ネットカフェ・漫画喫茶で独立・開業するには?成功のポイントを解説
今回はネットカフェ・マンガ喫茶の独立開業について挙げてみたいと思います。
ネットカフェは都心部を中心に至る所で見かけるようになりました。
以前は若者が利用者の中心でしたが、現在では高齢者も含め幅広い年代で利用者が増えています。
またその利用形態も単純に漫画を読みたいだけの人・くつろぎの時間を求める人・ネットカフェで寝泊まりしている人・オンラインゲームに熱中する人・カップルの憩いの場として利用する人など、利用目的も多様化しています。
ネットカフェ・マンガ喫茶の開業はその利益率の高さから、将来的な独立を考える方もいます。
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目次
ネットカフェ・漫画喫茶を開業するには?
ネットカフェ・漫画喫茶を開業するにはどのような許可が必要になるのでしょうか。
幾つか必要な手続きを挙げてみます。
飲食店同様、ネットカフェでも飲食物を提供するため保健所の営業許可が必要となります。
ネットカフェが施設基準を満たしていなければ開業をする事はできません。
許可が下りれば営業許可証が交付され、営業を開始する事ができます。
ネットカフェ開業の場合、上記の飲食店営業許可もしくは喫茶店営業許可を得ることになるでしょう。
2つの違いを大まかに言うと、飲食店営業許可が食事全般なのに対し、喫茶店営業許可では「お酒の提供」と「料理の提供」ができない事が挙げられます。
また審査ハードルとしても喫茶店営業許可の方が若干低めです。
ですが昨今のネットカフェでは食事サービスを充実させている店舗も多く、また多くのカフェ店等でも飲食店営業許可を取得しているお店が多いので、長期的な運営を考えているのであれば飲食店営業許可を取得しておいた方が良いでしょう。
ネットカフェ開業においても、営業許可を受ける施設ごとに1名以上の食品衛生責任者を配置する必要があります。
食品衛生責任者を配置することにより施設内の管理運営を行い、食中毒や食品衛生法違反を起こさないようにします。
通常であれば、1日程度の講習を受けることで取得できます。
なお、栄養士や調理師資格等を持っている方は食品衛生責任者資格の取得は不要です。
深夜(午前0時~午前6時)において酒類の販売を行なう場合には、「深夜酒類提供飲食店営業」としての届け出が必要です。
これは主にバーや居酒屋・スナック等が届け出をしますが、ネットカフェの場合においても深夜に酒類の提供をする場合には公安委員会へ届け出をする必要があります。
最近ではアルコールのドリンクバーを置くネットカフェもあり、酒類の提供は売上増に繋がる可能性もある一方で、クレーム等に発展するケースもある事から設置には十分な検討が必要と言えます。
ネットカフェ店舗において収容人員が30人以上の場合、防火管理者の配置も必要となります。
消防法では防火管理者の配置について基準を定めており、建物の構成や避難経路・消火設備などを把握しておく必要があります。
この収容人員には座席数だけでなく、従業員数も含まれる事に注意が必要です。
ネットカフェ・漫画喫茶の開業資金はいくら?
ネットカフェの開業資金はどれくらいかかるのでしょうか。
ここではシュミレーションとして簡単にネットカフェの開業資金を考えてみます。
- 店舗面積:70坪
- 座席数:50席
- 物件取得費:1100万円(賃料110万/保証金・前家賃・仲介手数料等)
- 内装費:1050万円(面積70坪/坪15万)
- 看板(外装):200万円
- 厨房工事費:180万円
- 什器・機械設備等:600万円(ブース・机・書棚・ソファなど)
- PC・周辺機器:400万円(10万×40台)
- ドリンクバー:150万円(50万×3台)
- コミック:300万円(200円×15000冊)
- 食材・商品仕入れ:50万円
- 備品・消耗品:80万円
- 開業前宣伝費:60万円
- 求人募集費:45万円
- オープン前人件費:48万円(8000円×6名×10日)
経費項目 | 初期投資額 |
物件取得費 | 1100万円 |
内装費 | 1050万円 |
看板(外装) | 200万円 |
厨房工事 | 180万円 |
什器・機械設備等 | 600万円 |
PC・周辺機器 | 400万円 |
ドリンクバー | 150万円 |
コミック | 300万円 |
食材・仕入れ | 50万円 |
備品・消耗品 | 80万円 |
開業前宣伝費 | 60万円 |
求人募集費 | 45万円 |
オープン前人件費 | 48万円 |
合計 | 4263万円 |
シュミレーション上では、4263万円の開業資金が必要という計算になりました。(立地や規模・設備投資額等によって開業資金は大きく異なります)
この他にも店内にダーツやビリヤード・カラオケ等を設置すると更に設備投資額は大きくなりますし、またFC加盟となると加盟金や開業準備費用も別途計上する必要があるかと思います。
開業資金の差はありますが、4000~6000万円程度の開業資金が必要となる事も考えられ、多額の資金が必要になる事から事前の綿密な事業計画が必要と言えます。
ネットカフェ開業後の売上は?
