派遣会社の設立・開業は儲かる?資金から営業まで成功のコツを解説
今回は派遣会社の設立・起業について書いてみようと思います。
現在では多くの人材派遣会社があります。
日本では実に8万社を超える派遣会社があると言われ、また派遣社員の数は130万人を超えているそうです。
特に今後は更なる非正規労働者の増加が見込まれるとすると、派遣社員の数も増加していくとも考えられます。
また現在では競合他社との競争が激しく、派遣社員1人確保する事にも相当な労力が割かれています。
今回はそんな派遣会社の設立・開業について触れてみます。
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目次
人材派遣会社の設立・開業
派遣会社を設立するのには大きな設備投資は必要なく事務所やPC・机など基本的な備品があれば設立は可能です。
しかし派遣会社設立には「申請」が必要になってきます。
一般的な事業と異なり、人材派遣会社の場合には厚生労働省の許可がなければ事業を開始することが出来ません。
派遣事業を行うには労働者派遣事業法を順守する必要があります。
また人材派遣業の設立の許可条件として以下のような点があります。
- 財産に関する要件(基準資産額が2000万円以上など)
- 事務所に関する要件(事務所について概ね20㎡以上ある事など)
- 派遣元責任者に関する要件(所定の要件及び手続に従って適切に選任・配置されている事)
- 派遣元事業主に関する要件(派遣労働者の福祉の増進を図ることが見込まれる等、適正な雇用管理を期待し得るものである事)
- 教育訓練に関する要件(教育訓練に関する計画が適切に策定されている事)
- 欠格事由(設立許可申請には欠格事由にあたらない事)
また人材派遣会社を設立するにあたり、労働局に対し申請手続きが必要になります。
社労士などの専門家に依頼する事もできますが、事務所によっては10~20万円程度のサポート料金がかかってくるでしょう。
行政窓口に自分で足を運んで相談をする事は費用もかからず知識も付き、人間関係の構築ができるメリットもあります。
手続き方法など、担当者へ相談すれば親切に教えてくれるでしょう。
また労働局等には派遣会社設立後もお世話になる事を考えれば、可能な限り自分で手続き申請をしてみても良いかと思います。
申請の大まかな流れを示すと
労働局へ
↓
申請書類の予備相談
↓
申請書類を提出
↓
労働局による審査(書類審査・現地調査)
↓
厚労省で精査
↓
事業許可を取得し派遣会社設立へ
上記のような手順を踏むことになります。
申請から許可までの期間としては、概ね3か月以上は見込んでおいた方が良いでしょう。
また申請時には派遣元責任者が派遣元責任者講習を受講しておく必要がありますので併せて注意が必要です。
派遣会社の設立の資金は?
派遣会社の設立の資金はどれくらいかかるのでしょうか。
上記でも挙げたように、派遣会社を設立するには「財産に関する要件」がありますが、それはあくまで許可要件であり、会社設立のための資金は別途必要となります。
ですが派遣会社の場合には人材が商品であり、高価な設備や機器も必要がないためさほど大きな設備投資等は発生しづらく、基本的な資金があれば設立は可能です。
上記でも挙げたように人材派遣会社の場合には「事務所に関する要件」があり、広さも20㎡以上などの条件があります。
ここでは10坪(33㎡程度)の小規模な派遣会社の設立を例として考えてみます。
駅近の空中階の事務所で坪2万程度とし、保証金等を含めて物件取得費を250万と仮定。①
PCやFAX等のOA機器や机・椅子・応接などを中古で揃えるとし、80万と仮定。②
従業員の名刺や会社のパンフレット・リース・販促費などを50万と仮定。③
コーディネーターや営業社員など、従業員の募集広告費として40万円と仮定。④
帳票類・消耗品類で10万円。⑤ その他雑費として20万円計上。⑥
運転資金として200万円を計上。⑦
①+②+③+④+⑤+⑥+⑦=650万円
やはり開業時には少なくとも600~800万円の立ち上げ資金はあった方が良いように思います。
派遣会社開業当初は売上も安定せず、特に何のツテもない独立派遣会社がゼロから運営していくとすると、派遣先企業側からしてみれば信用がありません。
その為設立当初は短期契約やスポット派遣等で小さな実績を積み上げていく必要もあるでしょう。
また派遣会社にとってオフィスの立地選定は特に重要であり、駅近やオフィス街・ターミナル駅付近など、派遣登録者の利便性を考慮してオフィスを選ぶ必要があります。
大手派遣会社であれば全国に数百の拠点を抱えており、設立間もない派遣会社とすればオフィスが会社の信用補完となる事もあるからです。
また自社で営業マンやコーディネーターを雇用するとしても、開業当初のメンバーの中には派遣業界の経験者を出来れば一人は入れておいた方が良いでしょう。
開業当初はどれもこれも手探りの状態で始める事になり、軌道に乗るまでは手持ち資金を切り崩すことも多い事から、派遣会社設立時の余裕資金は出来るだけ多く確保しておきたい所です。
派遣会社設立は儲かる?利益率は?
