アクセサリーショップの独立・開業・稼ぎ方
アクセサリーショップの独立・開業・稼ぎ方
今回はアクセサリーショップの独立・開業・稼ぎ方について書いてみようと思います。
アクセサリーと一言に言っても様々なアクセサリーがありますね。若い女の子向けの低単価の
可愛いデザインのものや男性も好きなシルバーアクセサリー・生産国特有のアクセ・デザイナー制作
によるもの・天然石アクセサリー等、その種類も様々です。
実店舗を構えるアクセサリーショップの経営は厳しい所が多いと聞きます。理由としてはやはりネット
販売の影響や少子化・アクセサリーの流行が変わり易い事・低単価アクセサリーからジュエリーや
ブランド志向へ移っている事など幾つか考えられると思います。
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アクセサリーの仕入れ
アクセサリーショップの仕入れとしては仕入れるアクセサリーの種類ごとに異なります。国内の卸業者で
仕入れる事もあれば激安系のアクセサリーで言えば中国・パーツであれば韓国・デザイナーやオリジナル
デザイン・プライベートブランド・シルバー系で言えばタイやバンコク等が有名でしょうか。
仕入れる先や中間業者の有無などにも寄りますが一般的に国内の卸業者で購入して販売した場合、
仕入れ値自体が高いケースが多く利幅は取りずらい事が多いかと思います。また国内のデザイナーと
提携してオリジナルブランドを立ち上げるショップもありますがやはり提携料金が高額になりアクセサリー
自体の単価を押し上げてしまうケースも多くあります。また自社生産は開業当初では資金都合上、難しい
事も多いでしょう。その為、比較的安価なアクセサリーを取扱い長期的にショップ経営を考えるのであれば
やはり海外から仕入れる方が仕入れ単価は下がり易いでしょう。実際に現在売れているレディース等の
安価なアクセサリー会社を見ても多くは海外仕入れ・もしくは海外仕入れ(8~9割)+自社オリジナル
(1~2割)といった感じの会社が目立つように思います。
またアクセサリーが輸入に向いているのはやはり小物で軽量のものが多い為、輸送コストが低く済むことが
多い事です。海外から輸入する商品としては国際送料や返品リスク等を考えると、軽い・小さい・頑丈と
いった条件の商品がベストですが、アクセサリーはこの条件を満たしていると言えます。一般的な店舗で
あってもアクセサリーがぎっしり詰まった段ボール箱を数箱~数十箱分を一度に輸送してもらいます。
また仕入れる国によっても特性があり中国等は大量買い付けをしないと割安になりにくいケースもあれば
タイ等では逆に大量に仕入れても対して単価は下がらない等のケースもあり、自分が仕入れるアクセサリー
の特色に合わせて仕入国を慎重に選定する事が必要になってきます。
海外から仕入を考える際には代行業者や海外の販売店と契約し仕入れをする方法・仕入国の現地人
(知り合い等)に依頼して仕入れをする方法・自分が現地に直接行って仕入れをする方法が主な所でしょう。
その国に行ったことがない人は現地のアテンドを雇って数日でも良いので現地の商品を手に触れてみる事も
大切です。アテンドによっては自分が受け取るインセンティブが高い店に連れて行こうとするので
人物の選定は必要です(苦笑)。中国で言えば最近では副業的にタオバオやアリババ等からアクセサリーを
輸入して販売している人も多いと聞きますが、事業単位で行うのであればそのような大衆が利用するモールで
仕入れをしていては価格競争に負けてしまいます。一般的には流通はメーカ→卸→二次卸→三次→小売り
といった流れになりますが、日本では小売店がメーカーに直接卸してもらう事は難しいケースが多いものの、
海外では工場やメーカーに交渉をするハードルは低い場合も多く、個人でも交渉に応じてもらえる事も
多いものです。メーカーや工場から直接仕入れをすれば中間マージンをカットできる為、他者よりも安価に
仕入れが出来ます。他の人がやっているのと同じルートで仕入れをしていて儲からないのは当然の事であって、
むしろ面倒な仕入れルートを確立している人ほど稼げると言っても良いでしょう。海外から仕入れをする
場合は工場やメーカーと直接取引をする事で価格競争力も付いてくるようになります。ただしメーカー・
工場から直仕入れの場合には当然仕入れロット数が膨大になり、しかも定期的に仕入れをしてくれる業者
を相手は喜びます。特にオリジナル制作で金型から作る場合にはロット数が多くないとペイ出来ません。
そのため大量で仕入れ小売りでさばききれない場合は卸としての展開も視野に入れていく事もありますし、
事業規模が大きくなってくれば自社生産等も考えていく事になるでしょう。最近では韓国等は輸送費・関税等
を含むと国内で販売しても利幅はあまり出ないとも聞きます。また韓国のアクセサリーは中国から流れてきて
いるものもありますし、またその中国でも人件費がジワジワと高騰してきており10年前よりは利幅は
少なくなってきています。都度新しい仕入先やマーケットを開拓していく姿勢が必要になってくるでしょう。
また海外で仕入れをするのであれば、生産~納品までを海外の仕入先業者だけに全てしまうのは危険です。