ネットカフェで開業した場合、どれくらいの売上・利益を見込めるのでしょうか。
ここでは上記の開業資金で挙げた店舗を例にして、ネットカフェの売上シュミレーションを考えてみます。
- 店舗面積:70坪(賃料110万円)
- 座席数:50席
- 利用料金:1時間あたり300円
- 1か月30日・24時間営業
- 平均稼働率:40%
- 1日の売上:300円×50席×24時間×40%=144000円
- 144000円×30日=4320000円
- 物販(フード):43万(売上の約10%程度)
- 月商:4750000円(4320000円+430000円(物販)=4750000)
- 賃料:110万円
- 人件費:156万円(【日勤】1000円×2人×16時間×30日=960000円【夜勤】1250円×2人×8時間×30日=600000円)
- コミック購入費用:12万円(400円×300冊)
- 週・月刊誌購入費用:4.5万円(300円×150冊)
- フード・ドリンク仕入れ:30万円
- PCソフト購入費:5万円
- 水道光熱費:19万円(売上の約4%)
- 通信費:14万円(売上の約3%)
- 広告費:23万円(売上の約5%)
- その他諸経費:14万円(売上の約3%)
売上項目 | 売上額 |
利用料金の売上 | 4320000円 |
物販の売上 | 430000円 |
売上合計 | 4750000円 |
経費項目 | 経費額 |
賃料 | 1100000円 |
人件費 | 1560000円 |
コミック購入費用 | 120000円 |
週・月刊誌購入費用 | 45000円 |
フード・ドリンク仕入れ | 300000円 |
PCソフト購入費 | 50000円 |
水道光熱費 | 190000円 |
通信費 | 140000円 |
広告費 | 230000円 |
その他諸経費 | 140000円 |
合計 | 3875000円 |
【売上合計】4750000円-【経費合計】3875000円=【償却前利益】875000円
シュミレーション上では875000円の利益が見込める事になります。(シュミレーションであり実際の収支は異なります。売り上げや収益を保障するものではありません。)
ネットカフェの場合、立地や規模によって大きく売上が変わってきます。
大規模な事業ながら、コミックの比率やPCスペックのモデル換え・稼働率を高める対策など、細かい工夫が求められます。
またゲームを始めネットユーザーは趣向の移り変わりが早い事から、時代のニーズに常にアンテナを張っておく意識も大切になります。
設備投資が大きいビジネスであり大きな資本を必要とする事から、ネットカフェ開業時には事前の綿密な事業プランが必要です。
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ネットカフェの稼働率は?
ネットカフェの稼働率はどれくらいの割合を見込めるのでしょうか。
ネットカフェの稼働率としては40%~50%前後が平均的な所かと思います。
50~60%出している店舗であれば売上の良い店舗が多いかと思いますし、逆に40%を下回ると経営状況が気になります。
時間帯別の稼働率で言えば、朝方~昼間が30%、夕方以降が60%以上といった所でしょうか。
ネットカフェ・漫画喫茶の忙しい時間帯はやはり18:00以降。
立地にもよりますが18時~0時までの時間帯に売上が見込みやすく、特に週末はブースも満席状態になる事が多くなります。
それ以降の深夜・朝方~は客足も鈍くなる為、深夜割引やモーニングを充実させる等の工夫が必要となります。
稼働率を上げるための集客としてはネット集客はもちろん、割引チケットの配布・利用者へのDM・空き席情報の配信・メルマガ・オンラインゲーム等のコンテンツの充実等が挙げられます。
ネットカフェの稼働率を左右する延長時間の利用を促進させる工夫や、リピーターの確保も稼働率に大きく影響してきます。
またネットカフェで仕事や作業・勉強をする利用者も多いため、ネットカフェが作業場となる利用者の習慣化を図る仕組みも大切です。
例えば割引スタンプや常連の入店時の手続きの簡略化など、常連が増える事は稼働率にも影響してきます。
特にネットカフェ等の業態では、時間帯毎(ブース毎)に効果測定の仕組みを取り入れて、具体的な数値を算出して稼働率の改善を検討するようにしましょう。
ネットカフェの客層は?
