自転車屋の開業は儲かる?資格や売上・出張修理も解説

今回は自転車屋の開業について挙げてみたいと思います。

街中でもよく見かける自転車屋。

急にパンクした時など、丁度良い場所に自転車屋があると便利ですね。

プロショップ等を除き一般的な自転車屋であれば低資本で開業する事ができ、また修理等は利益率も高いことから自転車屋の開業を希望する人もいるかと思います。

また急なパンクや故障は突発的に発生するものであり、その意味ではどちらかと言えば立地の影響を受けにくい業態とも言えるでしょう。

今回はそんな自転車屋の開業について触れてみます。

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自転車屋を開業するには?資格は必要?

自転車屋を開業するのに資格は必要なのでしょうか。

結論から言えば、開業するにあたり資格は必要ありません。

資格がなくても、自転車屋を開業することは出来ますし、修理を行う事もできます。

 

ですが実際には自転車屋さんは何らかの資格を持っている事が多いです。

自転車関連の資格だと以下の資格は有名かと思います。

  • 自転車安全整備士
  • 自転車技士

一言で言えば、自転車安全整備士は点検や整備のほか安全指導も担い、TSマークを添付できる資格、一方で自転車技士は自転車の組み立て・整備を行う技術者です。

どちらも民間資格であり、受験資格としては18歳以上であることや、2年以上の実務経験が必要という事になっています。

 

ただし繰り返しになりますが自転車屋の開業に必ずしも資格が必要という事ではありません。

自転車屋さんのオーナーでも無資格者はいますし、逆に有資格者でも修理が難しい自転車もあります。

開業にあたっては技術力が第一に必要とされますが、資格を所持している事で利用者の安心を得られる事もあります。

そのため実践的な経験を積みながら、上記のような資格を併せて習得していくのが良いでしょう。

 

自転車屋の開業資金はどれくらい?

自転車屋を開業するとなった場合、その開業資金はどれくらいになるのでしょうか。

ここでは一般的な自転車屋の開業資金をシュミレーションとして考えてみたいと思います。

 

 開業資金条件

  • 物件取得費:110万円(面積:10坪/ 賃料10万円)
  • 内装工事費:130万円(DIY内装込み)
  • 看板設置:20万円
  • 工具代:30万円
  • 仕入れ(自転車・他パーツ等):45万円
  • 什器・備品(レジ・スタンド・什器など):20万円
  • HP製作費:10万円

 

資金項目 金額
物件取得費 1100000円
内装工事費 1300000円
看板 200000円
工具代 300000円
仕入れ 450000円
什器・備品 200000円
HP製作費 100000円
雑費・諸経費 30000円
合計 3680000円

 

シュミレーション上では368万円の開業資金が必要という計算になりました(シュミレーションであり実際の金額とは異なります)

上記はシティサイクルを中心に取り扱うような自転車屋を想定しましたが、ロードバイクやマウンテンバイク・電動アシスト等、専門店であれば仕入れ費用も変わってきますし、必要な工具も高額になってくるでしょう。

ですが他業種と比較しても、自転車屋は低資本で開業しやすい業態とも言えます。

現在では競合店や安売り店も多い事から、技術力やサービス等において他店との明確な違いや差別化が求められます。

 

自転車の原価は?

自転車の原価はどれくらいなのでしょうか。

一般的には、自転車の仕入れ値は販売価格の7割程度と考えて良いでしょう。

例えば30000円の自転車であれば、仕入れ値は21000円~前後といった所かと思います。

またここから販売時の値引きを考慮すると、自転車の販売利益は10~20%程度。

他業種の人からすると自転車の利益率は低いと感じるのかもしれません。

 

大手など自社で製造している所であれば更に原価は低くなりますが、個人店の自転車屋さんであれば大きな売上にはなりません。

ですが自転車屋という業態上、品揃えは集客にも影響することから物販を全て避けるという事は難しいですし、原価が高めでも自転車屋にとって物販は修理に続く第二の収入源とも言えます。

またスーパーやホームセンターでは売りっ放しの所が多い中、自転車専門店で購入したいといった一定のニーズもあるのでしょう。

 

自転車屋は儲かる?売上は?

