1000円カット店で独立・開業するには?儲かる?利益も解説

今回は1000円カット理髪店の独立・開業について書いてみようと思います。

1000円カットの理髪店が増えていますね。

外から見るとお客さんが並んでいる店舗も多く、立地によってまだまだ開業の余地もあるようにも見えます。

以前には理髪店は多くの美容室の新規開業の波に押され、廃業せざるを得ない状態の理髪店もありました。

しかし最近では1000円カット等の低価格帯の理髪店が増え、FC展開する店舗もポツポツと現れています。

今ではよく見かける理髪店のモデルとなり、全国で500店舗前後の1000円カット店があると言われています。

デフレ時代に沿った業態でもあり、これから1000円カット店の独立開業を検討している人もいる事でしょう。

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1000円カットで独立・開業するには

1000円カット店を始め、理髪店を開業するには幾つかの要件があります。

まずは理容師資格の取得者が必要になります。

この資格を得るには養成施設で2年(通信課程3年)の学習の後、理容師試験に合格しなければなりません。

経営者自身が理容師資格を所持していても良いですし、理容師資格者を雇用する形でも問題ありません。

 

また理容師が2人以上勤務する場合には、別に管理理容師がいる事が条件となっています。

管理理容師は理容師で3年以上の実務を経験した後、各都道府県実施の講習を修了することで取得できます。

 

開業時には都道府県知事に開設届を提出し、その後に保健所の検査を受ける必要がありますので、店舗の構造設備が一定の衛生基準を満たしている確認を受けた後でなければ営業をすることが出来ません。

また必要に応じて税務署への開業届を提出し、人を雇用する場合でも社会保険手続き等が必要になります。

 

ですがいくら資格を取得しているからと言って、すぐに開業に踏み切る人は少数です。

理容師や美容師は技術や経験が試される商売であり、まずはどこかの理容室にアシスタント等で入り、技術を学ぶ必要があります。

特に1000円カット店など、スピード感とカット技術が求められやすい仕事においては、尚更確かな技術が求められます。

 

1000円カット店の開業資金ってどれくらい?

1000円カット店の開業資金はどれくらい必要なのでしょうか。

理容室や美容室の場合、開業資金で多くを占めるのが内装工事費用です。

特に水回りの工事に関しては多額の費用がかかります。

 

水や湯をたくさん使用する事から理容室などは高水圧を必要とし、またその工事が複雑になるため費用がかさんでしまいます。

理容室の場合、小規模な店舗でも内装工事費が400~500万かかる事も珍しくなく、開業資金の半分程度は内装工事費で占めるケースもあります。

特に美容室や理容室はそのデザイン性やインテリア・レイアウトも重要になってくる為、尚更費用がかかります。

 

また物件が居ぬきスケルトンかによっても内装工事費は大きく異なります。

居抜き店舗であればあらかじめ洗髪台や水道設備・空調が整備されている事もあり、内装工事費も坪20~30万程度で収まる事もありますが、スケルトンだと一から設備等を入れる事になり、坪単価も40~60万程度かかる事も多くなります。

 

また店舗を借りるので、当然に不動産取得費もかかります。

物件によりけりですが、保証金を賃料の10か月分とすると賃料15万の物件であれば最低でも150万~の初期費用がかかる事になります。

特に1000円カット店の場合にはその回転率が鍵となり、ある程度の好立地に店舗を構える必要もあるため、立地には尚更注意が必要です。

 

その他にも1000円カット店を開業するからには、店内設備も必要になります。

洗髪台やヘアカットチェア・鏡やドレッサーを揃えるだけでも、複数台を揃えるとなると200~300万の費用がかかります。

その他にもシャンプー等の材料費・広告宣伝費・雑費を含めると、開業資金としてトータルで1000~1500万円程度の費用は計上しておく必要があります。

 

1000円カット店の開業資金は高額になる事もあり、多くの開業者はあらかじめ融資の計画を立てておきます。

また出来るだけ開業資金を抑えるために、設計・施工・デザインまで一括で発注できる内装業者を選んだり、質の良い中古品リースを選択するなど、開業費用を抑える工夫が必要となります。

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1000円カットは1日何人の客が必要?

