集客

そのため新規の開業者はネット集客を優先的に検討する事になります。

ネット集客であれば固定費も殆どかからず、二等地~三等立地でも集客が可能です。

来店に不便な場所であれば、こちらからお出迎えのスタイルを取っても良いでしょう。

増して現在ではスマホからの流入が多くを占めており、駅前の高い賃料を顧客が負担する手数料に転嫁するのは親切とは思えません。

今後は重説でさえIT化されていく予定ですので、尚更一等地に店舗を構える意味合いも薄れてくるでしょう。


ポータルサイト

また開業時にはポータルサイトを利用する方も多いかと思います。

特に開業間もない会社であれば、自社のHPのドメインも弱く会社としての知名度も低いので、即効性のあるポータルサイトは活用しやすい事でしょう。

ですがポータルサイトは幾つもありますが、その費用対効果はサイトによって様々です。

CM等で有名なポータルサイトもありますが、掲載料が高く使い勝手が良くない場合もあります。

また業者によって掲載数が多いほど広告単価が下がるケースもあるので、新規開業者にとっては不利な所もありますし、基本的な仲介業務のみであればレインズとATBB位でも十分可能かと思います。

ポータルを全て外す事は難しいかもしれませんが、自社HPやブログ・SNS等の無料媒体を有効に活用する事で、限られた広告費をうまく抑えていきましょう。


リスティング広告

また不動産屋開業時にはリスティング広告も検討できるかと思います。

リスティング広告とは、検索結果ページの上部や右側に表示されるキーワード広告の事です。

リスティング広告も即効性があり、広告設定したその日から出稿する事ができるため広告の一つとして検討してみても良いでしょう。

ですが最近ではポータルサイトもリスティング広告に注力しており、ワードによってキーワード単価が高くなっている事も多いので、あくまで費用対効果をじっくりと計測した上で利用するようにしたい所です。

POINT開業時は自店にとってどの集客手段が良いのか見極めが難しいもの。
それぞれの広告の費用対効果を見ながらベストな集客方法を探していきましょう。

 

不動産屋がホームページで集客するには

不動産屋がホームページブログで集客をするにはどうすれば良いでしょうか。

HPやブログ等で集客が出来るようになれば、その分固定費・広告費も抑えられる事にも繋がりますので、積極的に活用していきたい所です。

 

ホームページやブログを強くするには、やはり時間をかけて良質な記事を積み上げていく必要があります。

昔のように被リンクを大量に購入したり、サテライトサイトを使って自作自演をするブラックなSEOは殆ど通用しないと考えても良いでしょう。

まともに記事をアップしていけば、まともなアクセスが集まるまでは半年~以上はかかるのが通常です。

 

不動産関連で言えば、検索結果は特にポータルサイト大手不動産サイトが上位表示しています。

例えば「○○市 賃貸」といったビッグキーワードで検索をしても、1ページ目の検索結果に出てくるのは大抵はポータルや大手サイトです。

そのため個人の不動産屋がネット集客をする場合、このようなビッグキーワードから攻めるのは得策ではありません。

 

やはり開業時のホームページやブログにおいては、ロングテールからの記事を積み重ねていき、ドメインパワーを上げていく事が優先です。

ドメインに力が付いてくれば、ある程度のキーワードで上位表示をする事は難しい事ではありません。

また不動産の場合、CV(コンバージョン)に至りやすいキーワードと言うのはビッグキーワードだけでなく、ミドル~スモールワードからCVに至るケースが多いです。

 

例えば「○○市 賃貸 ○○台団地」とか「○○駅 賃貸 コーポ田中」等、より具体性のあるキーワードで検索する人は、真剣に引っ越しを検討している可能性が高いと言えます。

もしくはエリア検索でなくとも、「○○区 賃貸 収入証明 不要」といったキーワードであれば、近日中に引っ越し手続きを考えている人を連想できるでしょう。

 

特に小さな不動産屋が反響を取るためには、ポータルがカバーし切れていないような、より細分化されたキーワードで攻めていく必要があります。

キーワードはサジェスト機能のあるサイトで簡単に拾えますので、まずはロングテールからサイトを組み立てていきましょう。

 

ただしだからと言って、ロングテールであればどのようなキーワードでも良いという訳ではなく、あくまである程度の需要があるキーワードでページを作成していく必要があります。

