古着屋を開業するには?経営や仕入れ・開業資金まで徹底解説

今回は古着屋の開業・独立・稼ぎ方について書いてみようと思います。

若者が多い街には古着屋が割と目立ちますね。

先日下北沢に行った時にも様々な古着屋がありました。

不特定多数のブランド・ノンブランドを扱う店もあれば、少数のブランドに絞って営業している店など様々なようです。

洋服が好きな人にとっては将来的に古着屋を開業したいと考える人も多いかと思います。

特に古着の場合、製造から関わる訳ではないので仕入れ等に悩む人も多いものです。

今回はそんな古着屋の開業について触れてみます。

スポンサーリンク

古着屋を開業するには

古着屋を開業するにはどのような手順を踏めば良いでしょうか。

まず古着屋の開業においては、特に営業許可のようなものは必要ありません。

飲食店のような食品営業許可も必要ありませんし、特別な届け出もありません。

 

ただし強いて言えば「古物商の許可」が必要であり、管轄の警察署で手続きが必要となります。

許可とは言っても警察署へ届出をすれば通常は取得できますのでさほど難しいものではありません。

期間としても一週間~一か月程度で結果が分かりますので、高いハードルではないでしょう。

 

古着屋を開業する場合、開業前に考えておきたい事は、開業資金とテナント・仕入れ・販売方法です。

特に仕入れにおいては古着屋として営業を続けていく上では要となる部分であり、販売前に自分なりの仕入れルートをしっかりと固めておくようにしましょう。

 

古着屋の開業資金はいくら必要?

古着屋の開業資金はどれくらい必要になるのでしょうか。

店の規模や商品点数・内装費などによっても異なりますが、いわゆる個人で始めるような小規模な古着屋であれば300~400万円程度の資金があれば開業することは可能です。

内訳を簡単に考えてみます。

 

店舗取得費

古着屋の場合、その商品の特殊性から必ずしも駅近や繁華街等でなくとも集客は可能です。

ネットの利用等により二等地や空中階でも集客はできます。

ここでは坪1万とし13坪のテナントで賃料が13万とします。

保証金等を含めると賃料の10カ月分程度になるテナントも多いですが、立地によってはもう少し低い物件もあります。

ここでは不動産取得費を100万円とします。①

 

内装

一般的な飲食店であれば内装費に坪30~50万円かかる事も珍しくありませんが、古着屋の場合には過度な内装は不要です。

内装も可能な限り自分で手掛ける事でコストを抑える事ができますし、古着屋の場合には逆にその手作り感の方が映えることもあります。

もちろん個人の好みやお店のコンセプトによっては内装費を多くかける事もありますが、ここではシンプルな古着屋開業を例とします。

内装費や看板代金を含め、ここでは70万円と仮定します。②

 

設備・什器・備品

古着屋には多くの設備や什器・備品はかかりません。

開業時は必要最低限の物に留め、古着屋開業後に必要に応じて備品を買い足していくイメージが良いでしょう。

  • ディスプレイ什器
  • 試着室
  • ミラー
  • レジ
  • 電話・FAX
  • PC・プリンター
  • パンフレット
  • 洗濯機(服の汚れ)
  • 会員カード等

什器や備品を揃える際には、中古品やオークションを上手く活用するようにします。

ここでは什器・備品類の費用を40万と仮定します。③

 

初期在庫

古着屋を開業する場合には、まずは在庫を確保しておく必要があります。

開業後は一般客からの買取りで商品点数を揃えるとしても、開業時はまずは初期在庫を用意する必要があります。

また初期在庫を店頭にある程度揃えておく事により、来店客としてもその店で買い取ってもらえる商品や古着をイメージしやすくなります。

アイテムの違いや陳列方法にもよりますが、上記の13坪程の店舗であれば1500~2000点の古着を陳列できるでしょう。

ここでは1500点とします。

古着1点あたりの平均販売価格が2000円程度とし、その原価が600円とすると、600円×1500点=90万円の初期在庫費用が必要となります。④

 

古着屋の開業資金

①100万+②70万+③40万+④90万=300万円

 

簡単な計算例ではありますが、上記では300万円程の開業資金が必要ということになります。

もちろんこの他にも人件費も考慮する必要がありますし、当面の生活費も考えなくてはなりません。

最低限300万円あれば古着屋の開業が検討できますが、開業後の余裕資金を出来るだけ確保しておくようにしましょう。

 

古着屋の開業届は必要?

