キャバクラ店の独立・開業・稼ぎ方

キャバクラ店の独立・開業・稼ぎ方

 

今回はキャバクラ店の独立・開業・稼ぎ方について書いてみようと思います。

キャバクラとは1980代以降に出来てきた業態で、キャバレーとクラブの中間的な形態と

捉われる事が多いかと思います。クラブのように高級感をウリにするというよりは庶民的な

雰囲気の店が多く、一方でクラブのようにゆっくりお酒を飲みながら落ち着ける空間作りを

しているお店が多いのが特徴です。単純に言えば女の子と会話をしながらお酒を飲むという事

になり、風俗店のような性的なサービスもなければメイド喫茶のようにオプションサービスも

少なく、今の若者からすればただ女性とお酒を飲むだけで数千円~数万円単位の料金を支払う事に

抵抗を感じる人もいるのかもしれません。不景気や性意識の低下と共に最近では一部の店舗を除き

以前ほどの勢いを持つキャバクラ店は少なくなってきています。

キャバクラの営業許可

キャバクラの開業には風俗営業法の許可が必要になります。

まずテナントの内装工事を完了させ出店地域管轄の警察署へ申請書類を提出します。

営業方法や登記事項証明書・賃貸借契約書など様々な書類提出を求められ、また個人での起業か

法人かによっても申請書類が異なります。その後公安委員会による調査が行われ、営業開始までには

2~3か月かかる事になります。営業許可証が下りてもキャバクラではお酒を始めとした食品を

提供する事が通常ですので食品衛生法に基づく営業許可を受ける事も必要になります。保健所に事前に

相談をし申請書類を提出します。食品衛生責任者資格も必要になりますが講習で取得できるもの

なので多くは問題になりません。その後保健所立ち合いの元で検査が行われ、問題がなければ許可証の

交付を受ける事が出来ます。

風俗営業は1号~8号に分けられ、キャバクラは2号営業に該当します。

営業時間としてもキャバクラは「風営法」により営業時間は日の出より翌日の午前0時までと定められています。

また営業するテナントとしても、客室の床面積が2室以上ある場合、1室16.5平方メートル以上である事や

店舗の外部から客室が見えない事・ダンスをする踊り場がない事など、幾つかの規制が定められています。

またそのテナントも風営法施行規則で場所も定められており、特に付近に病院や学校などある場合は、

周囲100メートル以内の地域では営業できない事になっています。

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キャバクラ店の立地・テナント

キャバクラ店の集客が見込める立地とはどのような立地でしょうか。

キャバクラ店の多いエリアを見てみると新宿や六本木・池袋などが多く地方郊外には

小規模な店舗を除きほとんど存在しない傾向があります。その為大都市の人気のあるエリアや

人口が多いエリア等に数店舗のキャバクラ店が固まって存在するケースが多いものです。

また都心を離れたエリアであっても駅近の商業地に数店舗のキャバクラ店が束になって共存

している光景を見た事がある人も多いのではないでしょうか。一般的な飲食店であれば周囲に競合店が

あるエリアは避ける傾向があり、むしろ他店が出店していないエリアを選択したりメニュー等で差別化を

計るのが定説のような所があります。しかしキャバクラ店等はお酒を提供している事や男性客が

団体で飲みに来る特徴がら、はしごをしてそのエリアの店舗を数店舗廻る事も考えられ、店のコンセプトや

女の子が異なれば同一エリアに出店していても店同士で相乗効果が生まれる事もあり、むしろ

同業者が出店する地域を狙って新規開業するキャバクラ店もあります。また顧客側としても同じエリア

内に複数のキャバクラ店がある事でお店同士の特色や女の子の質を比較しやすい利点もあります。

また同一エリア内で料金形態に変化を付ける事で高級キャバクラ→低料金キャバクラなど顧客の選択肢が

増える事や店側が低料金店→高級店への誘導線を作り易い事も複数店舗が同エリアに出店する理由と

言えるでしょう。

またキャバクラ店に勤める女性キャストとしてもその店を辞める事になっても他の店舗へ容易に移籍

出来ますし、グループ内でキャストの数が足りない等の時には移動時間を短縮できるメリットも

あるかと思います。テナントとしても営業許可の関係上、商業地や工業地に出店せざるを得ない事もあり

繁華街など賃料が比較的高く付く立地がある事が多い傾向があります。また最近ではボッタくり行為を行う