自転車屋の開業は儲かるのでしょうか。

ここでも自転車屋の売上をシュミレーションとして考えてみたいと思います。

 

 売上条件

  • 営業日:月25日
  • ※家族経営を仮定
  • 修理:420000円(パンク/単価1000円×1日8件=8000円・チューブ交換など/単価2200円×1日4件=8800。8000円+8800円=16800円。16800円×25日=420000円)
  • 自転車販売:300000円(販売価格2万円×月15台販売)
  • 部品・パーツ販売:150000円(1日売上6000円×25日)
  • 保険等の手数料:30000円
  • 月商:420000+300000+150000+30000=900000円。

 

 経費条件

  • 原価:45万円(平均原価50%と仮定:修理10~20%/ 自転車80~90%/ パーツ等30~50%)
  • テナント賃料:120000円(面積:10坪)
  • 人件費:0円
  • 水道光熱費:27000円(売上の3%)
  • 雑費・諸経費:36000円(売上の4%)

 

売上項目 金額
修理代金 420000円
自転車販売 300000円
部品・パーツ 150000円
手数料 30000円
合計 900000円

 

経費項目 金額
原価 450000円
テナント賃料 120000円
人件費 0円
水道光熱費 27000円
雑費・諸経費 36000円
合計 633000円

 

[売上合計] 900000円ー[経費合計] 633000円=267000円

シュミレーション上では267000円の営業利益が見込める可能性があります(シュミレーションであり実際の収支とは異なります)。

 

上記は家族経営を想定しており人件費を計上していません。

また自転車屋さんによっても修理がメインの店舗もあれば、販売がメインの所もあります。

粗利で言えば修理が高くなりますが、とは言え組み立てや他雑務をこなしながら修理をこなしていくとなると、1日の修理件数にも限界が出てくるでしょう。

自転車屋によっても異なりますが、修理の売上が全体の40~60%を占めている店舗も多いかと思います。

 

また借入等がある場合には手取りは更に少なくなります。

収益を増やす為に他にも中古買取や放置自転車もありますが、手間もかかるので少人数経営ではあまり馴染むとは思えません。

法人など、大口契約の定期収入がある場合には売上も安定しやすくなります。

また自転車屋の場合には自宅兼店舗や夫婦・家族経営で人件費を抑えている店舗も多い事も特徴として挙げられます。

販売と修理の売上バランスを考えて店舗運営を考えていくようにしたい所です。

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自転車の出張修理の開業は?

それでは店舗を持たず出張修理の自転車屋さんはどうでしょうか。

確かに出張専門であればテナント賃料もかからず自転車仕入れも不要な事から開業資金や固定費も削減できそうです。

また自転車の車両は意外と重たく、故障した自転車を修理店まで押して歩くのは大変ですし、特に高齢者等は中々修理に行けない人もいるかもしれません。

出張形態ではワゴン車一台と工具さえあれば資金としても100万円前後で開業は可能かと思います。

 

ただし自転車の出張修理ビジネスにも幾つか多少のデメリットが考えられます。

  • 出張料金がかかる(単価が上がる)
  • 出張エリアが限定される
  • 売上に限界がある(移動時間を含めると1日に4~5件)
  • 店舗を構えている場合、別に人手が必要
  • 出張前に自転車の種類が特定しにくい事も
  • 修理時に部品が必要な場合、発注が必要
  • ネット経由の受注が多い為、SEO等の知識も不可欠

 

確かに大手があまり参入していない分、自転車の出張修理は個人でも入り込む余地はありますが、一人開業の場合には売上に限界があります。

出張料を含まず客単価が1200円程度としても、日商は5000~7000円程度といった所でしょう。

副業程度の売上で良いのであれば検討範囲に入りますが、事業規模として考えるのであれば人を雇用して展開する必要があるようにも思います。

もしくは店舗の営業時間外や休日を利用しての営業など、時間の使い方にも気を配ります。

出張修理は来店できない顧客をサポートできるというやりがいのある仕事である反面、売上を立てていく為の工夫が必要と言えそうです。

 

自転車屋の開業で失敗しない為に

自転車屋さんの中には残念ながら途中で撤退をしてしまう店舗もあります。

それでは自転車屋で失敗をしてしまう理由としてはどのような点が挙げられるのでしょうか。

考えられる点を幾つか挙げてみます。

 