1000円カットで経営を維持していく為には、1日に何人のお客さんが必要なのでしょうか。

シャンプーがいらない・顔剃りがいらない等、シンプルなプランで低価格を実現したものが1000円カットです。

そのため当然に客単価は低く、その分回転を上げなければ採算が合わなくなります。

 

通常の理髪店や美容院が10~15人/日の来店で経営を持続できる所を、1000円カット店では1日30~40人以上の集客が必要になってきます。

例えば営業時間が10:00~20:00で10時間営業とした場合、1時間に3~4人程度カットをする事になります。

大手やチェーン店ならまだしも、個人店レベルで30人~の集客を継続する事は簡単ではないでしょう。

 

また1000円カット店ではそれだけ無駄なものは一切排除し、次々と顧客をカットしていくスピードと技術力が求められます。

通常の美容院等では1時間の施術が当たり前なのに対し、1000円カットではカット時間は10~15分が一般的。

余計な施術やサービスは全て削いでカットのみに注力しなければなりません。

これだけ1000円カット店の競合が増えてきた中で、一定の客数を確保しながらカットに専念するとなると、立地によっては厳しい経営も予想されます。

 

1000円カット店の利益は?

1000円カット店は儲かるのでしょうか。

ここでは開業後の利益をシュミレーションとして考えてみたいと思います。

 

 1か月の売上想定

  • 客単価:1000円
  • 1人あたりカット時間:10~15分
  • 1日客数:35人
  • 営業時間:10時間
  • 25日営業
  • 月商:87.5万円(1000円×35人×25日=875000円)

 

 1か月の経費想定

  • 賃料:13万円(面積8坪)
  • 人件費:無し(1人運営)
  • 広告費:8.75万円(売上の10%)
  • 水道光熱費:4.3万円(売上の約5%)
  • 原材料費:3.5万円(売上の約4%)
  • 機材リース料:2.5万円
  • 通信費:2万円
  • その他諸経費:4万円(売上の約5%)

 

売上項目 売上額
売上合計 875000円

 

経費項目 経費額
賃料 130000円
人件費 0円
広告費 87500円
水道光熱費 43000円
原材料費 35000円
機材リース料 25000円
通信費 20000円
その他諸経費 40000円
経費合計 380500円

 

【売上合計】875000円-【経費合計】380500円=494500円

シュミレーション上では、494500円の営業利益が見込める可能性があります。

 

これだけスピードを重視し全ての作業を効率化する1000円カット店は、さぞ利益率の低い薄利多売の商売だと考える人もいるのかもしれません。

ですが利益率だけを見れば、周囲にある美容室よりも利益率は高めです。

 

例えば美容室の利用料金は平均で4000円程度。

シャンプーやトリートメント材料が1人あたり100~200円かかったとし水道光熱費を含めると、粗利は3500~3700円程度でしょう。

一方で1000円カットの場合には、コストとしてはドライヤー等の電気代程度。カット中心のため材料費も殆どかかりません。

毎時間フル稼働したとすれば、1000円カットの方が利益率は高い筈です。

 

ただこれはあくまで毎時間継続して客数が途切れなければの話です。

確かに駅近や商業施設内の1000円カット店では数人の客が並んでいるシーンも見かけますが、どちらかと言えば空席が目立つ店舗の方が多いでしょう。

美容室が10人の集客で成り立つ所を、1000円カット店ではその3~4倍の客数を常に確保していかなければなりません。

 

また客数が増えるという事は、その分人件費もかかるという事です。

上記のシュミレーションでは一人運営として人件費をゼロとしていますが、実際として理髪店や美容室の場合には売上が80~90万円を超えてくるとアシスタントを雇用する必要も出てくるかと思います。

 