例えば賃貸で言えば「○○駅 賃貸」といったメインキーワードの他にも、「○○駅 一人暮らし」や「○○市 住みやすさ」等も反響を得やすいキーワードとして挙げられ、出来るだけCVに近いキーワード選定が重要になってきます。

どの程度のアクセスボリュームのキーワードを拾うかは人によって違いますが、具体的には月間で10~100程度のキーワードから攻めていくのが良いでしょう。

 

またせっかく記事をアップしても、不動産会社の場合にはその記事を追いかけない会社も多いかと思います。

見込み客を追客する事はあっても、自社のHPやブログ記事を追いかける会社はまだまだ少ないものです。

確かに会社によっては物件数も膨大ですしそこまでの時間を割けないのは当然かもしれませんが、時間が許す限りは書いた記事を管理する事も大切です。

相当に優秀な方でない限り、一度書いた記事が一発で上位にインデックスされる事は少ないでしょう。

そのため書いた記事はGRC等のツールを用いて順位を追いながら、定期的に加筆修正をしていくようにしたい所です。

 

またSEO技術だけでなく、不動産屋のHPからは「顔が見えること」も重要です。

ユーザーの中には「不動産屋は来店しずらい」というイメージを持つ人も多く、HPやブログであらかじめ店内やスタッフの雰囲気を伝えておく事で、その懸念を払拭する必要があります。

特に今後は不動産屋に足を運んで部屋探しをする機会は減っていく一方ですので、尚更HPから自店の様子や雰囲気が分かるページ作りが大切になってきます。

 

それではHPやブログから会社の雰囲気や担当者の人柄を感じる瞬間はどのような時でしょうか。

  • HPにスタッフ全員の写真が掲載されている
  • 店内写真がある
  • 物件情報の書き方が丁寧
  • 物件のウィークポイントも書いてある
  • レスポンスが早い
  • 電話に応答した時の様子
  • 入居に関するアドバイスがあった
  • 周囲の施設やお店の情報も提供してくれた
  • HPのデザインセンス
  • 動画で店内・スタッフの紹介がある

 

ざっと挙げただけでも複数ある事が分かります。

HPやブログの印象次第でその店舗イメージが固まってしまう事もありますので、ユーザー目線を意識したコンテンツ作りに配慮するようにしましょう。

 

不動産屋がSNSを使う理由

不動産屋さんでもSNSを利用して集客をしている会社は多いかと思います。

特にドメインが弱い開業したての不動産会社にとって、SNSでサイトを公開する事により一時的なアクセスアップを見込める場合もあります。

もちろん上記で挙げたようにロングテールからサイトを強くしていく作業は必要ですが、SNSも併用する事でアクセス数も増え、被リンクをもらえる場合もあるので、開業後にはSNS利用はぜひ検討したい所です。

 

また不動産屋がSNSを利用したい理由として、ポータルサイトが大きく露出していない事も挙げられます。

例えばTwitter等、不動産関連のキーワードで検索をかけてもポータルサイトは殆ど検索結果に出てきません。

検索キーワードによっては街の小さな不動産屋のツイートでさえ一般ユーザーに見てもらえる可能性が高い事から、SNSを利用する価値があります。

 

またSNSは一般とはアルゴリズムが異なり、ログインしているユーザーのアカウントや設定方法によって表示される内容が最適化されています。

引っ越しや家の購入を考えている人は、事前にその引っ越し先のエリアの情報や周辺施設の口コミを取得しようとするケースが多いです。

Twitter等のSNS上にはリアルな意見・感想のツイートも多く、口コミや評判を知りたいユーザーはSNSから情報を取得する人もいます。

そのためSNSで情報を得るユーザーはCVに近い顧客とも考えられ、開業間もない不動産屋としても積極的に利用していきたい集客媒体と言えます。

 

更新の大切さ

ホームページやブログを運営していくには日々更新をしていく必要があります。

不動産屋では主にアルバイトやパートさんが物件更新をする事が多いですが、会社によっては月に数回しか物件更新していない、もしくは数か月放ったらかしの不動産屋もあります。

 

現在では顧客は引っ越しを決意したその日から、スマホで物件検索をし始める事が出来ます。

スマホで検索すればたくさんの物件が出てきますし、各物件には写真も豊富に掲載してあります。

 