派遣会社の設立は儲かるのでしょうか。
経営者であればやはり売上や利益も気になる所です。
ここでは目安として簡単にシュミレーションしてみます。
まずスタッフ1人あたりの粗利を計算します。
派遣先から受け取る派遣料金のうち、約7割は派遣スタッフの人件費です。
例えば派遣スタッフの時給が1400円で設定されていた場合、派遣先から支払われている派遣料金は2000円程度と考えられ、2000-1400=600円となります。
もし派遣スタッフが7時間勤務で一か月に22日勤務とすると、600円×7時間×22日=92400円となります。…①
ですがここから諸経費も考慮しなければなりません。
派遣料金からはスタッフへの人件費だけでなく、社会保険料や有給休暇等も考慮する必要があります。
ここでは社会保険料を11%・有給休暇を4%とすると、①から計15%程度を諸経費として差し引きます。
一か月分の派遣料金は2000×7時間×22日=308000円。
308000×15%=46200円となり、①92400ー46200=46200円程度がスタッフ一人当たりの粗利という計算になります。
例:
派遣料金:2000円
スタッフ時給:1400円
スタッフ一人あたりの粗利(一か月):46200円 …②
また派遣会社を運営する際には、当然に派遣会社側の諸経費も考慮する必要があります。
派遣会社の諸経費には、例えば以下のようなコストが考えられます(金額は一例です)。
- 事務所家賃・共益費等:30万
- 人件費(営業マン・コーディネーター等):4名:100万
- スタッフ求人募集費:70万
- 電話代・通信費:15万
- 社内交通費:10万
- その他雑費:5万
計:230万円(※派遣会社によって諸経費は大きく変動します)
計算例では、派遣会社運営の諸経費で毎月230万円のコストがかかる事になります。…③
それでは開業後に黒字化するには、何人の派遣スタッフが稼働すれば良いのでしょうか。
③2300000円÷②46200円=49.78人
派遣会社開業後の黒字化には約50人のスタッフの稼働が必要という計算になりました。
つまり上記の計算通りであれば、開業後に50人が稼働するまでは赤字が続くという事になり、それ以降は黒字転換が見込める可能性があります。
(上記の計算はあくまでシュミレーションであり、実際の数字は異なります)
これだけの派遣社員を稼働させるのは、恐らく数字ほど簡単ではない筈です。
また派遣期間満了で辞めるスタッフだけでなく途中退職者の存在も考えると、その利益は更に圧迫されます。
人材派遣業と言うと飲食のような原材料費がかからず利益率の高さを期待する方も多いかと思いますが、商品が人間であるだけに当初の事業計画が大幅に変更となる可能性も否めません。
また最近で言えば特に大手派遣会社は福利厚生制度にも力を入れている節があり、各方面への出費も考慮する必要があるでしょう。
財産的要件を含め、派遣会社設立には多額の資金が必要な事から、開業時には慎重な判断が求められます。
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派遣会社設立・開業のメリットは?