店舗が摘発されるニュースもありましたが特にキャバクラ店に来店する顧客としても来店時には警戒心を持って

入店する事も多いものです。その為グループ店等の認知度が高い店舗であれば別ですが、新規店は特に

空中店は敬遠される事が多く1階店舗が望ましいとされ、最低でも地下階のテナントを確保したい所です。

また併せて店前の明瞭なメニューや料金体系の表示も必要になります。また店内の配置としても女性キャストと

顧客数を考慮した席数・女性の待機室・カウンター席・厨房有無・顧客の待機席などの配置を見込むと、ある

程度広めのテナントが必要になります。かつキャバクラ店にとって席数は大切で、席数が少なければ満席状態

になれば顧客が溢れる事もあり逆に無駄なスペースが多くても賃料が上がります。顧客用に待機席を設ければ

満席時でもある程度はカバーできるものの、やはり待たせる時間にも限界があり客数に合わせた適性な席数が

望まれます。また営業時間が4~5時間程度となる事を考えると、平均的な回転率も1.5回転程度が限界と

思われ、また高コストの女性キャストの在籍数にも関係してくる事からやはり席数が与える影響は大きいものです。

また売上げ対賃料を考えても売上げが例えば800万とすれば40万のテナントであれば5%。通常の飲食店が

10%程度の賃料を計上する事と比較してもやはり女性キャストの人件費の高さや元々の月商の高さから

賃料は5%前後に設定する事が妥当な所かと思います。

また開業時の不動産取得費を考えてもキャバクラ店は大きな費用が見込まれます。

仮に坪2万の20坪のテナントだとしても不動産取得費で保証金10か月とすると400万円かかり

仲介手数料や前家賃を含めればやはり500万円程度は確保しておく必要があり、内装費も坪40万

としても800万円かかる事になるとテナント+内装だけでゆうに1300万を計上しなければ

ならない事になります。特にやはり内装費が大きいので居抜きを利用する事や厨房機器をリースする等

して初期費用を圧縮する必要があり、居抜きであれば前テナントや設備の状態にもよりますが内装費も

100万前後まで圧縮する事も出来るでしょう。

またテナントが決定しても実際に営業を開始するまでには営業許可で2~3か月かかりその間も

キャストやボーイの募集費・広告費などは持ち出しで捻出しなければならず、軌道に乗るまでのリスクを

考慮しておかなければなりません。その為にも開業後にレセプションを開催して固定客を見込み、売上げ

ストックを作る、キャスト給与の支給日をコントロールする等して、開業前期間の穴埋めを考えなければ

なりません。また頼みの綱の公庫等の借り入れに関しても飲食店扱いのガールズバー等とは異なり

やはり風営法許可の業態に関しては貸付のハードルが高く、融資に応じてくれないケースも多いものです。

キャバクラの人件費

キャバクラ店で一番大きなコストと言えばやはり女性キャストの人件費という事になります。

人件費というよりは女性キャストが商品という位置付けであれば、女性キャスト=商品原価と

捉える事が出来ます。通常の飲食店の場合には食材原価率を30%前後で設定している事が多いのに対し、

女性キャストの人件費率は45~50%である事も珍しくなく、また歩合給がある点やその日の客数によって

その人件費率にも変動が生じる事から通常の飲食店の原価率とは異なる視点で考える必要があります。

店舗によってスライド制やポイント制など給与システムに多少の差はありますが、例えば女性キャストの時給が

3000円で5時間営業のキャバクラ店であれば女性キャスト1人の日給は15000円となり10人出勤

していれば15万円給与が発生し、キャストの人件費率が50%と仮定すれば1日に30万円の売上げが必要

という事になります。30万円を達成するには客単価が12000円だとすれば300000÷12000=

1日25人の客数が必要で、5時間営業であれば1時間あたり5人の客数が必要という事になります。

主に女性キャストの雇用形態はアルバイトや派遣である事が多く、給与形態は時給+バックであるケースが多い

ように思います。しかし単純に労働時間に応じた給与支給ではなくポイント制や売上げスライド制度の利用・

給率制度を適用しているお店も多いでしょう。客数にバラつきが生じやすい業態である為、やはり上記のような

指名数や売上げに応じて下限の線引きを設けておく必要はあるかと思います。

