クリーニング店開業のポイントは?資格や設備・開業資金など徹底解説

今回はクリーニング屋の開業について挙げてみたいと思います。

街のあらゆる所に存在するクリーニング店。

洗濯物の受取や引き渡しをしてくれるだけでなく、自宅では難しいシミ抜きや衣類の補修まで行ってくれます。

クリーニング屋は取次店であれば低資本で開業できる事もあり、中には独立を志す人もいます。

またこれだけ多くのクリーニング屋が競合する中で経営を持続させるには、他店との明確なサービスの違いや差別化が求められます。

今回はそんなクリーニング屋の開業に触れてみます。

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クリーニング屋を開業するには?資格は必要?

クリーニング屋を開業するにはどのような許可や資格が必要になるのでしょうか。

ここではクリーニング屋開業のための手続き等について挙げてみます。

 

保健所への届出

クリーニング屋を開業する際には、あらかじめ保健所に届出を行い、設備が整っているか・店舗が衛生的な構造であるか等の検査を受けた後でなければ開業する事はできません。

開業するのがクリーニング所であれば開設予定地を管轄している保健所へ、また無店舗取次店においては営業区域を管轄する保健所へ届け出する事になります(15000~25000円程度)。

届出をする際にはあらかじめ保健所へ相談をしておきましょう。

 

クリーニング師

クリーニング所を開業するには、1人以上のクリーニング師を置く必要があります。

開業する店舗が取次店である場合にはクリーニング師は不要です。

クリーニング師になるには都道府県知事が実施している試験に合格し、免許申請をしてクリーニング師原簿に登録される必要があります。

 

クリーニング屋の開業予定者の多くはフランチャイズに加盟し取次店として開業する方が多いと思いますので、FCのサポートを借りながら開店まで手続きを行っていきます。

 

クリーニング屋の種類は?

クリーニング屋と一言に言っても、幾つかの種類に分類されます。

ここではクリーニング屋の種類について幾つか説明していきます。

 

一般クリーニング店 お店の中でクリーニング処理を行っている形態です。

自宅兼店舗になっていたり工場とユニットになっている形態が当てはまります。

開業者にとっては設備投資額が大きいのが難点でもあります。

取次店 店舗内では衣類の受け渡しのみを行い、クリーニング処理は別の工場で行っている形態の店舗を指します。

チェーン店等に多く、クリーニング屋開業ではこのタイプが多いでしょう。

無店舗取次店 ネット宅配サービスなど、クリーニング屋の店舗自体がなく、車両を店舗化して衣服の受け渡しをし工場へ取次をする形態です。

 

私達が消費者としてクリーニング店を利用する際には、どの店舗も同じように考えてしまいがちですが、以下のような点にも注意が必要です。

  • 価格が明示してあるか
  • 洗濯物の処理方法について説明があるか
  • 苦情の申し出先が分かるか
  • 預かり証をきちんと発行しているか
  • LDマーク・Sマークがあるか

特にクリーニング業は苦情・クレームが発生しやすい業態である事から、利用者に対しては受付時に十分な説明が求められます。

 

クリーニングの開業に必要な設備は?

クリーニング屋開業に必要な設備としてはどのような物があるのでしょうか。

ここではクリーニング店の設備として考えられる機械・備品を挙げてみます。

 

 クリーニング機械

  • 水洗機
  • 乾燥機
  • 水洗乾燥機
  • ドライ機
  • プレス機
  • 染み抜き機
  • 包装機
  • 仕上台
  • アイロン etc…

 

 備品

  • カウンター
  • レジ
  • 整理カウンター
  • 商品棚
  • ポール
  • ハンガー
  • ワゴン
  • タグ
  • ユニホーム
  • ネット
  • ボステッチ
  • 伝票
  • 持ち帰り袋
  • ゴム印 etc…

 

上記はクリーニング店で必要な設備の一例ですが、一般クリーニング店となると上記のような設備等を自社で用意する必要があります。

例えば機械一基であっても100万円~200万円を超える物も多くあり、機械設備の他に内装工事や物件取得費を含めると、開業資金として1000~2000万円を超える事も珍しくないでしょう。

 

そのため多くの開業者はフランチャイズ加盟をして取次店から始める人が多く、クリーニング処理は自店で行わず衣類の受け渡しや保管のみを行います。

もちろん一般クリーニング店として開業する事もできますが、クリーニング技術を持つ職人が必要であったり、コストを抑えるために居抜きや中古設備を調達する等の工夫が必要となってきます。

 

クリーニング屋の開業資金は?