昔は土日や平日の夜間の僅かな時間を作り、不動産屋の店舗に出向いてから内見をするケースが一般的でした。

しかし今では物件検索も簡単に出来ますし、不動産屋同士の比較も容易にできます。

つまりスマホやPCで簡単に物件検索が出来るようになった事により、顧客には不動産屋に行く前に物件を選ぶための十分な「時間的余裕」が生まれたという事が言えます。

 

また物件にある程度めぼしを付けたとしても、顧客は簡単には不動産屋へ来店しません。

その地域周辺の不動産屋のHPを何度も検索して比較検討するようになります。

日々何度も検索するので、毎日更新がされているHPと、更新がなされていないHPは歴然とわかるようになります。

毎日更新されているHPであれば当然「今日も新しい物件が掲載されているかも」という期待感から何度もアクセスするようになりますし、どちらのHPに好感を持つようになるかと言えば当然前者です。

 

昔は3~4社の不動産屋を訪れてやっと契約をするといった顧客が多かったものですが、現在では1~2社不動産屋を廻ってその中ですぐに契約を決めてしまう顧客が多く、中には内見をしないで決める人もいます。

それは顧客が来店する前にスマホやPCで事前に十分に検索をして、既に物件や不動産屋を絞り込んだ後だからです。

日々の更新がしっかりとなされているHPやブログを見て情報を整理してから来店しているので、当然成約スピードも速くなる傾向があります。

 

不動産会社のホームページやブログは、その会社のファンを作る事が重要であり、何度も訪れてもらえるようなページ作りを心掛ける必要があります。

一度見て、二度と訪れないページでは作っても意味がありません。

またファンになった顧客は次回の来店に繋がるケースも多く、リピーターの確保にも繋がります。

HPやブログを日々更新しこまめに情報を与えてあげる事が顧客への信頼感を高め、反響を鳴らすポイントの1つという事も考慮しておきたい所です。

 

怪しいSEO業者に注意?

不動産屋として独立開業すると、中にはホームページ等のSEO業者から営業電話がくる事もあるかと思います。

「○○すると反響率がアップします」「売上に直結するHPを作成します」「即効性のあるSEO対策をします」など、様々なフレーズで契約を迫ってくるようです。

 

ですが残念ながらすぐに上位表示できる神技のようなSEO対策はありません。

先ほども挙げたように現在ではブラックなSEOはほぼ通用せず、時間をかけて良質な記事を積み上げていく事が基本手順となります。

もし依頼をしてみたいSEO業者がいるのであれば、実際に一度検索をかけてみる事をお勧めします。

例えば「不動産 SEO」「不動産 HP」など、ある程度のビッグキーワードでその業者が上位表示できているのであれば、多少の信憑性はあるのかもしれません。

 

ですが殆どの業者はそうではありません。

更に言ってしまえば、ネット上で集客できる程の実力があるSEO業者であれば、わざわざ電話営業などかけてくる必要はないのです。

また表示順位が上がれば売上も上がるとは限りませんし、業者との契約期間が終了すればその後は自分自身でサイト運営を考えていかなくてはなりません。

 

もちろん全てのSEO業者が良くないという訳ではありません。

中には、サイトの目的に沿ってきちんとキーワード選定を考えてくれたり、離脱率や直帰率等から改善案を細かく分析をしてくれる・実施した作業内容の説明や定期的な報告もきちんとしてくれるといった良質な業者さんも存在します。

SEO業者の中には悪質とも言える業者も存在しますので、見極めはしっかりと行いましょう。

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不動産の独立で失敗するケースとは

不動産の独立で失敗するケースとはどのような場合が考えられるでしょうか。

ここでは失敗に繋がりやすい問題を幾つか挙げてみます。

 

景気動向

まずは不動産という商品の特性上、市場動向や景気に左右されやすい事が挙げられます。

例えば2016年には約90件ほどの不動産業者が廃業し、倒産件数としても増加しました。

近年では不動産価格が高騰しており取引量自体が減っているとも考えられ、仲介手数料が主な収入源である中小の不動産業者としては厳しい舵取りを迫られています。

景気動向の先読みに失敗して不動産業を撤退する業者も数多くいる事でしょう。

 

