店舗テナント契約時の注意点・ポイントは?

店舗テナント契約時の注意点・ポイントは?

 

立地と共に店舗テナント選びも重要です。その店舗の広さや間口・内装や視認性によっても

大きく売り上げは左右されます。開業する時の選択肢としては主に自宅で開業する・店舗(事務所)を借りる・

店舗を買う・出張形態・ネット販売などの選択肢があります。店舗形態での開業を考えれば一般的には

撤退時のリスクや事業拡張の機会を考えれば賃貸でテナントを借りるケースが多いでしょう。

どのような点に注意して店舗の賃貸契約の手順や選び方を簡単に挙げてみます。

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①店舗の条件をイメージする

まずはどのような店舗を希望しているのかイメージをしてみる事から始まります。

エリア・立地・面積・道路の広さ・間口の広さ・1階か空中か・居抜きかスケルトンか、周囲の環境・

賃料・建物・外観・区域・ライバル店の有無など、自分がイメージしている店舗を具体的に挙げてみましょう。

コンセプトは必ずしも必要とは言えませんが、それでも自分がどのような顧客をターゲットにしていて

・どのような商品を・どのような店舗で・どのようなサービスを展開していきたいのかという事は

イメージしておく事は大切です。またそのイメージによって自分が希望する物件・内装・面積など

物件の形が見えてくるかと思いますし、それを実現するためのテナント立地や商圏の広さはどの程度

のものかといった事を練る事で、物件もある程度絞り込めてくるかと思います。

しかし実際に物件探しをしてみると、全て自分の希望に沿った理想通りの物件が見つかる事はほぼ無い

と考えておいた方が良いでしょう。確かに現在はテナント不況の時代ではありますが、それでも

良いテナントはすぐ埋まり、不人気なテナントは長期間空きが続くというのは以前から変わりません。

まして誰もが入りたい優良物件は表沙汰にはあまり出て来ず川上で決まってしまっている事もあるでしょう。

そのため自分が希望する物件が見つからなかった場合にも、自分がどの点が絶対条件なのか・

どの部分なら妥協できるのかといった線引きも明確にしておく必要があります。

また賃料の高い駅前などの一等地から探し始めれば良い物件が見つかり易いのは当然です。

それよりも最初は特に二等~三等立地から検討し、工夫次第でなんとか自分のイメージする店舗に

近付ける事はできないかというスタンスで検討を進めていく方が良いかと思います。

人材や材料は後からでもある程度のコントロールは効きますが、テナントは簡単に変える事は

出来ません。自分が理想とする物件はどのような物件なのか、明確なイメージを持っておく

必要があります。

②希望地域の不動産屋に依頼する

店舗テナントとなれば不動産業者を仲介に入れる事が普通です。また契約書作成や近隣地域の需要

なども把握しているので希望条件を伝え相談します。実際に相談してみるとHP情報や他社共有物件の

他にも不動産業者には日々物件情報が入ってきますし、希望の物件を伝えればそれに近い物件をあたって

くれたりオーナーに掛け合ってくれたりと動いてくれます。

また出来れば店舗テナント専門の不動産業者に依頼することです。通常の賃貸とテナント賃貸では

大幅に異なります。特にテナント契約では設備・配管・給排水・内装・営業区域・看板制限・営業時間・

騒音・引き渡し・造作譲渡・周囲テナントとの問題など、居住用とは異なる問題が多くあり、

テナント専門業者でなければ気づかないような細かい問題がトラブルに発展するケースもあります。

また出来れば自分が開業する業種での仲介経験がある不動産業者が良いでしょう。例えば自分が

焼肉屋を開業するのであれば店舗にはダクトやグリストラップが必要になりますが、経験豊富な業者で

あれば業種毎に設備や装置についても相談に乗ってくれるかと思いますし、もし内装が済んでしまって

から問題が発覚したのでは、取り返しも付きません。またテナント専門業者であれば内装や設備工事など

普段から付き合いのある関連業者を紹介してくれたりと、工事の進捗にも影響するケースもありますので

やはりテナント専門業者に話を持ち掛けた方が良いかと思います。

また時間が許す限り多くの物件を見るようにしたい所です。これは居住用物件も同じですが、やはり

色々な物件を見て回る度にその地域の特色やテナントの善し悪しも理解できるようになりますので

自分の目と足で確かめていく姿勢も必要になってきます。

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③初期費用の計算をする