数ある業種の中で、人材派遣会社を設立・開業する事にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
まず人材派遣業の場合、軌道に乗れば多くの労働力を必要とせずに利益を確保しやすい事が挙げられます。
現在ではマージン率を公表する派遣会社も多くなっていますが、派遣会社の利益は派遣料金と経費の差額です。
派遣社員の稼働数が上がっていけば、それほど事業は安定していく可能性があります。
派遣先で就業するスタッフを始め、新規開拓をする営業マンやフォローにあたるコーディネーターがそれぞれの役割をこなしていけば、会社は廻っていきます。
派遣社員の労働力が利益となる事から、大きな設備投資等が不要なことも派遣会社設立のメリットと言えるでしょう。
また派遣会社は固定費のかかりにくい業態です。
飲食店のように食材等も必要としませんし、ロスも発生しません。
また人材派遣である事から、当然にスタッフが稼働しなければ人件費もかからず、給料を支払うのはスタッフが稼働している時だけです(派遣会社側の人件費は別)。
また飲食や小売りであれば在庫を保管するスペース等も必要になりますが、派遣会社には当然にそのような物も必要ありません。
固定費がかかりにくい事も派遣会社設立のメリットと言えるでしょう。
また現在では非正規社員の増加が注目されています。
コストを安く上げたい企業側としては、今後も派遣社員の活用機会は増えていく事も予想されます。
また副業やサイドビジネスなど、働き方が多様化している現代においては、派遣社員という柔軟な働き方が時代とマッチしている部分もあるのでしょう。
現代のニーズと合っている点も、派遣会社のメリットと言えるのかもしれません。
もちろんメリットだけではなく、幾つかのデメリットも考えられます。
派遣社員が増えていく一方で、今後は派遣先からの派遣料金のディスカウントが更に進む可能性があります。
また特定派遣の廃止や短期派遣の禁止のように、今後派遣法の改正によりどのような法規制があるかも不透明な所です。
併せて最低賃金も上がっており、実に東京都では985円となっています。
今後も最低賃金の引き上げが続くとすれば派遣会社にとっても痛手となるでしょう。
派遣会社の設立にはそれぞれのメリット・デメリットが考えられますので、様々な側面から慎重に開業を検討する必要があります。
派遣会社の人材の役割
派遣会社は一般的には主に3つのセクションで構成されています。
営業・コーディネーター・経理事務部門の3つです。
まずは営業部門ですが、これは簡単に言えば企業への新規開拓を行ったり、既存客へのスタッフ人員増員の提案等を行います。
派遣会社の営業には男性が多い印象ですが、女性でも営業職が目立ってくるようになりました。
新卒等の若手でも営業が務まらない訳ではありませんが、出来れば派遣営業経験者や他業種での営業経験者を採用したい所。
独立系派遣会社の場合は無名のケースが殆どである事から、営業行為には新規契約を取ってくる要素以外にも自社のPRという目的も含んでいます。
新卒や未経験者となると、企業との交渉やフォロー・苦情の対処や派遣社員との人間関係構築が難しいケースもあり、営業部門は今までの経験がモノを言うセクションでもあります。
派遣先企業の人事担当者は中高年の年配である事も多く、やはり若手の営業マンでは話がまとまらないケースも多いものです。
また営業の仕事は新規開拓に留まらず、既存客への提案やスタッフのフォローも担当する事から、臨機応変に動ける人が適切でしょう。
そのため派遣会社設立時には、まずは柱となるようなフットワークの良い営業担当者を配置する事が求められます。
また一方では、派遣先での仕事とスタッフと結び付ける仲介的な役割が必要です。
それがコーディネーターと言われるセクションであり、仕事内容としては主に営業マンと派遣スタッフのつなぎ目となる部分を担当します。