経営者ではない

不動産屋を開業する際、どこかの不動産屋で2~3年程度経験を積んでから独立に踏み切るといった人は多いものです。

ですが経験を積んだとは言っても、それは営業マンとして経験を積んだに過ぎず、経営者としてのノウハウを学んだ訳ではありません。

特に営業マン時代に売上数字が良かった人にありがちですが、不動産屋として独立すると簡単に勤務時の年収以上の金額を稼げると考える人もいるようですが、それは間違いです。

営業マン≠経営者という事は意識しておきましょう。

 

固定費

また固定費の問題も大きいと言えます。

不動産屋と言えば賃料や広告費がコストを占め、一人で始める分には人件費を除き大きな固定費がかかりにくいのがメリットでもありますが、独立開業当初は売上が見込めない事も多々あります。

特に売買の場合であれば月に一件の契約が取れるかどうか。

契約が取れずに運転資金が尽き、ついにはそのまま廃業…といったケースも多く見受けられます。

 

手数料合戦

今では不動産業者の中では手数料合戦となっています。

どの不動産業者でも「仲介手数料半額・無料」「敷礼0」「フリーレント〇か月無料~」等といったフレーズが並びます。

競争が激しいだけに安易に手数料の値下げに踏み切ってしまう業者も多く、業者間同士の手数料合戦が続き、体力のない中小零細から潰れていきます。

特に不動産業者というのはレインズを通して同じ物件を扱っていて、取引手法もどの業者でも似通っている事から、差別化が難しい業態でもあります。

手数料競争に巻き込まれると新規開業者は厳しい為、別の強みを持っておく必要があります。

 

手を広げすぎる

不動産開業者の中には最初から手広く事業を手掛けたいと考える人もいます。

賃貸・売買・管理・競売…といったように、間口を広げておきたいという考えもあるのでしょう。

特に業績が良い時ほど、すぐに他に手を広げようとする不動産経営者は多いです。

その結果それぞれの質が低下しパフォーマンスも落ち、その会社の”強み”が消え失せてしまい売上も落ちていきます。

あれもこれもと手を出すよりも、他社に負けない一つの強みを持つようにしましょう。

 

不動産開業時の挨拶は必要?

不動産開業時には周囲の他社への挨拶は必要なのでしょうか。

やはり開業時には名刺を持って周囲の不動産業者に挨拶廻りをしておくべきでしょう。

大げさな挨拶は必要なく、きちんと関係業者に挨拶だけしておけば良いと思います。

「失礼致します。今度お近くに事務所を開設しました○○です。ご挨拶に伺いました。何かございましたら今後とも宜しくお願いします」
「この度○○で開業しました○○です。どうぞ宜しくお願いします。御社で取扱いの物件を扱わさせて頂けるものがあったらご紹介ください」

 

顔を出しておくだけでも印象は変わりますし、物件情報を流してくれる機会もありますので、なるべく早めに済ませておきましょう。

特に不動産業者は今でも横の繋がりが重視されていますので、しっかりと挨拶はしておくべきかと思います。

 

不動産開業は賃貸か売買か

昔から家の購入という話題が挙がると「賃貸か持家か」というテーマは鉄板です。

不動産開業希望者にとっても「賃貸か売買か」というテーマは迷いやすい部分かと思います。

 

特に売買は仲介すれば大きな取引では数百万円前後の手数料が入るケースもある事から、なおさら魅力的に見えるのでしょう。

ですが個人的にはやはり最初は「賃貸」から入る事をお勧めします。

まず大枠のデータから考えると、参考として新設住宅着工戸数を見ても1990年~2000年には120万~140万戸の着工戸数で推移していましたが、2009年あたりからは着工件数も80万~90万と、平均水準はかなり下がってきています。

更に今後も大幅な景気回復が難しい事や、人口減少・増税・空き家の増加・資材の上昇などを踏まえて考えれば、今後も着工戸数は伸び悩むと考えるのが自然な所のように思います。

 

一方で中古住宅にスポットを当てると、現在でも推移は比較的堅調な状況でもあり、近年の賃貸の成約数も大きな落ち込みは見られません。

持家派も今後は既存の住宅をリフォームを施したり自分なりにカスタムするといった風潮が主流になってくるでしょうし、賃貸においても今後は物件をシェアし合ったり空き部屋を効率的に活用する事が可能になり、不動産は所有→共有の時代に移っているとも考えられます。

