便利屋の開業方法は?儲かる?年収や資格・仕事の取り方まで解説

今回は便利屋の独立開業について挙げてみたいと思います。

嫌な作業や面倒な事・自分ではできない事・専門的な仕事など、基本的に何でも頼めるのが便利屋です。

家具の移動や大工仕事等だけでなく、中には墓参りや犬の散歩・花火大会の場所取りなど変わった依頼もあり、様々な依頼が舞い込みます。

昨今は高齢化に伴い、外出が億劫な人や自分ではできない事を便利屋に依頼するケースも多いと聞きます。

今回はそんな便利屋の独立・開業に触れてみます。

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便利屋の開業方法は?

 

便利屋に特別な開業方法はありません。

極端な話、明日からでも便利屋を名乗ることができます。

すぐに便利屋としての看板を上げても問題はありません。

 

便利屋に限らず、事業を開始する際には「開業届」を提出します。

具体的には「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出する事になります。

未提出の場合でも罰則規定はありませんが、開業届を提出する事で青色申告ができたり屋号の口座が作れるといったメリットもあります。

 

また当たり前の話ですが、開業届を提出しないからと言って税金を支払わなくて良い訳ではありません。

提出方法は郵送と窓口(税務署に直接提出)がありますので、自分に合った方法を選択しましょう。

収入を得られるようになってから提出するといった人も見受けられますが、開業届は開業後一か月以内に提出をするようになっていますので、提出をする方は早めに手続きしておきましょう。

 

最低限必要な手続きは以上です。

ですが便利屋の仕事上、取得しておいた方が良い資格等がありますので、以下でご紹介します。

 

便利屋の開業に必要な資格は?

便利屋の開業をする際、取得しておくべき資格はどのようなものがあるでしょうか。

幾つか挙げてみます。

 

古物商

便利屋の場合、仕事上で中古品やリサイクル品を取り扱うケースが多い事から、古物商を取得しておいた方が良いです。

最寄りの警察署で申請書を提出し、通常であれば一か月以内程度には取得ができます。

ただし古物商は中古品等を取り扱う資格であり、不用品やゴミを廃棄処分できる資格ではありませんので注意が必要です。

 

一般廃棄物収集運搬業

一般廃棄物を収集・運搬するために必要な許可です。

家庭から出る一般廃棄物や事業所などから出る一般廃棄物を収集運搬するにはこの許可が必要となります。

 

産業廃棄物収運搬業者

飲食店や工場・施設などのゴミ(産業廃棄物)を扱う場合には自治体からの産業廃棄物収運搬業者の許可が必要です。

 

一般貨物自動車運送事業

運送屋など自分のトラック等を利用して、顧客の依頼により有償で荷物を運送する事業で必要となります。

 

貨物軽自動車運送事業

軽貨物自動車や125cc以上のバイクを利用して、顧客の指示により貨物を輸送する事業で必要となります。

 

普通免許

依頼主宅への移動などで普段から使用します。

 

便利屋の場合、その名の通り幅広い範囲での仕事を請け負うケースもあります。

もし資格や認可を得ていないと、自分が知らぬ間に違法行為を行ってしまう可能性もあります。

自分が実施するサービスに応じて、資格等の取得を検討するようにしましょう。

 

便利屋の開業資金はどのくらい?

便利屋を開業するのにその開業資金はどれくらいかかるのでしょうか。

それは開業形態や事業内容によって変わってきます。

便利屋と言ってもフランチャイズに加盟する場合には当然に多額の開業資金がかかる事もあります。

FCによって様々ですが、HP製作費・加盟金・販促物購入・研修費などで数十万~数百万の開業資金が必要です。

 

ですがFCに加盟せず自分一人で起業する分には、開業資金はさほどかかりません。

開業資金としても50万~の開業も十分に検討できます。

最低限用意する物としても、PC・軽トラ程度があれば開業自体はできます。

また自分が請け負う作業内容に応じて、工具・機器などを買い足していきます。

 

事務所は信用補完のために必要と考える人もいますが、自宅があれば必ずしも特別なオフィスを構える必要もありません。

特に便利屋の仕事はオフィス内ではなく屋外や顧客宅である事が多いため、事務所を持つ意味が薄いです。

またハウスクリーニング等、作業内容によっては賠償保険に加入する人もいますがケースバイケースと言えます。

 

