保険ショップの開業・独立・稼ぎ方

保険ショップの開業・独立・稼ぎ方

 

今回は保険ショップの開業・独立・稼ぎ方について書いてみようと思います。

2001年の保険業法改正により窓口では生命保険や損害保険を始め、医療等などを含めて

様々な種類の保険商品を取り扱えるようになりました。

数年前から商業施設内や駅前店舗等を中心に複数社の保険商品を取り扱う乗合代理店が

登場するようになり、幾つかの保険会社の商品の中から自分に適した保険を選択できる

という利点から全国各地に保険ショップが出来ています。

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以前は保険と言えば会社にセールスレディ等が押し掛け保険を勧めるという形態や

知り合いの保険営業マンから保険に加入するという流れが一般的でした。しかし企業の

入出セキュリティ強化や個人間のコミュニケーションの希薄化等・個人の低所得化等の影響

により他人から保険を勧められて加入するというよりはむしろ、個人が自分に最適な保険商品

を選択するというスタンスが多くなってきたように思います。ネット保険等も登場し低保険料の

保険商品の登場や来店型保険ショップの登場により増々個人が自分に合った保険を選択していくように

なってきたようにも感じます。また公的制度や会社の福利厚生で補える部分を考え、本当に必要な

保証だけを保険商品で賄うようになってきた事も近年の変化の一つと言えるのはないでしょうか。

保険ショップを開業するには

保険ショップを開業するには生命保険募集人の資格を取得する必要があります。

保険募集人の資格を取得するには生命保険協会の一般課程試験に合格した上で登録を行う事になります。

また保険ショップのように各社の保険商品を取り扱う為に専門課程試験や変額保険販売試験に合格する

必要があります。また募集人資格を取得しても店舗で保険販売をする為には保険代理店資格を取得し

保険会社と代理店契約を締結する事で初めて保険商品を販売する事が可能になります。定期に試験が

行われるものもあり計画的にスケジュールを立てていく事が必要です。また保険ショップ開業にあたっては

FC加盟も検討候補に入ります。FC加盟のメリットとしてはやはり既存店舗の複数社の保険商品を

そのまま取扱い易い事・保険会社からの代理店契約の審査が通り易い事などが挙げられるでしょう。

もちろんロイヤリティ等の経費を視野に入れての検討にはなりますが、保険については全く一からの開業を

考えるよりはあらかじめFC加盟を候補に考えておく事も一考です。

保険ショップの立地選択

保険ショップは主にはショッピングセンター等の商業施設や駅前一等地などを中心に出店を

してきたように思います。しかし最近では保険ショップが乱立している事もあり、今後は保険ショップ

だけで一等地に出店していく事は困難になっていくように思います。商業施設では1社が既に保険

代理店がテナントで入っていると他社は中々そのビルテナントに参入しづらい傾向がありますし

駅前等の一等立地も売上げは見込みやすいものの、高い賃料が利益を圧迫し撤退せざるを得ない

保険ショップもあると聞きます。今後は空中のオフィスビル等で低コストのテナントを選択する

保険ショップも増えていくのではないでしょうか。また高い賃料を支払って駅前立地に出店する

意味自体も薄くなってきていますしネットやSNSを駆使して店舗の認知度を底上げする事も出来ます。

保険は昔から対面営業が基本とされていた事もあり、ネット集客やSNS集客は地域やターゲットを

絞ればまだまだ伸びしろがあるように思います。見込み客を作るという意味ではメルマガ等も良いでしょう。

また顧客は保険商品のように長期で保険料を支払い続けるような商品はむしろじっくりと時間をかけて

商品を選択したいというニーズもあり、その意味でも人の出入りが激しい路面店よりも空中テナント等で

ゆっくりと専門家に相談できるスペースで営業していく事は保険という商品の特性にしてもマッチしている

のかもしれません。

また保険代理店は開業から5年以上営業を続けている店舗は半数くらいで多くの店舗が開業後の

数年以内に撤退を余儀なくされます。1商品に関して手数料を受け取れる期間は大抵は6~10年間

程度で手数料も僅かなもの。長期的に契約を取り続けなければ経営を持続させる事は出来ません。

またコストの中でも保険ショップのような代理店はテナント賃料がネックになる事が多く、

それこそ一等地への出店が後々に命取りになるケースも多いものです。長期的な経営を考えると

一等地に1店舗を大きく構えるよりは、低コストのテナントを複数店舗抱え、広範囲もしくは

