臨床心理士の独立・開業・稼ぎ方

臨床心理士の独立・開業・稼ぎ方

今回は臨床心理士について書いてみようと思います。臨床心理士とは臨床心理学の知識や技術を用いて

心理的な問題を扱う資格者です。心のカウンセラーといった所でしょうか。心理学系の資格はたくさんありますが

中でもこの臨床心理士は「日本臨床心理士資格認定協会」が実施する「臨床心理士資格試験」に合格し、認定を受け

なければなりません。心理系の資格の中には国家資格が存在せず心理カウンセラーやセラピスト・心理士などの

民間資格はありますが心理系の中ではこの臨床心理士が最も注目を集めていると言えるのではないでしょうか。

この不景気の中、心の問題を抱えた人は数多くいますが臨床心理士は臨床心理学を用いて

心のケアをしてあげなければなりません。私の近所でも臨床系の医者やカウンセラーは幾つかありますが

予約は1~2月待ちです。それほどに心の問題を抱えている人の多さやその患者に対しての供給(カウンセラー)の数が

間に合っていない事の現れでしょう。

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臨床心理士になるには、その養成に当たって日本臨床心理士資格認定協会が指定する臨床心理士指定大学院の

臨床心理学系専攻修士課程又は専門職学位過程を修了することとなっています。専門業務としては臨床心理査定や

臨床心理面接・臨床心理学的地域援助・臨床心理学調査・研究等となります。活躍の場としてはスクールカウンセラー

としての教育分野や医療分野(心理セラピスト)・福祉分野(児童相談所や福祉事務所など)・司法分野(家庭裁判所

や少年院など)が主な活躍場として挙げられます。臨床心理士の給与としては時間給に換算すると4000~5000円

くらいと意外に高給なようにも見えます。しかし実際には非常勤講師が多く十分な労働時間を確保できない臨床心理士が

多く、世間のアルバイトや派遣社員よりも給与が低い臨床心理士が数多くいます。また文部科学省の任用規定には

「週8~12時間」までの勤務制限が掲げられており資格取得には多くの時間を割いたわりには満足な報酬は

得られないという現状があります。仮に時給5千円として週10時間労働だとすると月収は20万円程度・

もちろん賞与はない場合が多いので年収ベースでは200万円前後の臨床心理士が多いように思います。

また臨床心理士の国家資格化も騒がれておりますが中々スムーズに話が進まない

歯がゆい状態が続いているようです。国家資格がうまく進まない事や心理士という世間の認知も曖昧な部分がある事・

半ば詐欺的な心理カウンセラーが混在している事もあり実際の就職状況も芳しくないのが現状であります。

アメリカ等では心理カウンセラーという職業は身近な存在であり例えば友人同士のケンカでもカウンセラーを

利用する仕組みがあるほどですが、日本人の場合にはトラブル時にすぐに専門家に依頼するという傾向がまだまだ乏しく

あまり浸透していない部分もあります。

臨床心理士の注目が集まっている事は間違いないのですが指定大学院に入学しないといけない大変さや

その後も長い勉強や研究が必要な事・世間に臨床心理士として活躍の場をもらうには執筆活動や論文発表を

継続して行い名前を売っていかなければいけないというサムライ業的な一面もあります。

中には美人カウンセラーやイケメン臨床心理士等でメディアで活躍している人もいますがそれは一部の人。

多くの臨床心理士は活躍の場を作る事に疲弊しており好きな日に休みを設ける事も出来ずに働いているのが

実際です。

世間の公表では臨床心理士の平均年収は300~500万円なんて発表がなされる事も多いですが

実際のところは150~250万円がいい所でしょう。やはり仕事にありつくまでがこの資格の難しさであり

厳しい所です。臨床心理士としてもっとも稼げるのは学校勤務が挙げられるかと思います。それも国公立

よりも私立学校の勤務でのスクールカウンセラーとして常勤勤務をすれば500~600万の年収も

射程圏内に入ってきます。ですがそれだけに競争率が高く最初は自給制1000~1200円くらいの

非常勤講師から就職し経験を積んでいけば晴れて常勤として定職できる事が多いです。そのためには

心理学技術の習得度だけではなく周囲の学校教員や生徒とのコミュニケーションなど対外的な要素も

必要になってきます。また心理系の資格者で稼いでいる人の共通点としては面白い事にいくら心理学としての

知識や研究成果に優れている人であっても高給取りではないという所です。むしろ臨床心理士としての