クリーニング屋の開業資金はどれくらいかかるのでしょうか。

ここではクリーニング屋開業として一般的でもある取次店を例に挙げてみます。

取次店とは言っても加盟するフランチャイズによって開業資金は大幅に異なりますが、例としてシュミレーションを考えてみます。

 

 開業資金条件

  • 店舗面積:8坪
  • 備品類:70万円
  • 開業前広告費:30万円
  • 内装費・看板設置:200万円
  • FC加盟金:20万円
  • 保健所申請料金:2万円
  • 雑費:諸経費:5万円

 

開業資金項目 金額
備品類 700000円
開業前広告費 300000円
内装工事・看板 2000000円
加盟金 200000円
保健所申請料金 20000円
雑費・諸経費 50000円
合計 3270000円

 

シュミレーション上では、327万円の開業資金が必要という計算になりました(加盟するフランチャイズや店舗の規模等によって開業資金は異なります)。

 

加盟するフランチャイズによって広告費を一部負担してくれたり、看板設置を行ってくれる等、フォロー体制は各社で異なりますのでじっくりと時間をかけて会社を選択するようにしましょう。

また開業前にはクリーニング工場を視察したり、売上予測を説明されるケースも多いですが、実際の開業後の収支とは異なる場合もあります。

そのため全てを本部任せにはせず、自分でも集客数や売上シュミレーションを立てて慎重に見極めるようにしましょう。

 

クリーニング屋は儲かる?売上は?

クリーニング屋ではどれくらいの売上が見込めるのでしょうか。

ここでも取次店を例にしてシュミレーションとして売上を考えてみたいと思います。

 

 売上条件

  • 客単価:1000円
  • 客数:45人
  • 取次店手数料(マージン):25%
  • 定休日:木曜(月26日営業)
  • 月商:1170000円(1000円×45人×26日=1170000円)
  • マージン手数料:1170000円×25%=292500円
  • 諸経費(広告費・消耗品・光熱費等):-70000円

 

売上項目 金額
粗利(マージン手数料) 292500円
諸経費 -70000円
合計 222500円

 

シュミレーション上では、222500円の営業利益が見込める可能性があります。

 

クリーニング店開業後の売上はやはり立地に大きく左右されます。

多くのクリーニング店は商業地区や住宅街に位置しているケースが多く、集客には利便性の良さや人通りの多さ・視認性なども大きな要素です。

またフランチャイズ加盟をしても本部によってサポート体制が異なる事から、各社をよく調べて自分に合った会社を選択します。

取次店と言うと楽なイメージをする方も多いかもしれませんが、肉体労働が多い業態でもあるので開業前には慎重に検討する必要があります。

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クリーニング屋をフランチャイズで開業するメリット

クリーニング屋をフランチャイズで開業するメリットはどのような事があるのでしょうか。

実際に多くのお店がフランチャイズの取次店として開業をしています。

フランチャイズに加盟するメリットとしては以下のような点があります。

  • 本部の機材・薬品等を使用できる
  • 低資本で開業できる
  • 経営ノウハウを享受できる
  • 衣類の引き渡し・保管のみなど、肉体的な疲労も少ない
  • ブランド名・知名度の利用
  • 工場研修など、様々な研修制度がある
  • 高度な洗濯技術が不要
  • クレームも本部が中心になって対応してくれる事も

 

フランチャイズでは開業前のサポートも充実しており、高額な設備も不要で低資本で開業できるのが利点です。

また衣類の受け渡しのみという事であれば極小物件でも候補に入ってくるので、好立地を確保できる可能性もあります。

クリーニング業は地域密着のビジネスを希望する開業者にとっては適性のあるビジネスですが、主には立地によっても売上に変動があり中には早期に撤退する店舗もあります。

フランチャイズとして加盟する場合には実際の収支を想定した上で、メリット・デメリットをよく考えて自分に合った会社を選択するようにしましょう。

 

クリーニング屋は潰れない?

