海事代理士の独立・開業・稼ぎ方

海事代理士の独立・開業・稼ぎ方

今回は海事代理士の独立・稼ぎ方について書いてみようと思います。

海事代理士という資格をご存じでない方も多いかと思います。言ってみれば「海や船の専門家」といった

ところでしょうか。以前ナニワ金融道というドラマでもこの海事代理士が活躍するストーリーが

描かれた事があり多少は世間に浸透しましたがまだまだ知られていない資格かと思います。

以前は海事代願人という資格でしたが1948年に失効となった為に後身として今の海事代理士が

創設されました。

海事代理士は主に船に関しての申請や届け出・登記・関係書類の作成が主な仕事になります。

書類作成や届出書の作成という意味では業務内容が行政書士とダブる部分もあり実際に行政書士と

ダブルライセンスで活躍している海事代理士もいます。

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海事代理士の試験内容は筆記試験と口述試験からなり受験資格は特にありません。毎年9月頃に

試験が行われ概ね40%前後の合格率で推移しています。40%の合格率というと簡単な資格のようにも

感じますが海事代理士の受験者は司法書士や行政書士・社労士の資格取得者も多く、合格率を底上げしている

部分もありますので低レベルの資格とは考えないほうが良いでしょう。中には宅建あたりと同レベルと

位置づけする予備校もあります。また合格後に海事代理士として登録をすれば晴れて資格者として名乗る事ができます。

海事代理士の仕事を大きく2つに分けると海事一般事務と海運関係現業職に分ける事ができ

前者は、一般企業の総務や経理・公務員・法律関係職の分野にまたがり、後者は船員・海運業・

造船業の現業職という位置づけになります。もし海事代理士で独立開業を望むとすれば後者の

選択肢を持ったほうが良いように思います。一般事務系職ではあまりに専門的な業態であり

業界独特の体質・気質、慣習を理解しておく必要があります。また海運業界自体が閉鎖的な体質を持つため、

強い人脈がないと依頼は見込めず独立開業しても経営は困難でしょう。

法律系資格はたくさんありますが中でも海事代理士は特に独立開業が難しい資格と言えるでしょう。

また他の法律系資格と職域が被る事も多く、例えば船舶の登記や登録は司法書士が兼ねる事ができますし

小型船舶の登録や内航海運業法に基づく諸手続も行政書士が兼ねる事ができます。また海運会社の

就業規則作成や船員保険の取り扱いは社会保険労務士の範疇という事になり、海事代理士が行える

独占業務は僅かとされています。またどこからどこまでが独占業務かという線引きも有識者等によって

曖昧な部分があり明確なガイドラインが示されていないのも混乱を招く原因になるケースがあります。

海事代理士の独立が絶望的かと言えば可能性はゼロではなく中には海事代理士として1000万を超える

年収を稼ぐ資格者も実際にはいます。海事代理士はその特殊性からか独立希望者自体が少ないですが

稼いでいる海事代理士は昔からその地域に根付いて業務を独占しているような事務所が多く新規参入を

認める風潮はほぼありません。また競争者が少ないために競争原理自体が働かない事や、海事代理士に

依頼せずとも他の士業で賄える業務も多いため、なかなか独立して稼ぐ事は困難なように思います。

また最近では日本の海運会社でさえも外国船舶を利用する事が多くなった事から今後海事代理士の

仕事は減ってくるように思います。どうしても海事代理士として稼ぐのであれば本来の業務は

一度置いておいて、スクール経営等で稼ぐ海事代理士もいます。例えばモーターボートスクールの

経営を初め受講者を集めて免許の申請を海事代理士が代理するような形です。小型船舶などに

関しても同じような稼ぎ方が考えられるかと思います。また扱うのが船舶だけに登記の専門家である

司法書士でも船舶に関しては詳しくない場合も多く船舶の登記ルール1つ取っても特殊性があったりもします。

海事代理士の取得者が少ないだけにニーズがあるマーケットを掘り起こす事ができれば大きな稼ぎを

生みそうな資格ではありますが既に完成された所が多く自分で市場を開拓していくのはなかなか

困難である事は間違いないでしょう。今後も苦戦すると思われる海事代理士ですが他の士業とのダブルライセンスや

新たなマーケット開拓が独立の鍵と言えそうですね。それでは今日はこの辺で。

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