また派遣社員と実際に顔を合わせる機会が多いのはコーディネーター職です。
そのためコーディネーターは派遣会社の「顔」とも言える存在であり、会社のイメージはコーディネーターで決まると言っても過言ではありません。
コーディネーターの仕事内容としては、例えば登録希望者が派遣会社に面談に行った際にカウンセリングを担当するのもコーディネーターの仕事ですし、派遣先への職場案内や仕事のマッチングも行います。
他にもスタッフの悩みや相談を聞いたりといった事もありますし、小規模な派遣会社であれば営業とコーディネーターを兼務する所もあるでしょう。
どちらかと言えばコーディネーターは女性が多いですが、傾聴力のある人や状況に合わせて柔軟に動ける人間であれば男性でも活躍できます。
最後に経理・事務部門ですが、この部門では派遣スタッフのタイムシート管理や給与管理・社会保険手続き・電話受付などの事務作業がメインになります。
オフィスに常駐する事が殆どで営業のように外出する事は少ないでしょう。
派遣会社の帳簿や書類の処理も行いますし、スタッフから有給休暇の取得や交通費申請等があればその都度対応します。
また事業報告など、会社の運営に関わる申請手続き等を行う場合もあります。
経理事務セクションにおいては細かな作業が好きな方や、周囲に気配りが出来る人が向いていると言えます。
派遣会社の新規開拓営業
派遣先新規開拓営業に関しては様々な方法がありますが、無名の派遣会社が新規開拓を行うのであれば、様々な方向へアンテナを貼っておく事が肝心です。
例えば求人情報誌を見れば人材を募集している企業は当然わかりますし、有料広告に複数誌載せているのであればある程度の資金余裕がある企業とも感じられます。
まずは見込みのある企業をリストアップし担当者に会う約束を取り付け、交渉をしていくのがベターかと思います。
昔ながらの営業手法ではありますが派遣先企業からしてみれば無名の会社と派遣契約を締結しようとする訳ですから、まずは対面で自社のPRから派遣提携のメリット・活用後の想定モデル等を具体的に示し、じっくりと契約締結まで話を持ち込みたい所です。
特に現在では多くの企業が人材不足に悩んでいますので、どのような人材を欲しているのかヒアリングするだけでなく、こちらから人材の提案をしていくコンサルティング能力も求められます。
もちろんコンサルに応じるには、営業マン自身も相手企業の業務内容や市場動向をしっかりと把握しておく必要があります。
また徐々に会社に実績や知名度が付いて来れば、今まで提携した派遣先の活用事例をサンプルとして会社に提案していく事によって、企業側としても活用後のモデルを想定しやすくなり提案もスムーズにいきやすくなります。
また有料求人に限らずハローワークなど公的機関の無料媒体を見れば多くの求人が掲載されていますし、詳細な情報まで記載されていますので営業のヒントが詰まっています。
また公的機関の求人掲載を参考にするメリットは、中高年~高齢者雇用の求人が多く掲載されている点です。
人材不足に悩む派遣会社にとっても、今後は中高年~高齢者雇用は避ける事は出来ないでしょう。
あえてターゲットを中高年専門の派遣業に絞る事も差別化の1つとして考えられます。
また開業当初の実績がない段階であれば、短期や日雇い派遣などスポット案件に絞って営業をかけていく事も考えられます。
特にクリスマス・年末等の行事・新制度に伴う人員増加(例えばマイナンバーや臨時福祉給付金・年金関連など)・企業の新商品発表時など、開業間もない派遣会社でも喰い込む余地はあります。
また短期契約であればスタッフの社会保険や有休が発生しずらい事もあり、派遣会社側の諸経費も抑えやすい筈です。
ただし短期や日雇いは現在では原則禁止となっていますので、例外条件等に配慮したり、30日以上の契約期間を設定する等、法律を遵守し細かい部分にも十分に注意しましょう。