古着屋を開業した場合、すぐに開業の届け出をしたいと考えている人もいるかと思います。

実際に税務署に対し「個人事業の開廃業等届出書」を提出した方もいることでしょう。

開業届というのは個人が事業を開始した時に届け出る書類であり、同時に廃業した時にも提出をします。

開業届を提出しておく事によって、青色申告ができたり屋号の銀行口座が作れたりとメリットもあります。

 

ただし逆に言えば、開業届を提出しないからと言って罰則が定められている訳でもありません。

中には提出していない人も多くいます。

古着屋の開業にあたり開業届を提出する必要がある方は、原則として開業から1か月以内には提出をするようにしたいですね。

スポンサーリンク

古着屋の開業後の仕入れ

古着屋の開業において、一番重要なのは服の仕入れです。

一般的な仕入れ方法としては一般客からの買取・ネットオークション等での仕入れ・海外等への買い付け等があります。

 

買い取り

まず一般客からの買取ですが、古着屋を開業するのであればやはり買取をメインに営業を立てていく事が多いと思います。

古着買取の簡単な流れとしては以下になります。

  1. お客様が古着を持ち込み
  2. 査定
  3. 買取金額の提示
  4. OKなら買取承諾書にサイン

 

ただ買取で大切なのはそのバランスです。

買取価格があまりにも高ければ売値も自動的に高くなり売れませんし、買取価格があまりにも低いと買取客が付かないという状況に陥ります。

特に自店で買い取りができる商品とできない商品(偽造品・コピー・臭い・汚れの付着・色焼けなど)を明確にし、特に買取をしたい商品は高価買取として全面的にアピールしていきます。

自店で買い取りをしたい商品とは、もちろん売りやすい商品です。

他店の様子やネット上の販売状況を見ることで、売れやすい商品や相場を養うことも出来るでしょう。

 

買取価格は販売予定価格の2~5割が通常であり、5割を超えてくると利益確保が難しくなってきますが、それでも売りやすい商品は高価買取をする理由があります。

買い取りをする事によってそのお客が購買客にも繋がりますし、他のタイミングで大量に買い取りで来店してくれる事もあります。

もしくは過去の販売終了した洋服が完売している場合等も、そのお店なら買えるかもという期待感を持ってもらえる事もあるでしょう。

多少買取価格が高いとしても、それを販促費として割り切って考えることも大切です。

 

海外買い付け

確かに店内での買い取りがメインであれば常に多くの商品を確保できる事になりますが、実際には買い取り客は開業時から多くを見込めるものではありません。

人気が高い商品や売れやすい商品というのは誰もが簡単には手放しませんし、最近ではフリマアプリ等を始めとして個人間売買に人気があります。

そのため古着屋の開業後は、買い取りだけでなく自分で買い付けに行く事も視野に入れていく事になるでしょう。

 

例えば海外への買い付けですが、最近ではなかなか難しくなってきています。

一番は競合の買い付け業者がアジアの中国・アメリカ・韓国・タイ等を中心に多くなってきているという事が挙げられるでしょう。

中国で言えば上海・韓国でいえばソウル・アメリカで言えばロス等のスリフトショップ等の仕入れが挙げられるでしょうか。

海外での買取仲介役を立てて購入する人もいますが、コミュニケーションがうまく取れなかったり交渉がうまくいかない・値段を釣り上げられる等のトラブルも発生する事もあります。

自分で買い付けに行くにも最初のうちは信頼できるコミュニケーターが必要になるでしょうし、語学もできればベストです。

併せて為替リスクや旅費・商品送料なども考慮しなければなりません。

 

また海外で買いつけをする際には海外の服はサイズ感が日本と異なるので、自分やスタッフに試着等させて日本国内販売にマッチするかどうか確認してから購入するようにしたい所です。

海外商品を取り扱うのであればeBay(海外オークション)なんかも覗いてみてもいいですね。

 

しかし海外においては、仕入れの穴場というのは同業者に聞いてもなかなか教えてくれません。

やはり自分で現地へ出向いて穴場や仕入先を確保するしかないのです。

商品を自社輸入する古着屋もありますが、やはり自分で渡航して実物を見て買い付けたほうがリスク回避できます。

通関も出来れば自分で管理したほうが良く、輸送方法としても例えば服商品など急ぎの季節物は空輸にしたり、什器や雑貨など急ぎでないものは船便で送るなど、商品によって使い分けるとコストも抑えられます。

 

また仕入先国の言語が喋れないという人も多いと思いますが、その場合は代行会社も利用できます。

代行会社を使えば仕入れの代行も行ってもらえますし、検品などを行ってくれる会社もあります。

もし代行が見つからないようであれば、やはり現地パートナーを見つけて雇うのがベストでしょう。

出来れば同業の古着・アパレル業を営んでいるパートナーが良いですが、実際に商品画像を送ってくれたり現地の店と交渉を行ってくれるだけでもかなり助かります。

優良なパートナー探しが出来るかどうかが古着屋成功の秘訣の1つとも言えるでしょう。

 