テナント契約時の初期費用

・保証金:物件によりけりですが賃料の5か月~10か月分程度。契約終了時に返金。

・管理費(共益費):建物の管理維持やメンテナンス・共用部分の管理などに使用される。

・礼金:大家(オーナー)へのお礼金。

・仲介手数料:仲介をした不動産業者へ支払う手数料。通常は賃料1カ月分。

・前家賃:翌月分までの賃料を前払いする事になります。

・保険:火災保険の加入が決まっている場合などの保険料。

※この他にも一般的には店舗工事費・内装費・設計費・厨房機器等・宣伝広告費・備品・材料仕入れ等、

テナント契約とは別に費用がかかります。また開業初期段階ではまだ思うように売上げが見込めない

事が多いので、当初に3~4月分程度の当面の運転資金や生活費を計上しておく方が無難。

 

店舗を借りる時には上記のように保証金(敷金)・礼金・仲介手数料・前賃料・共益費・保険などが

必要になります。ケースバイケースですが店舗開業時にはやはり初期コストは1000万円を超える事が

普通です。もちろん居抜きを利用する事や中古機材やリースを利用する・前テナントの利用していた

設備や空調・配管がどのような状態か等によってもコストは大きく変わってきます。

開業時に融資を受ける際には自己資金割合が決まっている事も多いかと思いますが、融資額の30%~

50%は用意しておきたいもの。もちろん業種によっても必要資金額は異なりますが、やはり後々の

返済を考えると少しでも多くの自己資金を投入しておきたい所です。

テナント契約時にかかる費用ではやはり保証金が最もお金がかかります。テナントによって通常は

賃料の5か月~10か月分・有名テナントや人気物件では賃料15~18か月分というテナントまであります。

基本的に保証金は契約終了時に変換される性質のお金ですが、返還時には20~30%差し引かれる事も

多くあります。また退去時に返還しない事を条件に保証金の額を下げてもらえるケースもありますので

その辺りは要相談です。礼金は大家さんへのお礼金のようなものですが、物件によっては柔軟に相談に応じて

もらえるケースもあるので相談してみましょう。前家賃は翌月分までを前払いしておく事が一般的で

前賃料は日割り賃料ですので契約日によって日割り金額が変わってくることになります。仲介手数料も

現在では1か月分以下の手数料で仲介する不動産業者も出てきています。ただし店舗契約の場合は特に

居住用物件と異なり専門知識や経験を要する事も多い事から、僅かな手数料の違いであれば多少手数料が

高くともテナント仲介経験に富んだ不動産業者に依頼するようにしましょう。

④契約内容をチェックする

・普通賃貸借か定期賃貸借か

・修繕費は貸主負担になっているか(またその具体的修繕部分)

・解約は何か月前予告か(居住用は1か月前が多いですが店舗は通常は3~6か月が多いです)・

・修繕工事をする場合、貸主が指定する業者の施工などの取決めはないか

・リース設備はないか(前テナントのリース契約が残っていないか)

・設備譲渡された場合の不具合があった場合の対応

・途中解約は可能か(違約金がある場合はその金額はどのように算出されるか)

・解約した場合、保証金の返還にはどれくらいの時期を要するか(償却はあるか)・

・退去時の原状回復が必要か(スケルトンか居抜きのままでも良いか)

・貸主の都合で退去しなければならない時の立退料の請求禁止になっていないか

・部分解約ができるか

・火事や地震時などの事故が発生した場合や解約時の損害賠償

・貸主と所有者は同一人物か

・解約時の設備等の造作買取・譲渡が可能か

・転貸は可能か

テナントが決まれば賃貸借契約を締結する事になりますが不動産業者が重要事項説明にあたる事に

なります。契約書でチェックしたいのは物件所在地や貸主氏名・使用目的や面積・物件の引き渡し

時期や保証金などの支払い時期・その他特約内容などを確認していきます。また契約書は一般的には

大家に有利に設定されている事が多く、特に特約事項は配慮しておきたい所です。

店舗テナントの賃貸借も借地借家法の対象ではありますが、居住用賃貸と比較すれば借主保護の風潮は

弱いと考えておいた方が良いでしょう。その分やはり自分自身が事前にしっかりと契約内容をチェック

しておく必要があります。

物件探しはなにぶん良い物件であればあるほど気持ちが焦ってしまうものですが焦りは禁物です。

自分がきちんと納得してから契約に望みたい所ですね。今回は店舗テナント契約時のチェックポイント

について挙げてみました。

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