ネットカフェの客層はどうなっているのでしょうか。
これも立地等によって異なりますが、体感としては30~40代男性の利用者が目立ちます。
店舗によっては半数以上は中年男性の利用者が占めている所も多いでしょう。
10~20代となるとスマホ利用が中心となり、50代以降となるとネット環境に馴染みのない人もいます。
その他には女性1人の利用や子供・カップル連れの利用もありますし、中にはネットカフェ難民とも言われるように寝泊りをしている若者もいます。
30~40代男性が多いと仮定すると、やはりPCやゲーム等のコンテンツの充実や、コミックだけでなく雑誌や新聞の充実も欠かせません。
またサラリーマン等の会社帰りの利用者が多い事を考えると、プライバシーがきちんと確保されたくつろぎやすい空間も必要です。
ですが多くのネットカフェでは男性客割合が多いこともあってか、中には「清潔感」を感じさせない店舗も多くあります。
例えば利用後のブース内の清掃がきちんと施されていなかったり、コップや食器等が綺麗に洗浄されていない・店内に異臭がある・隣室からの騒音など、衛生感に欠けるネットカフェ店舗もあります。
ですがネットカフェでは当然に女性客や子供なども利用しますし、特に女性客を獲得する事は売上の底上げにもなります。
ネットカフェ店舗内においては店内の清潔感にも配慮するようにしましょう。
漫画・フード・ドリンクの仕入れは?
ドリンクについてはネットカフェではドリンクバー設置が通常かと思います。
ドリンクバー販売機については中古販売で取り扱っている所は少ないように思いますので、やはりドリンクメーカーから直接リースや買取りをする必要が出てくるかと思います。
ドリンクバーの販売で有名なのはコカ・○ーラやぺ○シコーラが有名な所でしょうか。
いずれにしてもドリンクバー設置についてはメーカーと交渉が必要になります。
ドリンクバーのドリンク1杯の原価は数円程度のものです。
利用客が何杯飲んでもさほど大きな経費にはなりません。
むしろ何杯も飲んでもらってくつろぎ長居をしてもらう事で延長料金を含め滞在時間を長くしてもらった方が利益ははるかに上がります。
またドリンクも客層に合わせて客層の趣向やシーズンに合わせたドリンクを置くようにしましょう。
漫画については大規模なネットカフェであれば2~3万冊のコミックが必要になります。
仕入として一番簡単なのは、やはり廃業店舗や居抜き店舗のコミックを安価に大量に買い取る方法です。
一冊単位ではなく数万冊の単位で購入でき、全巻揃いや新刊モノまで揃っていたりするので手間も省けます。
またネットカフェなどある程度の規模で始めるのであればそれ専用に業者も存在します。
廃業店舗から買い取るほど安価ではないものの、1冊あたり100~200円前後で入れてくれるでしょう。
またレンタル落ちのコミックを安価に買い取る方法もありますし、足りないコミックはネットオークションや中古本屋などで充足する事もできます。
また開業時に確保する漫画だけではなく毎月のように新しいコミックは発売されます。
そのような新刊は漫画喫茶専門の取次業者に依頼するようにすると毎月届けてくれます。
大手出版社ではなく中小の会社が多いので該当のキーワードで幾つか調べて折衝してみれば見つかるかもしれません。
食品についてはネットカフェでは冷凍食品等も多くありますが、いずれも食品会社に大量発注して安価に卸してもらっている店舗が多いかと思います。
漫画喫茶専門に卸している会社もあるようなので、そのような会社をあたってみるのも良いでしょう。
お菓子やレトルト・カップ麺など様々な食品の取り扱いがあります。
食品の原価はネットカフェでは売上の15~25%程度に収まる事が多く、このような食品販売も売り上げの底上げになります。
また最近ではカフェ店員が調理してくれるサービスがあったり出前サービスも可能など、食品の提供方法にも工夫が出てきています。
飲食フード・物販も客層を意識した品揃えを確保しておくようにしましょう。
漫画喫茶が潰れる理由
漫画喫茶は以前の人気ピーク時よりは店舗数も減っており、10年程前と比較すると数百の店舗が撤退しているようです。
漫画喫茶が潰れるのにはどのような理由が考えられるのでしょうか。
ネットカフェでは設備投資額もかかります。
ネットカフェの利用客はただくつろぎに来るという人もいれば、ネット閲覧やオンラインゲーム等の利用をする人もいます。
例えば店内のPCは5~7年程度で交換しますし、PCのスペックやゲームの種類等もユーザーに飽きが来ないように配慮していなければなりません。
ネットカフェは開業以降の設備投資が不要なイメージもありますが、実際にはそのコストが大きくかかるケースも考えられます。
ネットカフェ・漫画喫茶の利用目的は様々ですが、その中には「暇つぶし」の目的の人も多くいます。
ですが今では多くの人がスマホを持ち歩く時代。
ネットや動画コンテンツでさえも家や外出先で簡単に観ることが出来ます。
今後のネットカフェは”暇つぶし”以上の付加価値を付けていかなければ運営は難しくなっていくのかもしれません。
長く店舗を運営し続けていれば、当然にテナントも老朽化していく事が考えられます。
特にネットカフェのように広い面積を必要とする店舗の場合には、改装工事をしようにも多額の資金がかかります。
店舗の老朽化が原因でそれ以降の経営が難しくなるケースが考えられます。
現在のネットカフェでは基本的なコミック・PC等だけではなく、ビリヤードやダーツ・カラオケやボーリング施設など、様々なアミューズメントが用意されています。
既存の古い店舗と新設備を備えた店舗が同エリアにあった場合、利用客は当然に新店舗の方に流れていく可能性があります。
特にアミューズメントによっては設備投資に費用がかかる為、増設に踏み切れないケースもあるでしょう。
今では数多くの電子書籍ストアがあります。
多くのサービスでは数百円支払うだけで自宅で好きなコミック等が読めてしまいます。
わざわざ店舗に行かなくても良い分、電子書籍等の普及がネットカフェの集客に影響が出る可能性も考えられます。
ネットカフェの集客は?