既存のものを有効に活用するといった視点や、その時々の状況に合わせて生活スタンスを変化させていくといった事が現在のトレンドになっている事を踏まえれば、やはり今後は賃貸業務の方が馴染みやすいのではないでしょうか。

 

また不動産経験者ならいざ知らず、未経験の開業者が最初からこなせるほど売買はシンプルな業務ではありません。

賃貸の場合には内見→鍵→契約といった流れで、契約書類もほぼテンプレ化しているのに対し、売買は調査にしても現地調査・役所調査(法務局・市役所等)・設備関係調査(電気ガス水道等)・現地照合(測量・境界等)の調査など、多くの項目を綿密に調査する必要があります。

これらの業務は通常は会社の上司や同業者仲間から教えを受け、少しずつ経験を積んでいく事が普通です。

先日にも大手不動産業者が60億円以上を地面師に騙し取られたかのような報道がありましたが、やはり不動産業者の中間フィルターとしての役割は重要で、また人物を見る経験則も重視されてきます。

 

また特に開業時は軌道に乗らず思うような売上げが立てられない事が通常です。

例えば売買専門で月に1件の成約も無く売上げがゼロだった時、もし賃貸の僅か数万円の手数料収入でも有るのと無いのとでは雲泥の差があります。

また売上がない場合、経営者として肝心な精神的なゆとりさえも無くしてしまい兼ねません。

特に売買の場合には賃貸よりも広告費がかさむ事も考えられます。

 

もし開業時から売買を始めるという場合には、賃貸も並行してやっていった方が良いでしょう。

人によって考え方は様々かと思いますが、未経験者であれば尚更、開業としての入り口は賃貸が最適かと思います。

POINT賃貸と売買どちらから始めるかは迷うこともあります。
自分に合った営業方法を選択しましょう。

 

不動産屋独立時に差別化は必要?

不動産屋の場合、他社と差別化を図ることは簡単でもありません。

特に情報共有によって物件情報は他社とあまり変わり映えしない事から、余計に差別化が難しいものです。

 

例えば表面的な簡単な差別化であれば、以下のような方法も考えられます。

  • 仲介手数料無料
  • ペット専門
  • 高級賃貸専門
  • 水商売賃貸専門
  • 外国人専門
  • 楽器可専門
  • 女性スタッフだけの不動産屋
  • 短期賃貸専門
  • デザイナーズ賃貸専門
  • 高齢者住宅専門
  • 来社不要の不動産屋
  • 送迎サービス
  • 障害者・生活保護者受付
  • サービスアパートメント取扱い

上記のように自店のカラーを打ち出す方法は幾つかあります。

 

ですが注意しなければならない事は、差別化を意識するあまりに顧客を置き去りにしてしまう事です。

他社との差別化を意識する事は自然な事かと思いますが、それ以前に顧客の存在を考える事が第一です。

開業時の何もないゼロの状態から他社の存在を意識し過ぎたり、無理に差別化をしてもそこからは何も生まれません。

差別化を考える際には、それがユーザーにとって本当に利点のある事かどうかじっくりと検討しましょう。

 

不動産屋のリピーターの確保

不動産業界ではリピーターの確保が難しい業態でもあります。

家という商品の特殊性もあり、どうしても一度きりの仲介で終わりと考えてしまう傾向があるのかもしれません。

 

また引っ越しにしても前回からはだいぶ期間が空いている事が普通ですので、どうしても「前回と同じ不動産屋を利用しよう」とはなりにくいものです。

ですが今後は市場自体も縮小していきますので、どれだけリピーターを確保し売上を底上げしていけるかも重要になってきます。

 

また不動産業こそリピーターの威力は絶大です。

不動産業は世間一般的には、馴染みが薄く来店しにくい・入りづらい・相談しにくいという多少ダークなイメージが付いています。

リピーターが付けば安心して来店できる不動産屋として、家族や友人・知人・会社同僚など幾つかの紹介先も見込めます。

不動産屋におけるリピーター割合は、その不動産業者の善し悪しを測るモノサシと言っても良いでしょう。

 

リピーターの確保には、一般的にはポイントカードやクーポン券の配布・取引後のメールやお礼状・SNSでの拡散・イベントの開催・接客時のおもてなし・メルマガ・友達紹介キャンペーン・顧客の誕生日に贈り物といった事が挙げられますが、中々リピーターの確保に積極的に動いている不動産屋は少ないと思います。

ですがリピーターの確保と言うと難しく聞こえますが、それは単純に「顧客との信頼関係を継続していく」という事に他なりません。

一度切りのお客様で終わらせる事が無いよう、普段から真摯に顧客の声に耳を傾けておく事が大切と言えます。

 

不動産屋の人件費は?