また容姿が良ければどのような女性でも良いという訳でもなく、エリアによって話上手や愛想が良い子

が求められるエリアもあれば、素人がウケの良いエリアもあります。そのエリアの客層の好みに合わせた

人選が必要という事は言えるでしょう。

また当然に女性キャストの人件費率だけを考慮すれば良い訳でもなく、いわゆる客引きスタッフの

人件費も考慮しておく必要があります。店舗によっては売上げの半分前後が客引きが持ってくる事も

珍しくなくキャバクラ店にとっては大きな影響力を持つ人材です。

客引きは外販(外部販売員)と呼ばれる事もありますがキャバクラ店の場合には店舗雇われのケースと

店舗に所属しないフリーの客引きのケースがあります。店舗雇われの場合には日給+歩合の形態が多く、

フリーの場合には引いた顧客の売上げに応じて報酬が決まる事が殆どで、どちらの形態が自店に適して

いるかを考慮する必要があります。例えば小規模な店舗であれば客引き兼ボーイとして採用する場合も

あるでしょうし、キャスト管理の仕事を任せるケースもあるでしょう。フリーの場合であればその歩合率が

20%程度とすれば例えば客引きをした顧客の落とした1日売上げが計20万だとすればざっくり言えば

客引きに対する報酬は×20%=4万円/日となり、月25日にすれば客引きに対し100万前後の報酬が

発生する事になります。キャバクラ店舗側としては外販率は売上げの10%~15%以内には抑えるとすると、

やはり月商ベースで800万~1000万程度が売上げラインとして考えられる事になるでしょう。

また営業期間が長くなるに連れ、店の認知度も上がり、固定客が付くと共に外販率が下がってくる傾向があり

ますので、開業当初はリピーターを多く確保するまで集中的に外販率を上げるといった工夫も必要になります。

しかし風営法が適用される以上はキャバクラ店は当然その周囲の法を遵守する義務があります。

そもそも客引きは各法律で禁止されている行為であり、当然にキャバクラ店でもその法律を守らなければ

なりません。例えば風営法22条は,風俗営業を営む者に対して,禁止行為を規定しており

・当該営業に関し客引きをすること
・当該営業に関し客引きをするため,道路その他公共の場所で,人の身辺に立ちふさがり,又はつきまとうこと

は禁止となっていて違反した者には罰則があります。

また風営法以外でも現在では迷惑防止条例第7条にて客引き行為は禁止されており検挙される事があります。

どこまでを客引きと取るか等の線引きが難しい点ではあるものの、やはり許可を受けて営業している以上、

これらの法は必ず遵守する必要があります。

また法律関連で言えば水商売や風俗店と言えば暴力団関係者との繋がりをイメージする人も多いように

思います。確かに以前はみかじめ料のような金銭を徴収する様子もあったように思いますが、今では

暴力団新法を始め各種法律の強化や警察の暴力団への取り締まりを強化している事もあり、以前のような

金銭のやりとりは殆ど見られないように思います。もしそのような状況に陥った場合には管轄の警察署

等への相談が求められるでしょう。

余談が長くなりましたが、その他の計上としては店内のボーイの人件費を見込む必要もあります。

給与形態としては時給制を敷いている店舗も多くボーイ1名の月人件費が20万円程度とすれば

店の規模にもよりますが3~4名の雇用で60~80万円程度の人件費になります。売上げ対人件費

としても女性キャストの支給率が45~50%とすればその他経費を考慮してもボーイの人件費率は

10~15%程度が妥当な所でしょう。とは言えボーイ職は女性キャストの離職率や店内サービスの質等を

左右する重要な役割を担うポストである事から管理するキャストの売上げによって歩合給を支給する等、

都度モチベーションを保つ工夫も必要になってきます。キャバクラ業界は他店舗と人気の女性キャストを

お金で引っ張り合いになる事も少なくなく、やはり待遇以外の面でキャストがその店に在籍していたいと

思えるような環境作りが必要であり、その環境作りに大きな役割を果たすのがボーイ職という事になります。

また業態上、経理がどんぶり勘定になりがちな事や、将来的に昇進やのれん分け等経営に携わる可能性もある

職種である事から、ある程度数字に強い人間や経営センスがあるスタッフが望ましいと言えるでしょう。

またキャバクラ店はお金の流れが速い業態である事から以前には売上金の持ち逃げをするボーイスタッフも

いたと聞きます。その為コスト面だけで人選するのではなく人間的に信頼できるスタッフを雇用する事も大切