知識の部分はそこそこでも周りとのコミュニケーションや調和が取れている人が常勤講師になりやすい傾向が

あるように思います。この辺はサラリーマン等と変わらないのかもしれませんね。また非常勤である事を

逆手に取り複数の学校と雇用契約を締結する臨床心理士も多くいます。複数の学校に努める人の中では

500~600万の年収を取る人も少なくありません。

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また別の稼げる枠としては学校の枠を出てビジネスマンを対象にしたコーチング等も魅力です。

最近の若者は気持ちも希薄な人が多く上司も部下にモチベーションを持たせる事に苦労しています。

上長からは部下にやる気を持たせろとはっぱをかけられますがその上司でさえ今までにコーチングの経験が

ないだけにどのように部下をやる気にさせるのかというスキルを持ち合わせておらずその上司さえもストレスを

抱えてしまうという事態に陥ってしまう事も。そんな環境に今臨床心理士の活躍の場が少しずつですが発生しています。

またビジネス会社相手という事もあり他の臨床心理士の職場と比較すると高給になるケースも数多くあります。

当然そのコーチングの成果が現れてくる事が前提ですが継続的にミーティングや指導方法の教授に声がかかるようになると

年収1000万円近く稼ぐ人もいます。どんな資格も使い方次第という事ですね。この臨床心理士という

資格に向いている人は自分で仕事を造れる人。特にこの資格があるからといって明確な独占業務がある

訳でもないし診療をして患者のメンタルが向上したとしてもそれは数字には表れません。会社にしても

学校にしてもその臨床心理士に評価が付けずらい部分があるんですね。例えばどこかの病院に勤務したとしても

同じで本当に有効なカウンセリングをしているのか懐疑的な目で見られる事もあります。それだけに

例えば他のナースの仕事の手助けが出来たりとか患者に積極的に声をかけられるとか自分で仕事のパイを

拡げていく能力も必要になります。実際には臨床心理士(カウンセラー)としての役割をしているのかという点は

あまり注目されていない場合も多くむしろその職場に必要な人間かどうかという点で見られる事が多いので

臨床心理士という曖昧なポジションに自分で色付けが出来るかどうかがポイントになってくるような

気がします。臨床心理士が飽和状態と言われますが数が多いだけでその中で自分のポジションを確立している

臨床心理士は圧倒的に少ないのが現状です。

また少し驚異的なのが公認心理師の国家資格化の存在。今まで心理系では国家資格が存在しなかったのが

ついに国家資格の誕生であります。今まで臨床心理士として活躍している人にとっては「また受験しなければ

いけないのか?」という不安がつきまとう事でしょう。結果的にはやはり臨床心理士+公認心理士のダブルライセンス

で活躍の場を広めていく事がベターかと思います。雇用する立場としても民間資格取得者よりは国家資格取得者を

置きたがる傾向は強いと思いますし特に医療分野で勤務する臨床心理士としては公認心理士の資格取得は

必須と言えるでしょう。医療現場の「保険診療の手引き」には今まで民間資格である臨床心理士の名前は

記載できませんでしたが国家資格である公認心理士であれば記載することができます。また今後は公認心理士が

心理系の中心になる気がしますので他分野の勤務先においても公認心理士を取得しているメリットは大きい

ように思います。確かに臨床心理士法42条の「公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を

要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない」という条文は職域を

狭めるようで多少引っかかる部分もありますがそれでも心理系唯一の国家資格であるというバリューは揺らがない

でしょう。これから公認心理士の受験を考えている人は猛勉強が必要になりそうですね。

ブログテーマが独立や収入のテーマである為、金銭的な部分を中心に書きましたが本来の臨床心理士や

公認心理士の存在意義は別の所にあるはず。今後増々人間関係は希薄になり心の病気に悩む人は多くなってくる

ように思います。臨床心理士や公認心理士等の活躍を期待すると共にもっとこれらの資格者が能力を発揮できる

ような体制の整備にも国や関係団体に期待したい所ですね。それでは今日はこの辺で。

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