他にも以下のようなコストも開業資金に含めて検討をします。

  • 駐車場・車両維持費
  • HP作成料金
  • 電話・フリーダイヤル設置
  • 名刺
  • 作業着
  • 通信費
  • 光熱費
  • 広告費

 

ですが現在では無料媒体も多く出ていますし、フリマやネットオークションから良質な中古品も安く購入できます。

低コストで開業しやすいのも便利屋の利点と言えます。

ですが開業自体は容易でも、そこから売上を築いていく事は簡単ではありません。

自分なりの集客方法を考え、僅かな需要でも拾って仕事に繋げていく必要があります。

 

便利屋の仕事の取り方は?

ネット等が普及している等、世の中が便利になっているからこそ日常の作業が面倒に感じる人が多いものです。

便利屋はそのような時代のニーズにも沿った仕事と言えるでしょう。

 

便利屋は仕事の依頼が来た時に臨機応変に動けるスピードと技術・知識があれば誰でも十分開業可能です。

便利屋に舞い込む依頼内容としては買い物代行や庭の手入れ・引っ越し・水周りの修理・PC修理・冠婚葬祭代理出席など本当に様々です。

最初は自分のカバーできる範囲の依頼から引き受けていき、徐々に作業範囲を広げていくようにしましょう。

修理系の依頼では作業道具が必要な場合はありますが、一辺に揃えずにその都度少しずつ購入して揃えていく事をお薦めします。

 

また便利屋には様々な仕事の依頼が舞い込むため、開業当初はどうしても自分がカバーできない仕事の依頼が来てしまう事もあります。

そのため出来れば電気工事士やリサイクル業者・解体業者など関連会社との提携を強めておいた方が無難と言えます。

対応方法がわからないからと言って受注を逃すのは機会損失でもあり信用を失います。

その都度相談できる職人を周囲に囲っておくようにしましょう。

 

また便利屋の廃業パターンとして多いのが、最初から本業として便利屋を開業してしまう事です。

便利屋として開業をしても、開業直後からすぐには顧客からの依頼は来ません。

ホームページやブログ・SNS等・チラシ・電柱看板など広告の効果が徐々に上がって、知名度も高まってくるとポツポツと依頼の電話が鳴る程度。

そのため開業当初は小さくサイドビジネス等として始め、固定客や見込み客が増えていってから本格的な開業を検討する方法も考えられます。

 

また便利屋の顧客はリピーター客が多くを占めます。

開業直後は新規客の開拓から始め、リピート客が増えていくと徐々に売上も安定していくので、その売り上げ基盤が出来上がるまでに時間がかかります。

そのため便利屋の集客で大切なことは、依頼をしてくれた1人1人の顧客の満足度を上げる事に専念し、次回のリピートに繋げられるかどうかが成功の要素と言えます。

便利屋の仕事は一般家庭の仕事が多いので、一人の顧客から口コミ等により別の仕事の依頼に繋がるというケースもあるでしょう。

 

また職種がはっきりとしない便利屋に対して、あまり良い印象を持たない人もいます。

中には「料金相場が不明瞭」「知らない人が家に入るのは嫌」などと感じる人も多いものです。

そのため仕事のクオリティや料金体系を明確にする事はもちろん、依頼時の清潔感や言葉遣いなど基本的なマナーも配慮するようにしましょう。

 

また「便利屋」と言うと聞こえは良いですが、その実際の仕事内容は御用聞きに近い部分もあります。

1つの依頼のついでに「別のあの作業も…」と他の仕事を頼まれる事も少なくありません。

そのため例えば顧客が高齢者であれば、御用聞き・相談相手・掃除・買い物代行など、小さな仕事でも引き受けるように心掛ける事が次回の仕事依頼に繋がります。

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便利屋の開業は儲かる?