ドミナント的に経営を考えた方が毎月のコストや集客面・リスクを考えても有利に働く可能性が高い

ように思います。今後はローコスト経営を目指しながら今までの保険ショップとは差別化された

オリジナルのコンセプト作りが必要になっていくでしょう。

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保険ショップの売上げ・利益

保険代理店の売上げ・利益は当然保険会社からの手数料収入によるものです。

手数料収入は長期間に渡って同じ金額を受け取る事が出来る平準払いもありますが、大抵は

L字型と呼ばれる支払体系によるものが多いかと思います。L字型は保険加入後の1年目には

保険料の50~60%が支払われる仕組みでその後の2年目以降は手数料率がグッと下がり

5~9年間程度10%前後の手数料割合になるものです。1年目の手数料が大きくその後は低い手数料

が数年続く事がLの字に例えられこのように呼ばれています。例えば顧客が月の保険料が

5000円の保険商品に加入してくれたとして代理店に5年の手数料収入があるとすると1年目は

5000円×50%(60%)×12か月=約3万円、2年目以降は5000円×10%××12か月×

5年=3万円。3万円(1年目)+3万円(2~5年目)=6万円となり

1契約につき5年間で6万円の手数料収入が受け取れる事になります。せっかく1つの契約が取れた

としても上記の保険商品の例で言えば5年間で6万円程度。ざっくり年間で言えば1万2千円の収入。

少ないと考える人もいるかもしれませんが実際にはそんなものです。例えば年収1000万円を目指そう

と思えば5年間で計5000万円の手数料収入が必要。5000万÷6万円=830件以上(5年間)の

新規契約が必要になります。年間では830÷5年=166件。さらに月にすると166÷12か月=

13.8件となり、年収1000万を目指すには月に約13.8件の新規契約が必要という事になります。

25日営業としても個人の代理店が2日に1件の新規契約を長期間に渡って取り続ける事は簡単そうで

かなり難しい事で途中で息詰まる事が普通でしょう。また売上げだけではなく並行して見込み客作りも

行っていかなければなりません。個人が保険ショップ経営を継続していくのであれば常に見込み客を

20~30人は保有しておきたい所。保険の見込み客は物販で言えば在庫のようなものであり在庫が

途切れれば売上げも途絶えます。その都度集客にも注視していなければなりません。

また1年目の手数料収入割合が多い理由は保険会社が開業時の代理店を配慮しての事かと思いますが、

それでも契約数が少ないとは言っても毎月の賃料や人件費・広告費や経費など毎月の出費は確実に

やってきます。また売上げが少なければ保険会社によっては代理店契約を解除する会社もあるでしょう。

他業種であればコスト調整や単価の引き上げ等である程度経営をコントロールする事が出来ますが、

保険代理店の場合にはあくまで保険会社からの手数料収入ありきの為、多数の顧客を抱えるように

なるまでは中々経営が安定しないのが特徴です。

保険ショップ経営が難しいのは開業後の数年間で体力が尽きてしまう事にあり、保険会社が副業的に

代理店経営を行う事を100%禁止していないのもこの為で、実際に士業や店舗経営をしながら副業的に

代理店経営を行っている所は多いでしょう。保険ショップはあくまで成果報酬型のビジネスである事から

毎月の収入にもバラつきが出やすい為、他業種等で固定報酬の仕事を持ち給与を得ながら、時間をかけて

保険ショップの顧客を上積みしていく事がベターと言えるかと思います。

アナログ集客も捨て切れない

現在他業種では集客と言えばネットやSNSを駆使して集客を立てている企業も多いものです。

リスティング広告やアフィリエイト・インスタ等を広告媒体として利用している所も多い事でしょう。

しかし保険ショップの集客においては現在でもアナログと揶揄される広告も捨て切る事は出来ません。

アナログ広告と言われるのは新聞や折り込みチラシ・DMや雑誌媒体への広告掲載等が挙げられる

でしょうか。保険は一般的には高齢になればなるほど必要になるものです。売る保険にもよりますが

高齢層が普段から触れる媒体を広告に利用する事はまだまだ効果的です。また保険ショップは商圏が

狭く数キロ圏内の顧客がターゲットになります。そのためネットで幅広く広告を打つよりは近隣への

チラシやDM・タウン誌等への掲載が効果を発揮するケースもあります。当然広告を打っていけば

どの広告から集客に繋がったかが判明していきますので、集客効果の高い広告に徐々に絞っていく

事が必要になります。また定期的に既存顧客へDMやお手紙を送る事も大切です。保険というものは