必ずと言っても良いほど、輸入品には粗悪品が紛れ込んできますし、依頼主が発注した通りのデザインとは
全く異なる製品を送り付けてくる事もしばしばあります。その為、できれば現地に日本人を派遣する事を
お勧めします。中には小規模なビジネスであれば、掲示板等で現地人を募集し、その人物を雇って品質
管理等を行ってもらう人もいますが、よほど信頼のおける現地人でなければ途中で音信不通になったりと、
あまり良い事はありません。Skype面接を2~3回しただけで仕入れや管理を行わせるというのは
無理があります。特に仕入れ当初でラインが出来上がっていくまでは、出来るだけ現地に人を派遣し、
製品に人の目を通したい所。今のファストファッションでさえあれだけの品質の良さ・低価格を実現できた
のも、徹底した現地での指導・管理があったからです。アクセサリーはアパレル洋服ほどは工程は複雑でない
にしても、やはり当初は現地に人を配置した方が賢明かと思います。
また例えばある店舗では激安アクセサリー店を営んでおり、若い女性向けピアスやネックレス・リング
や髪留めなど様々なアイテムを扱っていますが、その平均単価は300~800円と国内では考えられ
ない位の低価格で販売しています。海外仕入れでOEMをきちんと施してあるのかどうかは少し不安な所では
ありますが原価率で言えば15~20%前後の様子。街のショッピングビルの数坪の一角で営んでおり
その分客数は稼げていますが薄利多売のため経営を持続させるにはその分かなり多くの客数が必要になり
低単価商品に絞る事で差別化を計り豊富な品数を揃えています。しかしショッピングモールに入っている
アクセサリー店は一般的にはあまり稼げている雰囲気は感じません。アクセサリーは日常的に購入するもの
でもなく、またモール店は売上げに応じてテナント家賃も上がっていくので経営するのであればネット
販売か小さな個人店舗で固定費を下げて営業をする事が効率的なようにも思えます。
また現在では女性向けの安価なアクセサリーショップが流行っていますが、やはり懸念されるのは将来的な
動向です。アクセサリー業界は商品やデザイン・流行自体の移り変わりが早く、また人は年齢を重ねれば重ねる
ほどメッキやプラスチックの安価なアクセサリーには関心を示さなくなります。そのため天然石やジュエリー
等の高価格帯のバリュエーションを徐々に増やしていく・常に流行のストーンや商品デザインにアンテナを
貼っておく・国内だけでなく海外での新たなマーケット開拓をする等の努力は必要になるでしょう。
中にはアクセサリーは保存が効くから在庫過剰もあまり気にならないと考える人もいるのかもしれませんが
逆にアクセサリーは衣類と同様に流行の移り変わりが激しくアイテム毎に鮮度がある為、旬なデザインや
素材のものをそのトレンド時期の間に売り切るといったスタンスが必要になってきます。特にレディース
アクセはその傾向が強く、例えば今年であればシェル素材やアクリル・パールモチーフやウッド素材が注目を
集めていますし、形状も昔のように小ぶりのモチーフよりは大ぶりのデザインが求められやすい傾向もあります。
その時期によって少しずつデザインや素材の流行りも移り変わりをしており毎年同じようなテイストの商品を
販売していくような店舗は淘汰されていきます。
また今後若年層の人口減少は避けられない所であり、またネットやアプリ販売の普及や個人間のハンドメイド品の
流通増により、一般的な国内アクセサリー店が苦戦を強いられていく事は必至となるでしょう。
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原価と賃料で売上げをカバーする
確かにアクセサリーショップというのは利益が出やすい商売とは言えません。アクセサリー自体が日常的に
購入する物ではないという事や競合店自体が乱立している事・ネット販売が主流になっている事など
実店舗が売れにくい理由は幾つかあります。
一方でアクセサリー店自体は一等地に出店する必要もなく二等立地・三等立地であっても十分に出店は
可能です。アクセサリー店が周囲に存在してもアクセサリーのカテゴリ(シルバー・天然石など)
が被らなければ競合にはなりにくいでしょう。またアクセサリーはその小さな形状から小規模な
6~7坪程の小規模な店舗であっても十分な品数を店舗内に置く事が出来ます。賃料も10万円前後から
テナントを検討出来るでしょう。また実店舗の集客が思わしくないケースでもネット販売でカバー
出来ますので販路は確保しやすい商材であるとも言えます。開業手続自体も特に免許や資格が必要
という事はなく極端な話誰でも開業は出来ます。また前述したようにアクセサリーの種類や仕入先にも
よりますが一般的な物販よりも原価率がかなり低く15%程度である事も珍しくありません。
また原価が比較的低いとは言っても今後集客が見込みやすいのは低価格~中価格帯のアクセサリーです。
アクセサリー類は特に景気の影響を受けやすく、また洋服よりも一般的には寿命サイクルが短いもの。
低・中価格帯のアクセサリーを流行に合わせてデザイン・バリュエーションを増やしていく方が無難です。
また万一売れなければ大手であればアクセサリーを一度溶かして新しい商品に蘇えらせる工程を踏む事も
ありますが、個人店では難しい部分があります。高価格帯の商品を大量に抱え込むのはそれだけリスクが