不動産屋開業時の人件費はどれくらいかけるべきでしょうか。

多くの不動産屋の給与は「固定給+歩合」「完全歩合」といった形が多いかと思います。

そのため営業マンは、売上目標を達成しなければ僅かな給与しかもらえないといったケースも多いです。

ですがあまりにも高い目標を掲げると、離職率も高くなってしまいます。

 

また不動産屋と言うのは、基本的に「待ち」の業態です。

もちろん積極的に営業をかける事もありますが、来店・反響が無い限り仕事は発生しにくく当然にその間も人件費は発生しています。

また季節的な要因にも左右されやすく、時期によって繁忙期と閑散期で客数が倍くらい異なります。

シーズンによっての人員調整が難しい事も不動産業のネックとして挙げられます。

 

例えばパートを1人時給1000円で雇ったとしても、諸々の経費を考慮すると実質的には時給2000円前後のコストがかかっていると考えておいた方が良いでしょう。

そのため考え方によっては一人での開業も検討できますし、どうしても当初から人を雇うのであれば売上げが見込みやすい繁忙期前に合わせて求人を出したり、知人や家族を中心に雇用する・事務処理だけを外注化する・トライアル等の補助金の活用・アルバイトや派遣を繁忙期にスポット的に雇用する等の工夫が求められます。

不動産業のコストの中でも人件費の負担は大きいので、事前に人件費としてどれだけを計上しておくのかをしっかりと検討しておきましょう。

 

 シンプルに提供する

引っ越し経験者であれば、不動産屋でいざ契約を済ませ料金を支払う時に、その金額の高さに唖然とした事がある人も多いはず。

不動産屋を通して引っ越しをした場合、実際には尾ひれ羽ひれと様々な費用を上乗せされて契約をせざるを得ないのが実情です。

 

敷金さえ退去時の原状回復費を入居時に預ける事に不満がある人もいますし、これだけ空き家や空き室が多い現在では礼金という慣習も馴染まない気もします。

保証会社の利用も大部分は大家のリスクヘッジの為ですし、クリーニング費用も具体的にどのような清掃を行ったのか明細を見せてもらえない事もあるでしょう。

鍵交換だって元の原価は知れた金額ですし、自治会費だって加入は任意。

契約事務手数料もありますが本来は仲介手数料以外の報酬は受け取る事はできませんし、火災保険も不動産屋が勧める保険に入らなければならないルールはありません。

昔から議論が続く更新料も、実際にはまだまだ支払わなければならない物件が多いものです。

 

今の不動産屋に求められるものは煌びやかな内装や過度なオプションサービスでもなく、顧客が要求するものだけを何も言わずシンプルに与えてくれる不動産屋ではないでしょうか。

様々な事情により中々全てを払拭する事は難しいかと思いますが、真剣に顧客満足を考えるとすれば、まだまだ現場には改善の余地があるようにも思います。

 

もっと気軽に引っ越しができるようになれば、住居に興味を持つ人も更に増えていくと思いますし、それに応じて引っ越し業者や家具・インテリア・通信・車などあらゆるマーケットが開拓されていきそうな気もします。

顧客に対してどのようなサービスを提供できるのか、それは今後の不動産開業者にとっての課題と言えるのかもしれません。

 

不動産屋の独立・開業まとめ

簡単に不動産屋の独立開業について幾つか挙げてみました。

不動産屋の開業は、やり方次第では高収入も目指せる魅力的な業界です。

また古い業界体質が根強く残っているだけに、その伸びしろはまだまだ大きいとも言えます。

今後の新しい不動産業の変化にも注目していきたいですね。

それでは今日はこの辺で。

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