になってきます。

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キャバクラ店の仕入れ

キャバクラ店の仕入れを考えてみると主にはお酒や食材の仕入れがメインになりますが、業態上

特別な拘りを持たない店舗も多いように思います。例えば他飲食の居酒屋であればメーカーや酒蔵と

交渉し入手難の酒を卸してもらうケースもありますが、キャバクラ店でそこまで深入りして酒の

仕入れをしている店舗は個人的には知りません。やはり近所の酒屋やディスカントショップ・ネット

ショップ等を利用して仕入れをしている店舗が多いように思います。仕入先もケースに応じて使い

分ける事が大切で、例えば時間的な都合や配達の優遇が効くのが近所の酒屋・ある程度の量を仕入れて

売掛が効くディスカウントショップ・珍しい酒の入手や仕入れ値を安く済ませるのであればネットで仕入れる

等、状況に応じて仕入先を幾つか確保しておく事が大切です。またキャバクラ店とは言え廃棄率にも

配慮しておく必要があり、例えばボーイに調理関係に明るい人材を置く等、食材管理にも注視しておく

必要があります。

また意外と計上を忘れてしまうのがおしぼりで多くのキャバクラ店では接客時におしぼりを提供されます。

大抵は購入ではなくレンタルおしぼりを利用している店舗が多く、例えば1人2本のおしぼりを使用すると

1日40名の客数であれば80本。25日営業とすると月2000本のおしぼりが必要という事になります。

レンタル単価は5~10円前後と考えても月に1~2万円前後のコストがかかり案外馬鹿にならない支出に

なります。またキャバクラ店ではその業態上、一杯あたりで換算しても通常の酒を定価の数倍で提供する事も

多く、ある意味値段はあって無いようなものです。以前には中にはボトルの中身だけ変えて提供する店舗もあり

ました。酒を含む食材の原価率については前述したように通常の飲食店の食材原価率を30%程度とすると

キャバクラ店では10%前後が妥当な所かと思います。

キャバクラ店の売上げ・利益

キャバクラ店の売上げ・利益について考えてみたいと思います。

店舗が28坪で席数40の満席客数が20人と仮定します(BOX考慮せず)。賃料は坪1.5万。

営業時間が20時~24時の4時間営業。回転率は1.5。客単価は12000円で設定。

女性キャストの時給3000円。出勤15名。バック等は考慮せず。

客数は20名×1.5回転=30人。30×12000円=360000円/日の売上げ。

25日営業とすると360000円×25日=900万円の月商。

テナント賃料が28坪×1.5万=42万。900万ー42万=858万円。

女性キャストの時給が3千円。出勤15名の4時間営業=3000円×15人×4時間=18万円。

25日営業で18万×25日=450万円。

450万=売上げ900万に対してキャスト人件費率50%になります。

858万ー450万=408万円。

外販率が10%とすると90万。408万ー90万=318万円。

ボーイ等人件費(3~4人)が8%とすると318万ー72万=246万円。

酒・食材原価が8%とすると246万ー72万=174万円。

広告宣伝費・光熱費・償却・車両費(送迎)・通信費等の諸経費を計13%とすると

174万ー108万=66万円の営業利益が見込める事になります。

ざっくりとしたシュミレーションですがこの利益を下回っているキャバクラ店は数多くあるかと

思います。開店時のコスト増から資金が途中ショートする店舗や稼働率も30%下回る店舗も多く

営業継続が困難に陥る店舗もあるでしょう。また昔はこっそり深夜営業するキャバクラ店も多かった

ものですが最近では取り締まり規制も厳しく4~5時間の限られた営業時間内で一律の回転を求める

事も難しくなっているように思います。大手大箱等の客数が見込みやすい店舗とそうでない店舗で

店舗間の売上げの差は激しく、今後もこの二極化が進んでいくように思われます。

これから新規開業をするには苦戦を強いられるように思いますが、男性達が疑似恋愛を楽しむ場として

少数ながら生き延びていく為に、今後どのような新しいコンセプトのキャバクラ店が誕生していくのか

一男性としても楽しみな所でもありますね。

今回はキャバクラ店の独立・開業・稼ぎ方について書いてみました。

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