伴います。また数万円の高価格帯のアクセサリーに対しては顧客は宝石やジュエリーも検討範囲に入ってくる
為、アクセサリー購入への誘導が難しくなるケースもあります。
またアクセサリーは夏に売れて冬に売れなくなります。またクリスマスや催事毎に売れ筋アイテムが
変わり易い事もあるので商品選定の目利きも必要になります。市場動向を見極めて良質な売れ筋
アクセサリーを仕入れていく事によって利益を上げる事は可能です。アクセサリー店は立地や取扱いアイテム
にもよりますが多くの売上げは望みづらいものの、その分商品原価やテナント賃料を低く抑える事で
利益率を上げる事が出来る商売かと思います。
アクセサリー店の利益
よくある若い女性向けの小規模な安いアクセサリーの店をモデルに売上げを考えてみると客単価が900円として
平日の客数が40人/日・営業日数が25日(平日18日・土日7日)とすると平日売上げは
36000×18=648000円(平日) 土日が客数掛1.5とすると54000×7=378000円(土日)
月商は648000+378000=1026000円(月商)
テナントが7坪で坪1.5万とすると賃料は10万5千円・人件費が3名アルバイト雇用で月25万円程度・
原価が20%とすると205200円・その他諸経費が10%で10万円程度とするとで月コストは
105000+250000+205200+100000=660200円
1026000-660200=365800円の営業利益になります。
もちろんそこから次期の在庫不足分も仕入を回していかなければなりませんし開業時に借入があれば
その分も返済に充てていかなくてはなりません。
あまり大儲けが出来る業態とは思えませんが少人数で経営をしていく分には可能かと思います。
またアクセサリー店の店員はセンスが大事とも言われ特に顧客は店員が身に付けているアクセサリーを
見たりアドバイスを乞う事も珍しくありません。自らが広告塔であるという意識を持って店頭に立つ
事も大切でしょう。またアクセサリーは似たようなデザインであっても多くの商品を取り扱えば
扱うほど、売れるデザインと売れないデザインの差が激しくなっていきます。その為販売数やシーズン毎に
定期的に仕入れの量を調整する等の工夫も必要になってくるでしょう。
またアクセサリー等の身体に装着するものは、ある程度実店舗での集客も見込みやすい部分もありますが、
やはりネット販売が主流でもあり、多くのネットショップ等でアクセサリーを販売しています。
細かい部分ではありますがアクセのネット販売において小さな個人店が意外と苦戦するのが商品撮影です。
ハンドメイド等をやっている人は分かるかと思いますが、あらゆる商品の中でもアクセサリーや宝石類の
撮影は割と難易度高めになります。被写体に映り込みがあったり単純な背景白抜きでさえ苦戦したり
ピント合わせ・カメラの設定・光の入れ方・小物の使い方など奥が深かったりもします。画像ソフトを
使えばある程度修正は効きますが最初は少し慣れが必要です。インスタ等でアクセサリーショップが
綺麗な写真をアップしているので参考にもしたいですね。特に輸入アクセの場合、不良品が含まれている
事も多く、撮影は神経使うし不良品は多いしで最初のうちは撮影の際には思わぬ労力がかかった
という人も多いかと思います。また苦労して撮った商品画像が長期間使用できれば良いですが、
アクセは流行の流れが早かったりメーカー側が生産を中止したりと次々と新商品の撮影を行わなくては
ならない事もあるかもしれません。業者さんに依頼したり自動ソフトを使用すれば労力はかかりませんが
コストが割高になってしまうので断念する事も。ある程度の規模で営んでいて撮影工程が整っている会社
や店舗であれば良いのですが、個人店の場合限られた人員で撮影も行っていると、あまりに単価が低い
細かな商品を数多く扱い過ぎると撮影や在庫管理でかなり時間を消費する事もあります。高価なアクセサリー
を除き、元々が薄利なアイテムなので、単価と売上げ・労働量のバランスは大切です。
また更に細かい話ですが以前はネット販売でもアクセサリーは小さな形状なのでメール便等を利用して
送料150~300円程度で送付していたショップも多かったですが、最近では提携先運送会社の人件費
関連の値上げ等で送料がネックとなり痛手になっているショップもあるかと思います。その結果以前は
ネット上でも上位表示出来ていた店舗が集客に苦戦したり実店舗に顧客が流れていったりといったケース
も散見されます。決済方法と同様に送料もネット販売では重視されますので実店舗との集客のバランスや
他の集客要素を検討する必要がありそうです。
周囲の競合店も単純に他店のアクセサリーショップだけでなく、今ではネットショップ・セレクト
ショップ・ファストファッションブランド・ハンドメイド作家・はたまた100均SHOPまで
数多くのアクセサリーを扱っています。その中で個人店が競っていくのは簡単な事ではありませんが、
見ていてワクワクする個性的なアクセサリーショップが誕生するのを楽しみにしたいですね。
それでは今日はこの辺で。
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