便利屋の開業は儲かるのでしょうか。

開業者によってそれぞれですが、実際にはまともに稼げている人は少数です。

まず便利屋の客単価はさほど高くはありません。

せいぜい数千円~数万円程度の作業賃が多く、数十万円になる仕事は稀です。

それだけに作業量を多くこなさなければまとまった利益にはなりません。

 

便利屋の利益率は仕事内容にもよりますが、70~80%程度。

もし客単価が1万として、月に50万稼ぎたいのであれば月に70件以上の依頼をこなす必要があります。

月に換算すると一日2件以上の受注が必要な計算になりますが、果たして新規開業者に立て続けに一日2件の受注があるでしょうか。

冷静に考えれば分かる事ですが、かなりハードルが高いと言えます。

周囲に同業者のサポートもなく全て一人から開業する場合、その年収は100~200万円周辺を辿っている人も多くいる筈です。

便利屋は参入障壁も低く、今後も競合者は増えていく事が予想され、増々稼ぎにくくなる可能性もあります。

 

一部ではありますが、かなり稼いでいる便利屋さんもいます。

個人的に感じるのは、稼いでいる便利屋はWEBに強いという事です。

特に今では注文の殆どがスマホ等のネット上から依頼が入ります。

もちろん便利屋には高齢者客も多い事からチラシや情報誌等の集客に意味がないとは思いませんが、やはり今後は増々ネット集客が中心となっていく事でしょう。

昔はチラシも千三(1,000枚配布で3件の反響がある)と言われていましたが、今ではチラシの効果は更に低くなっています。

 

特に便利屋の商圏は狭い事から、地元を中心としたネット集客は大切です。

例えば「○○市 便利屋」といったようなビッグキーワードで上位表示できれば、かなりの受注が見込めるでしょう。

また便利屋に依頼をする顧客は依頼内容が事前に決まっている場合が多いので、例えば「○○町 害虫駆除」「○○市 トイレ修理」など、周辺キーワードもしっかりと拾っていくようにします。

その他にもジモティやエキテン等、活用できる無料媒体は積極的に利用していきましょう。

 

またネット集客だけでなく、地元自治会や土建組合・リフォーム業者・ハウスクリーニング・葬儀屋・不動産屋など、便利屋の仕事は様々な業種と繋がっていますので、出来るだけ多くのパイプを持っておくと仕事に繋がりやすくなります。

便利屋はスピードを持ってどれだけ臨機応変に動けるかが大切です。

利用出来るモノは全て利用する感覚で積極的に行動していきましょう。

 

なぜ便利屋に仕事がないのか

便利屋は利益率の高い商売でもあり、その利益の多くは技術料で占めます。

かかる経費はガソリン代やちょっとした工具・材料程度。

便利屋は利益率の高いビジネスでもあります。

ですが便利屋の中には残念ながら廃業してしまう人もいます。

開業をしても仕事なく、生計を立てれる程の売上を立てる事ができない人も多くいるのです。

これだけ割りの良いビジネスでなぜ廃業者が出るのでしょうか。

 

それは当たり前かもしれませんが、競合が多過ぎるからです。

便利屋と言うと幅広い客層をリーチできるイメージがありますが、逆に言えば「専門性がない」と捉えられてしまう恐れもあります。

周囲には既に数々の専門業者がおり、電気工事店・リフォーム店・大工・害虫駆除業者・ハウスクリーニング・引っ越し屋など、その道のプロが存在します。

 

例えば家庭内のトイレが水漏れを起こした場合、どこに連絡をするでしょうか。

大抵の人は水回り専門の業者やトイレ修理業者に依頼をし、便利屋に連絡をする人は恐らく少数派ではないかと思われます。

「餅は餅屋」とはよく言ったものですが、便利屋=自店のカラーを打ち出しにくいといった一面もあります。

 

ですが便利屋にニーズがないかと言えば、そうではありません。

専門業者に依頼せず、「便利屋に依頼をしたい」というニーズも必ずあるのです。

 

例えば私の知り合いの男性が、自宅の軒天部分が破れていた事があり、以前に便利屋に修理をお願いしました。

便利屋に連絡をした所、すぐに業者(下請け)に連絡を取ると言われたそうです。

その男性は業者間のマージンがかさむ事を毛嫌いし、その依頼は却下しました。

ですがその男性が、「便利屋」に依頼をしようとした事は事実です。

 

なぜ便利屋にお願いしたのかと聞くと、「他の大工に断られたから」との事でした。

その家は築50年近く経過しており他の大工に依頼をした所、軒の穴を修理をしても建物全体として改善の見込みが薄いため、補修を断られたとの事。

ですが本人としては破れた軒天を放置する事もできず、便利屋に依頼したとの事でした。

 