借入・初期投資が多い

あくまで店舗にもよりますが、自転車屋というのは他業種と比較しても利益を取りにくい業態のようにも思えます。

一般的には1日3~4万円程度の売上と言われる中で、細かい収支をやりくりしていかなければなりません。

その中で開業当時に初期投資を多くし過ぎ、返済の割合が大きくなってくると経営を圧迫していきます。

開業時は必要最低限の設備を揃え、売上の規模に応じて徐々に買い足しをしていくようにしましょう。

 

従業員の雇用

これもあくまで店舗によりますが、開業時の売上が立っていない段階から人を雇用するとなると当然に人件費が高く付きます。

特に開業当時は知名度もなく売上も立ちにくい状態であり、人件費を計上すると赤字も十分に考えられます。

まずは一人や家族での経営を考え、人を雇用するのは売上が安定してきてからでも遅くはありません。

 

リピーターを増やす

自転車を修理してもらった経験がある人であれば分かるように、自転車が故障した場合には持ち込む店舗が人によって決まっている事が多いです。

それは自宅から近所のお店かもしれませんし、駅に近い商業施設の中の店舗かもしれません。

自転車屋と言うとリピートというイメージが沸かない人もいるかもしれませんが、売上を安定させるにはリピーターの存在も大切です。

その為にもメンテナンスやアフターサービスに力を入れる・会員制の導入・無料点検期間の設定・従業員の資格取得など、顧客の信頼を得てリピーターを確保していく事が大切です。

 

コンセプト・カラー

自転車屋は大別すると大手の量販店や個人の自転車屋・スポーツバイク等の専門店に分かれます。

今後は競合店の増加や値上げが想定される中、個人の自転車屋では特定の分野への特化も求められます。

どの客層をターゲットにしているのか・自店のウリは何かといった事を明確に打ち出す事も大切です。

 

固定費が高い

先ほどのシュミレーションでも挙げたように、個人経営の場合には仕入れ費用(原価)とテナント賃料がコストの大部分を占めます。

そのため毎月の賃料が高かったり借入返済が大き過ぎると、経営を圧迫します。

長く続いている自転車屋さんの中には、高齢者夫婦が経営していたり人件費のかからない二代目が次いでいる店舗・持家等を改装して自転車屋を経営している店舗等も多く、テナント賃料がかからない店もあります。

特に開業当初は売上が見込みにくい事から、固定費をなるべく抑えて経営を考えていくようにしましょう。

 

提携先を確保し収入の安定を

自転車屋は収入を底上げするためにも官公庁関係等の提携先を増やしていくように努めていく事も大切です。

学校や郵便局や警察は毎年のように新車を定価で税金で購入してくれますし、購入後も定期的にメンテナンスが必要になります。

またロードバイクやスポーツバイクなど専門店として利益を出す自転車屋もあります。

スポーツバイクの売上はここ数年で電動自転車と共に伸びを見せており、ハードなスポーツ系ではランニングコストがかかりやすくなるので自転車屋の修理依頼が割とあります。

またチーム単位で動くので比較的大口の修理や注文依頼が入り易いのも特徴であり、マウンテンバイクやロードレース団体に加盟している自転車屋も多いようです。

 

また自転車といっても中古自転車を販売しているお店もあります。

大阪等は特に放置自転車の数が有名ですが、この放置自転車の処理を巡る問題も年々大きくなっています。

時々中古自転車が格安で販売されているのを見かけますが、あのような自転車はもちろん道路やゴミ捨て場にある自転車をそのまま持って帰ってきて再販している訳ではなく、自転車にも所有権があり関係者への了解を得てから再販する事になります。

しかし中古の場合には状態が傷んでいるものや別パーツが必要な場合が多いので、修理を含めると再販をしても大きな利益が見込めない場合もあります。

自転車屋には様々な販路がありますが、仕入れやメンテナンスに手間がかかる事も多いので、効率の良い販路を拡大していくようにしましょう。

 

自転車屋の開業まとめ

自転車屋さんの開業について幾つか挙げてみました。

自転車屋はやり方次第では常連客を増やしながら地道に売上を伸ばし、経営を続けていく事は可能なようにも思います。

また自転車自体のニーズは今後も無くなりにくい事から、その分底堅い商売とも言えます。

ですが自転車屋は競合店も多く、現在ではシェアリング等の新しいサービスも出てきている事から、今後は利用客に選んでもらう為のサービスやスタイルが必要です。

試行錯誤を繰り返しながら、自店のカラーを打ち出していきたいですね。

それでは今日はこの辺で。

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