中にはクリーニング屋は潰れにくいというイメージを持っている人もいるようです。

ですが実際には多くのクリーニング屋が廃業しており、厚生労働省のデータによると20年前は16万店ほどの店舗があったのに対し、現在では10万店前後の店舗数となっているようです。

 

理由として考えられるのは、一般家庭でも利用できる最新の洗濯機器が購入できるようになった事や、ファストファッション等の安価な洋服を使い捨てたり着まわす人が増えた事・コンビニを含むコインランドリーの増加・クリーニング店へ持ち運ぶような高価が衣類を着用する機会が少なくなった事などが考えられます。

 

ですが実際に街中ではいつまでも潰れないクリーニング店が存在する事も事実です。

傍から見ていてどう見ても利用客が少ないような店舗であっても、何年も経営をしている店舗もあります。

このようなクリーニング店はどのように収益を得ているのか、以下のような理由も考えられます。

  • 地主や家族経営でテナント賃料や人件費がいらない
  • 店頭ではなく集配・宅配に注力している
  • 早朝や夜間にも対応している
  • 飲食店・病院等との大口契約がある
  • 価値の高い溶剤・クリーニング技術がある
  • 他店では扱わない特殊な商品まで取り扱う

 

潰れないクリーニング店にはそれだけの理由や付加価値がありそうです。

上記は一例ですが今後のクリーニング店の生き残りには、他店との差別化や新たなアピールポイントが必要なのかもしれません。

 

クリーニング屋の客数は?

クリーニング屋の客数はどれくらいを見込めるものでしょうか。

単純に考えればクリーニング屋の売上は客数×客単価。

客単価が大幅に増減しないとすれば、客数によって売上は大きく左右されます。

 

参考として以下のグラフは厚生労働省の統計で、一般クリーニング所の1日の平均客数を示しています。

出典:厚生労働省 クリーニング業(一般クリーニング所)結果の概要

先ほどの売上シュミレーション上では来店客数を45人で試算しましたが、上記の統計では1施設当たりの平均客数は35.2人という結果になっています。

この数値が実体を表しているものとすれば月商としても100万を下回る事も十分に考えられます。

 

また上記のグラフでは50人以上の客数がある店舗が15%以上もある一方で、10~19人といった店舗も30%近くある事から、店舗によって集客力に大幅な開きがある事も分かります。

今後クリーニング店を開業する際には、客単価アップやリピーターの確保・他店にないクリーニングサービス等、集客を軸にした対策を考える必要があるのかもしれません。

 

クリーニング店の後継者不足

クリーニング店では後継者がいない事により廃業をする店舗もあると言います。

多くを見ていると、やはり撤退する店舗は売上が立たない店舗か、後継者不在を理由とした廃業が多いようにも思います。

以下は先ほどと同じく厚労省の統計によるデータです。

出典:厚生労働省 クリーニング業(一般クリーニング所)結果の概要

上の「図13」を見ると常時雇用者(正社員)のほとんどが40~50歳以上であることが分かります。

また「図6」では店舗の10~13時間の営業時間を設定している店舗が多い事も分かり、特に店舗だけでなく処理工場は過酷な労働であるケースもあります。

クリーニング店だけでなく今後は本格的な高齢化社会を迎えるにあたり、いかに後継者を育てていくか・若年層にクリーニング業の魅力を伝えていくか等にも課題が残りそうです。

 

クリーニング店の開業まとめ

クリーニング店の開業について幾つか挙げてみました。

昔と比べるとクリーニング店のニーズは低くなっているイメージはあるものの、クリーニングは衣食住を占める職種としてまだまだ根強い仕事ではあります。

特に小さな店舗でも地域密着で経営していきたい方々にとってはクリーニング店も候補に入るのかもしれません。

ですが多くのクリーニング屋が撤退しているように、今後多くの競合店の中で生き残るには明確な他店との違いや差別化が求められます。

今後は厳しい状況が予想されるクリーニング業ですが、工夫次第で新しい試みも生まれてきそうな気もしますね。

それでは今日はこの辺で。

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