確かに数多くの専門業者が存在していますが、便利屋のニーズはどこに潜んでいるのか分かりません。

便利屋として仕事がない状態であってもどのようなニーズにも対応できるように、常に周囲にアンテナを張っておく必要があります。

 

便利屋に多い依頼とは

便利屋に舞い込む依頼内容にはどのようなものがあるのでしょうか。

便利屋に多い依頼を幾つか挙げてみます。

  • 部屋の片付け
  • 家具の移動・組み立て
  • 引っ越し・梱包
  • 張替作業(網戸・障子・襖など)
  • 並び屋・買い物代行
  • PC修理
  • 不用品処分
  • ゴミ屋敷掃除
  • 庭の剪定
  • 送り迎え
  • 探偵依頼
  • トイレ・タンク内修理
  • 水道パッキン交換
  • 害虫駆除
  • 鍵交換
  • 排水管掃除
  • エアコン修理・掃除
  • 草むしり
  • ハウスクリーニング

 

便利屋には多くの仕事の依頼がきますが、最初から全てをこなせる人はいません。

一つずつ技術を習得し、自分でカバーできる作業範囲を広げていくようにしましょう。

 

便利屋の技術を習得するには

便利屋を開業しても技術がなければ仕事をこなしていく事は難しいですし、お粗末な仕事ではリピート客も付きません。

それでは便利屋の技術を習得するにはどうすれば良いのでしょうか。

 

職人に同行する

職人に知り合いや伝手がある場合、仕事依頼を受けた際にその職人に仕事を廻し、作業に同行させてもらうという方法があります。

もちろん職人には工賃を支払いますので売上は分け合う事になりますが、技術・ノウハウを享受できればそれ以上のメリットがある筈です。

 

便利屋で働く

便利屋として開業したい場合には、便利屋さんで働いてみる事も近道です。

アルバイトでも良いので、実際の作業をこなしていったり、仕事の回し方を覚える事は参考になります。

お給料をもらいながら技術を学ぶことができるので、これ以上の方法はないでしょう。

 

書籍

現在では本屋等に行っても様々な書籍がありますし、図書館などでは無料で本を借りる事もできます。

特に書籍ではネット上で入手できないような専門的な情報を得られる事もありますので、足りない知識は本から吸収することも出来ます。

 

職人ブログ

現在では便利屋さんを始め、多くの職人さんがブログを立ち上げて、自身の作業内容等を公開しています。

他人の仕事を見る事は参考になりますし、自分のモチベーションアップにも繋がります。

 

ネット動画

YouTube等を始め、公開動画から多くの技術や作業風景を見ることもできます。

実際の作業を動画として見ることで、細かな手作業などが確認できる事もあるでしょう。

 

便利屋の仕事は多岐に渡ります。

そのためまずは自分の得意分野から仕事の幅を広げていく事も一つの方法です。

勉強と実践を繰り返していく事によって、周囲に頼られる便利屋さんになりたいですね。

 

便利屋のトラブルに注意?

便利屋は確かに仕事のフィールドが広く、どのような事でも任せられるイメージがあります。

ですがそれは、どのような仕事でも請け負って良いという意味ではありません。

顧客の中には、時には便利屋に違法行為を働かせるような依頼をしてくる人もいるかもしれません。

もしくは無免許・無資格でついつい違法行為に手を染めてしまうケースもあり得ます。

上記でも挙げたように、例えば廃棄物処理・軽貨物運搬の免許が必要になりますし、中古品の売買は古物商が必要です。

特に便利屋開業時は受注も少なく仕事欲しさについ手を染めてしまう気持ちもわからなくはないですが、危険な依頼はしっかり断るようにしましょう。

 

便利屋の開業まとめ

便利屋の開業について幾つか挙げてみました。

便利屋は低資本で開業でき、作業内容によっては特別な資格も不要な事から開業者も多いのが実際です。

ですが参入障壁が低い分、独立開業をしても便利屋としてまともに生き残れるのは僅かな数となっています。

本格的な高齢化を迎える今後において、便利屋のニーズは増々注目されていく筈です。

開業時には経営計画をしっかりと立てて、無理のない運営を目指すようにしたいですね。

それでは今日はこの辺で。

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