他にも新規開拓先の参考として、他社の派遣会社が掲載している求人を見てみるのも良いでしょう。
複数社が合同で派遣社員を出している企業であれば交渉次第で自社もOKが出る可能性があります。
特にキャンペーン絡み等は複数の派遣会社からスタッフが派遣されているケースが多く見受けられますので、アタックしてみるのも良いかもしれません。
もちろんどのような開拓営業においても、今後はネットの活用は避けられません。
現在でも多くの派遣会社の営業は、求人情報やネット情報から見込みのある企業をピックアップしている筈です。
ネット上の情報からローラーをかけていき、効率の良い方法で営業を掛けていきます。
また開拓営業をかけていく上でもただ闇雲に派遣先を開拓していけば良いという訳ではなく、派遣登録者のニーズに合わせた開拓も視野に入れておかなければなりません。
せっかく派遣先を開拓しても、人気薄職種や専門性の高すぎる職種では登録者とのマッチングが困難になる場合もあります。
例えば近年で言えばデータ入力や軽作業・公的期間関連の事務と言ったシンプルで労働量の少ない仕事・大手の職場が人気ではありますが、求人募集をかけた時に応募者が確保しやすい仕事を開拓していく事も大切です。
また営業の仕事は新規開拓だけでなく、フォロー営業も大切な仕事です。
特に派遣社員を活用している企業では、業務の進捗次第でスタッフの増員を希望してくるケースも多々あります。
このようなチャンスというのは、いつどこで発生するのか予測が付かない事が多いものです。
そのため企業側の社長や人事担当者とは懇意にしておき、いつでも増員に応じられるような体制を築いておく事も大切と言えます。
また特に派遣社員を初めて受け入れる企業は、派遣活用のメリットを理解している場合が少ないものです。
派遣社員活用のメリットとして、単純なコストカットとしてだけでなく、給与計算など煩雑な事務を派遣会社へ任せられる・即戦力として教育時間がかかりにくい等、派遣には様々なメリットがあります。
その派遣先企業の業種・職種に合わせて派遣活用のメリットを改めて具体的に説明していく必要があるでしょう。
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日雇い派遣・紹介予定派遣はどうか
日雇い派遣と言えばご存じの方も多い通り、1日単位等で就業する派遣形態です。
特に開業当初は短期案件や日雇い派遣の方が仕事を取り易い事から、中小の派遣会社が短期に絞って営業をかけていた節もあったように思います。
しかし現在では日雇い派遣が原則禁止となっており、昔のようにスタッフを日毎に派遣先へ送り込む事も難しくなってきています。
中には労働者側から日雇い条件の緩和を求める声も出てきている事から今後法改正が行われる可能性もゼロとは言えませんが、派遣法を始め法規制には十分に注意したい所です。
次に紹介予定派遣ですが、これは将来的に派遣先の社員になる事を前提に派遣契約を締結し、3~6か月程度の派遣期間満了後に双方の合意の元で社員として紹介する契約形態です。
紹介予定派遣については、契約が成立すれば社員時の想定年収の20~25%程度を紹介料として受け取れる為、大きな金額が報酬として受け取れる可能性があります。
ですが最近では紹介予定派遣の求人自体が減少傾向にあり、以前のように企業がこの契約形態を利用する機会が少なくなってきたように思います。
社員として紹介する以上は、ある程度スキルの高い人材や専門性の高い人材を確保しておく必要があり、その為の広告費等もかかります。
また派遣期間満了後に社員雇用に至ったとしても、その社員が短期で途中退職をしてしまうと、契約内容によっては報酬の何割かを返還する必要が出てくる場合もあります。
紹介予定派遣は成功報酬は確かに大きいですが、多額の費用がかかりやすくその分リスクが潜んでいるのも特徴と言えます。
派遣法改正は追い風?