顧客との長い付き合いになるものですから常に店舗と顧客の繋がりの意識を途切れさせる事は出来ません。

更新時期や誕生月にDMやバースデーカードを贈る事もそうですが、DMを送るきっかけとして月毎に

イベントを作ってしまっても良いでしょう。入学シーズンや父の日・母の日・敬老の日など保険に直結

しそうな日にイベントを開催しても良いですしクリスマスやハロウィン・バレンタインなどイベント

シーズンに顧客を店舗に呼び込んでも良いでしょう。イベントを行う事は既存顧客との繋がりを保てる

だけではなく店舗の活気作りにも役立ち、新規顧客の呼び込みにも効果的です。

またせっかく来店してもらっても店舗内のスタッフの接客姿勢が整っていなければ広告経費も台無しです。

一度どこかの保険ショップに来店した事がある人であればわかるかもしれませんが、それこそ保険

ショップによっては普通の喫茶店と変わらないくらい・もしくはそれ以上の接客もてなしを受ける事が

あります。ドリンクのオーダー制や申込み時にケーキでおもてなし・家族連れを配慮したキッズスペースや

授乳スペース・顧客に合った音楽が店内に流れカフェのような内装を施してる保険ショップもあるでしょう。

今後は接客姿勢を含め増々保険臭さの無いショップ作りが求められてくるような気がします。

複合型ショップ

現在ある保険ショップは主に保険商品のみを取り扱う店舗である事が多いものですが今後は保険のみに

限らず複合型の店舗が注目を集めるとも言われています。保険ショップではFP保有者がいる事は

普通ですが思えばFPの守備範囲は広いものです。保険に限らず資産相談・証券・不動産・相続など

様々な活躍の舞台があります。保険商品の販売方法が変わろうとも保険には長期間お付き合いをしていく

パートナー探しが必須となる事から信頼できる人から保険に加入したいと思う事は今も昔も変わらない

かと思います。また前述したように保険ショップは開業から数年は経営が成り立ちにくい事から

なおさら他業種と兼業で経営を進めていく事が求められます。例えばFPの範囲で言っても普段から

資産相談で老後資金を預けている営業マンから保険の相談に乗ってもらった方が加入しやすいという

人もいるでしょうし家の購入を検討している人でしたら損保加入も検討するでしょう。相続時の遺言の

作成アドバイスを求める人もいれば節税対策から保険加入を検討する人もいます。

またFPの範囲を超えて全く異業種と組み合わせていく事も考えられます。引っ越しや医療・葬儀・介護や

飲食・育児など、親密に話し合えるスペースさえあれば最初のきっかけは保険商品でなくとも良いのでは

ないでしょうか。むしろ気軽に相談できるコミュニティスペースを作り、その顧客との付き合いの過程で

保険商品を勧めてあげる事も考えられます。

例えば育児に関して悩んでいる母親がいたとすればいきなり保険を勧めるのではなく、その子育てから

将来に関しての相談相手になり、育児に関しての情報を進んで与えてあげる事も大切かと思います。

顧客側からすれば自分に対してそれほどまでに尽力してくれるスタッフを信頼し、保険加入を検討

してくれる人もいるかもしれません。その時になって初めて学資や積立保険等を提案してあげる事も

出来る筈です。要は保険をメインとして前面に持ってくるのではなく、あえてバックエンド商品として

保険を捉える事が必要ではないかと思います。まして保険という商品はその特性上、無理やり勧誘されたり

人によっては立場上加入しなくてはならないというケースに陥る事が多いです。そのため話の切り口が

「保険」だと嫌悪感を示す顧客も多い筈です。まずは顧客の良きパートナーとなる事から始めるのが

良いでしょう。またショップ側としても他案件で金銭を預けてもらっていたり顧客と信頼関係が築けて

いれば保険単体の解約率も下がっていく事も予想されます。

またこれだけ豊富に保険商品があり顧客が自分で最適な商品を選べる環境が既にある訳ですから、

今後保険ショップに求められる事はさらなる人材育成です。保険商品の知識に長けた人間等は沢山いますが、

顧客の声に耳を傾けられる人材や顧客目線で一緒に商品探しができる長期的なパートナーとなりうる

魅力的な人材の育成が更に求められるように思います。保険は人柄から買うという人が多いという声を

よく聞きますが、スタッフが顧客とどのようなお付き合いをしていけるかという点に視点を置いて店舗作り

が出来るかが大切になってくる気がします。今後も個性的な保険ショップの登場に期待していきたいですね。

それでは今日はこの辺で。

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