ネットカフェ利用者はPCユーザーである事を前提とすれば、やはりネット集客は外せません。
HP等のコンテンツを充実させ「エリア名+ネットカフェ」「駅名+漫画喫茶」等のキーワードで他店よりも上位表示できるようにしたい所ですし、日々の空席情報や割引クーポンの配布においてもSNSは積極的に活用したい所です。
また駅前など会社帰りの利用客を見込んで、配布許可を取った上で人通りの多い場所にてチラシやクーポンを配布する事もあります。
またどんなに良いサービスを用意していても、まずはそのネットカフェ店舗を利用してもらわないと何も始まりません。
初回利用客の確保のためにも50%~初回無料券を配布して、実際に自店を利用してもらいその居心地の良さを体感してもらうようにします。
また周囲の店舗にチラシやビラを置かせてもらっても良いでしょう。
多少のマージンの支払いを前提に、ネットカフェに関連する業態の店舗などに広告を置かせてもらう事も検討できます。
また先ほども挙げたようにネットカフェの場合には、時間帯によって稼働率にバラつきが出ます。
特に平日の朝や昼間の時間帯は客足も鈍く、稼働率にも影響します。
そのため例えば「14:00までの入店で30%OFF」などの時間帯別クーポンを配布するなど、売上減をカバーする工夫も大切と言えます。
またネットカフェでは女性客の取り込みも課題です。
そのため例えば女性専用ブースを設けたり女性限定のパック料金制を設ける・カフェコーナーを作る・スマホの充電サービス・ネイルサロンを併設する・女性を意識した内装・コミックや女性誌などの充実・スイーツやデザートのメニューの拡充など、女性が入店しやすい仕組み作りも大切です。
またネットカフェの売上は「延長料金」の割合がポイントにもなります。
そのためクーポンを発行するにしても、例えば「延長1時間」のクーポン等、売上や稼働率を意識してクーポンを発行すると良いでしょう。
また会員登録にしても単純にポイントが付くだけでなく、会員限定のキャンペーンを定期的に開催する等、進んでその店舗の会員になりたいと思うような工夫も必要です。
またネットカフェの場合には他店との差別化が難しいとも言われますが、その要素の1つとして食事メニューも挙げられます。
通常のネットカフェであれば冷凍食品のようなメニューも多いですが、例えば手作り感のある料理を提供したり日替わりランチを提供する・喫茶店にも負けない美味しいコーヒーの提供・出前OKなど、飲食で差別化を図る方法も考えられます。
ネットカフェの集客は幾つも考えられますが、やはり共通して言える事は「居心地の良い空間を提供できるかどうか」です。
利用者の立場に立って快適な時間を過ごせるお店作りに配慮しましょう。
ネットカフェ・漫画喫茶の独立開業まとめ
ネットカフェ・漫画喫茶の独立開業について挙げてみました。
ネットカフェは一時期は人気が落ちた時期もありましたが、今では複合カフェとして様々な店舗が出店しています。
また最近では若者~中高年だけでなく、高齢者のくつろぎの場としても利用されているようです。
ネットカフェ開業では、時代のニーズに応じて設備やアミューズメントを入れ替えていく等、常に利用客を飽きさせない工夫が必要です。
どのように差別化を図っていくのか、ネットカフェの新しい今後の展開にも期待したいですね。
それでは今日はこの辺で。
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