1986年に派遣法が制定されてから8回に渡って派遣法が改正されてきました。
そして2015年9月の派遣法改正時には今まで期間制限がかかっていなかった専門26業務にも3年の期間制限がかけられ、自由化業務と26業務の区分がなくなり、どちらも3年の期間制限が設けられるようになりました。
これは実質的に考えてみれば自由化業務を含め26業務スタッフも原則3年で会社を退職せざるを得なくなります。
また雇用安定措置の義務化にしても3年後に派遣先に直接雇用を依頼できる事や派遣会社に無期雇用を申し込める事・新しい派遣先の紹介などが挙げられていますが、企業側としては3年ごとに派遣社員を交代させる事も可能な訳ですから直接雇用をしないケースも考えられますし、1人のスタッフにコストをかけて特別なキャリアアップを図る必要もないという見方も出来ます。
また派遣会社も他のスタッフが多数いるのに、わざわざそのスタッフを無期雇用として採用するとは考えにくい所です。
派遣社員の活用が増えることは派遣会社からしてみれば単純に追い風にも見えますが、一方で企業が派遣社員を安易に活用できる事は派遣料金単価の値下げに繋がる可能性もあり、今以上に派遣会社同士の競争が激化する事も考えられます。
派遣料金の単価が下がっていけば多数の派遣社員を抱える大手の方が増々有利になる事も考えられ、中小の派遣会社は苦戦を強いられる事にもなり兼ねません。
今後は大手と中小の派遣会社との二極化が更に深まっていくようにも感じられます。
派遣法改正や非正規の増加が派遣会社にとって追い風となるかどうかは微妙な所ではありますが、今後も会社間の競争が激しくなっていく事に違いはないでしょう。
派遣会社の古い募集体質
派遣という仕組みは派遣会社・派遣先・派遣スタッフの三者で成り立ちます。
派遣スタッフを企業へ派遣する事で利益が発生する為、当然に派遣登録者を募らなければなりません。
会社によっては登録者にクオカードを提供したり友達紹介キャンペーンを打つ等のサービスを打ち出している派遣会社もありますが、出来るだけストレスフリーに派遣登録を促す仕組み作りが必要です。
特に派遣社員の声の中には、初めに派遣会社へ登録へ行く事が面倒という声はよく聞かれます。
確かにネットやテレビ電話・Skype・SNS等の通信手段があるのに、わざわざ履歴書や職歴書を持って派遣会社まで出向くというのは時代錯誤と言えるのかもしれません。
今ではWEB登録や電話登録を勧める派遣会社も少しずつ多くなっていますが、まだまだ来社登録の派遣会社が多いのが現状です。
法令や規則の許す範囲内で新しい仕組み作りを模索していく必要があるでしょう。
また実際に、派遣スタッフというのは現場に送り出してみないと、そのスタッフの本当の能力は分からないものです。
登録時の印象が良かったスタッフでさえ、数日後に姿を消すといった事も珍しくありません。
カウンセリング時の印象やスキルチェックの結果は、あてにならない事もしばしばあります。
特に今後は売り手市場となり、労働者側が仕事を選ぶ時代です。
今まではスタッフよりも派遣先の要望を優先的に汲み取っていた派遣会社が多かったように思いますが、今後はそのバランスも考えていかなくてはなりません。
選ばれる派遣会社になる為にも、登録者確保の方法もじっくりと検討する必要があります。
中高年雇用がカギ
昨今では様々な会社やお店で「人手不足」という声が挙がっています。
これは一般職に限ったことではなく、人材派遣業界においても同様の声が聞かれます。
ですが実際には全てが人手不足なのではなく、「20~30代の人手が不足している」とも言えます。
40代以降の人手は溢れている会社も沢山あるのです。
この理由として、多くは派遣先からの要望に原因があるケースもあります。
派遣先の管理者は30~40代が多く、派遣スタッフが管理者よりも年上だと扱いにくいといった声があります。
また派遣の仕事は単調な作業も多い事から、中高年が今まで培った技術や能力が活かされにくいといった側面もあるのでしょう。
ですが今後本格的な高齢化や人手不足を迎えるにあたり、中高年や高齢者雇用は避けられない部分もあります。
管理者業務やカウンセリング・苦情処理など、経験な豊富なスタッフの方が適正が高い業務も多くあります。
また他社が中高年雇用に積極的にならない分、それを専門的に扱うことはアドバンテージになりますし、応募者が多いだけに採用コストや広告費が抑えられやすいといったメリットもあります。
確かに派遣先を説得・交渉する事は簡単ではありませんが、あらゆる分野で中高年の雇用を進めていく事は、今後の派遣会社にとっても意義のある事だと思います。
派遣会社の設立・開業まとめ
派遣会社の設立・開業について幾つか挙げてみました。
人材派遣業態は登録者や稼働数が一定数を超え、軌道に乗ってさえしてしまえば売上げが見込みやすい業態ではあります。
ですが軌道に乗るまでが難しく、特に今後は大手派遣と中小派遣の体力の消耗戦が予想されます。
今後は派遣希望者を登録へ促す新しい仕組み作りも期待されます。
大きな資本が必要なことから、派遣会社の設立・開業前にはじっくりと事業計画の検討が必要です。
それでは今日はこの辺で。
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