また基本的に1000円カット店では美容室のように頻繁に予約を取りません。

来店した客にしかカットをしない事が殆どです。

予約制というのは事前に客の来店時間が掴めたり売上予想が立てやすい等のメリットもありますが、一方ではその予約間のデッドタイムが生じる為、運営が非効率になってしまうケースもあります。

特に一人で1000円カット店を営むお店では予約制は困難かもしれません。

 

1000円カットの開業立地

1000円カット店に向いたテナント・立地とはどのようなものでしょうか。

1000円カット専門店では回転率が重要であり、またそのスピードに見合った客数が必要となります。

そのため大抵の1000円カット店は駅前や大型商業施設の中など、視認性が高く多数の集客が見込める立地に店舗を構える事が通常です。

家賃比率としても売上の15~20%程度は確保しても良いでしょう。

また1000円カット店の場合には休日や平日夕方以降の利用客が多いため、例えばビジネス街や駅構内など平日や昼間時間帯の集客を見込みやすい立地を確保する事も大切です。

 

駅前などの一等地であればテナント家賃が高く付きますが、1000円カットの場合には多くの設備・備品・商品を店内に置かない為、小スペースの店舗でも開業ができる事が利点です。

また美容室であればお洒落な内装が施されている店舗も多いですが、1000円カット店では主に中高年男性客と小・中学生の男子など、さほど内装デザインにこだわらない客層も多い為、内装もシンプルなものでも十分集客が見込めます。

逆に言えば女性客は1000円カット店に入りにくいという雰囲気があるため、差別化として女性向けの1000~1500円カットを得意とする店舗もあります。

ですが女性向けの1000円カットの場合には、理容師自身が女性のカットに慣れていない場合や、カット時間が長くなりやすい事・カットの出来によってはクレームに発展しやすいケースもある事から、十分な準備が必要です。

 

1000円カット店が潰れる理由?

利益率が高く利用者のニーズもある1000円カット専門店ですが、中には残念ながら潰れて撤退してしまった店舗も多くあります。

1000円カット店が潰れてしまう理由にはどのような事が挙げられるのでしょうか。

 

まずは前述したように、必要な客数が確保できないケースが第一に考えられます。

1~2人の理容師で営業をしていくとしても、30~50人程度の客数が必要です。

いくら需要のある1000円カットとは言え、平日~休日を通してその客数を維持していく事は簡単ではありません。

また最近では競合店も多く、顧客の奪い合いになっているエリアもあり、今後は更に競争が激化していく事も予想されます。

 

また1000円カット店が潰れてしまう別の理由として、理容師の人材の確保が挙げられます。

美容室と比較して合格率も低くどちらかと言えば職人気質でもある理容師は、人材が集まりにくい店舗もあります。

特に若い人材は美容師になりたいという人も多く、1000円カットのような重労働を強いられる事を嫌がる傾向もあるのかもしれません。

目安としては売上が50~80万位の売上なら一人で運営していく事も考えられますが、それ以上の売上が立ってくると多少経費がかさんでも積極的に人を雇う必要が出てくるように思います。

 

あとはやはり前述したように1000円カット店では家賃・光熱費がネックとなります。

70~80万のお店でも家賃+光熱費だけで20万前後はかかってくる筈です。

地方等ではまだまだ1000円カット店が少ないエリアもあります。

それだけ客数が見込める立地を根気強く探して、納得のいくテナントを見つける事が肝心ですね。

 

1000円カット店の独立・開業まとめ

1000円カット店の独立・開業について幾つか挙げてみました。

1000円カット店が登場した頃は多くの人に注目され儲かっていた店舗も多かったものですが、その後あっという間に競合店舗が増えてしまいました。

今後は人材難や集客難から、更に課題が増えていきそうな気もします。

1000円カット店を開業する際には、事前の綿密な事業計画が必要となります。

他店との差別化をどのように図っていくのか、その動向にも注目していきたい所ですね。

それでは今日はこの辺で。

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