農業の独立・開業・稼ぎ方

農業の独立・開業・稼ぎ方

今回は農業の独立・稼ぎ方について書いてみようと思います。

現在日本の農業に対する意識は深刻になっています。特に若者は農業離れが進んでおり自治体や農家も

若者への就農に対し取り組みを進めておりますがまだまだ状況は改善されず高齢者が多い地域では今後増々

農業離れが進んでいくでしょう。2005年には8万人以上の就農者がいましたが2013年には6万人前後に

減少しており今後も減少傾向は続くかと思われます。私達が普段から食しているお米や野菜・果物は無限に供給され続ける

ものと過信してしまっている部分もあるのかもしれません。また少数ではありますが農業を投資目的と

捉えたり社会貢献の一環として考えて農業を始める人が出てきたのも事実です。

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農業には大きく2つに分けて耕種農業と畜産に分けることができます。耕種農業は米や野菜・果物などを

栽培することを言い、畜産は牛や豚を育て肉を生産したり牛乳やチーズを生産する事になります。

まず農業を始めるには全くの素人の方であれば知識や情報を集める事から始めます。

知り合いや親戚に農家がいれば相談してみても良いでしょうし農業委員会に相談すれば農業の始め方

なども割りと親切に教えてくれるでしょう。また農業法人等のインターンシップや就農準備校でも

定期的に初心者に対して農業研修を行っている場合もあるのでチェックしてみても良いかと思います。

さて農業に関する知識をある程度得て実際に農業を始めようと思ったらまずは農業委員会の許可を得なければ

なりません。許可を受けるには以下のような要件があります。

①【全部効率利用要件】 農地のすべてを効率的に利用して耕作の事業を行うこと
②【下限面積要件】 経営面積の合計が原則50a以上(北海道は2ha以上)であること
(市町村農業委員会によってはこれより低い面積を設定している場合があります)
③【農作業常時従事要件】 個人の場合は農作業に常時従事すること
④【農業生産法人要件】 法人の場合は農業生産法人であること
⑤【地域との調和要件】 周辺の農地利用に悪影響を与えないこと

上記のような条件を全て満たさない場合でも許可が降りるケースもありますのでまずは農業委員会に

相談してみましょう。

またいくら知識を得たからといっていきなり大きな農地を借りて大規模な耕作を行うのはとてもリスクが

高いです。頭の中で描いている農業と実際に栽培・耕作するのでは大きな開きがあります。サラリーマンが

脱サラして農業を始めるケースも増えていますが成功して農業で生計を立てられる人は半数もいません。

まずは家庭栽培程度から始め商品として提供できる程の作物ができ、販売ルート等もある程度確保できるように

なってから徐々に規模を広げるようにしていきたいものです。田んぼも1反あたり10000~20000円

くらいで借りられるので徐々に面積を広げられるように想定して始めましょう。ちなみに田んぼ1反あれば

年間で大体10人前のお米(年間500㎏前後)を収穫できます。その田んぼがある気候や地質によっても

耕作しやすい作物は変わってきますので周辺の田んぼがどのような作物を栽培しているのか近隣の調査を

してから選ぶようにしたい所です。

また農業を始めるのに意外に大きな弊害となるのが資金面です。実際に自分が作物を作って販売まで

至るには3~4年程度は必要になります。初年度から2年目までに農業だけで生計を立てられる人は実に10%

程度とされています。特に果実等の栽培であれば収入を得るまでに数年はかかるでしょうからそれまでは

設備投資資金など自分の持ち出しです。初年度の自己資金も700~1000万円程度は必要とされており

農地の運営や設備費用・当面の生活費を3~4年工面するとなるとトータルで2千万円前後は確保して

おかないといけません。しかし最近では高齢により農家を廃業する人や農業設備を比較的安価で購入

できる事・農地をタダ同然で借りられる場合がある事などを考慮すればもう少し低コストで開業できる

場合もありますから要はやり方次第です。

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例えばお米を作る事から始めるとなると農地を用意し農業委員会に許可を得てから、工程としては

土作り→田植え→管理→収穫→保管という流れを経ていきます。1つ1つの工程を取ってみても

その作業をどれくらい作業を機械化してしまうかによって大きく開きが出てきます。土づくりで手作業なのか

耕耘機を使うかトラクターを使うかによっても大きく違いますし田植えでも手作業なのか歩行用田植機なのか

乗用田植え機によっても金額は大きく異なります。作業工程でどの部分まで機械化してしまうかによって

収穫までに数百万円変わってきますので自分の体と相談して無理のないスケジュールを組むことが必要に

なってきます。

無事収穫が出来たとしても販売ルートを確保しなければなりません。農協ルートで販売するのか地元市場で

販売するのかネットで販売するか直売所へ持ち込むか自分で売り歩くか、自分の作物を販売しやすいルートを

確保する必要があります。現在では農協の販売ルートを利用している農家がほとんどかと思いますが

今後は直販ルートを確保しないと農業経営は厳しいでしょう。米の卸価格も暴落しており農家も農協に

頼りっきりではいつ破綻するかもわからないという気持ちでやっている人も多いかと思います。

しかし資金を農協から借りている農家が多いため、農協販売を離れられないという事情もあり中々

独自ルートの直販に踏み切れないのが農家の本音といった所でしょうか。もし独自ルートを開拓するのであれば

八百屋に卸すのか米屋に卸すのか道端に展示販売するのか訪問販売をするのか軽トラに作物を積んで

販売するのか等、色々と販売手法を試行錯誤して最も利益率の高いルートを一から開拓していかなければ

なりません。今後は今までの農家のイメージを一新して販売ルートを構築していく事が必要になっていくでしょう。

余談ですが例えば街中で「みかん販売していますけど要りませんか?」なんて果物入りの箱を持った

若いお兄さんに声を掛けられた人もいるのではないでしょうか。あれも数年前から流行ってきた野菜や

果物の販売手法です。各地市場や農協から売り残り品などを格安に仕入れ販売する手法のようです。

また金額も大体3000円以下に設定されておりクーリングオフの適用対象外を見込んだ商売のようにも

考えられます。仕入れや販売の仕方は色々と賛否はあるのでしょうが要はそれくらい斬新・大胆な販売形式を

取らないと今後の農家は衰退していく可能性があるのも事実ではあります。今後の新しい形式の農業に

期待したいですね。それでは今日はこの辺で。

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