ネット仕入れ

古着屋の開業においては、ネット媒体も仕入れ手段として利用できます。

最近ではインターネットオークションフリマアプリでの取引が盛んです。

例えばヤフオクやメルカリ・モバオクや楽オク等が主流になっているかと思います。

 

業者相手の場合は除き、個人間売買の旨味は相場以上に安く購入できるケースが多い事です。

コンディションの良い古着や、交渉によっては思わぬ高額商品を安値で購入できる場合もあります。

またあまり良い言い方ではありませんが、個人ユーザーの中には相場を意識せずに安値で出品・取引する人も多いので、ネットを通じて良質な商品を仕入れる事もできます。

ネットの難点は大量購入できない事ですが、空いた時間を利用して仕入れに活用するのも良いでしょう。

 

組合

また古着業界には「日本小売業協同組合」という組合もあります。

ここは古着を出し合い古着屋の加盟店が供給を受けられる仕組みになっています。

また業者同士の情報交換や勉強会等も行われているので気になる人はチェックしてみるのも良いでしょう。

 

古着屋開業後の売り上げ

古着屋開業後の売上は経営者にとって気になる所です。

ざっくりと言えば、古着屋で利益を残していくには仕入れた古着を遅くとも3か月間で買取値の倍額以上で売りさばいていき、年4回周期位で回していく事が必要です。

例えば在庫100万円分の古着があれば3か月でその在庫を売り200万円の利益を目指し、年4回周期を繰り返していくような流れになります。

そのくらいのスピードでなければ次の周期の在庫確保や店舗家賃・人件費支払い等も厳しくなってくるかもしれません。

また商品の回転・循環を良くする事は、顧客にとっても売り場の鮮度が保たれているという印象を持たれ、集客にも好影響をもたらします。

 

古着屋の売上の例として簡単なシュミレーションを考えてみると

客数が40人/日で客単価が1500円・土日が1.5掛で計算すると月の月商は170万円前後(25日営業)。

商品原価が30%とすると51万・店舗家賃が15万・人件費が20%の34万・広告費等諸経費が売上の5%とすると8万5千円。

170万ー51万ー15万ー34万ー8.5万=615000円の営業利益が見込める事になります。

 

もちろん上記は一例であり、開業時から軌道に乗れる店舗は僅かです。

また内装や物件取得費で借入があればそこから更に返済をしていかなければなりませんし、次の商品仕入れ代金も注ぎ込まなければなりません。

実施的にオーナーの手元に残るのは20~30万前後が一般的な所でしょうか。

古着屋開業時からまともな利益を残す為には、事前の綿密な経営プランが必要となります。

 

古着の原価はどれくらい?

古着の原価はどれくらいになるのでしょうか。

新品・既製品ならともかく、古着となるとその原価が分かりにくい人も多いかと思います。

 

例えば海外買い付けの場合、商品によってバラつきはありますが、その原価は2~4割程度でしょう。

ヴィンテージ商品などはさらに原価が上がり、入手難になっている物も多くありますし、そもそもヴィンテージは数が少なく廻ってこない物もあります。

20~40%の原価だと儲かるのでは?と考える方もいるかもしれませんが、海外買い付けの場合には関税輸送費もかかってきます。

当然に現地でレンタカー宿泊をした場合はその費用もかかります。

 

また海外の場合は大量仕入れをするので、全てを売り切れるとは限りません。

売れ残れば処分費もかかりますし、不良在庫となる可能性もあります。

また新品商品と異なり、古着の場合には商品のコンディションやクオリティが均一でない為、一定量を安定して供給できるとは限らず、また欠陥等によりクレームを起こす可能性もあります。

古着の場合にはその原価の低さだけに捉われず、売上とのバランスで判断をするようにしましょう。

 

古着屋をネットで開業するのはどう?

古着屋をネットで開業したいという方も多いかと思います。

ネットだけで古着屋を開業する事により、以下のようなメリットがあります。

  • テナント賃料がかからない
  • 24時間自動で販売をしてくれる
  • 人件費の削減
  • 近隣客以外の客層を取り込める
  • ブログ・SNS等を利用した集客
  • 広告・宣伝費用がかかりにくい
  • 若年層の客層を集客しやすい

 

ですが個人的には、古着屋開業時にはネット販売だけでなく、小さくても店舗は持った方が良いように思います。

特に古着でもヴィンテージ商品など高価な服を多く扱う場合には尚更でしょう。

 

高価な商品ほど実際に手に取って物を見たいという顧客が多いですし、古着を購入する際にはそのサイズ感も気にします。

古着だけにそのコンディションが気になるという人もいるでしょう。

また衣類は通常使用していても新品から伸縮しますので、どのあたりのサイズ感が人気があるのか十分に把握しておく必要があります。

サイズ感やデザインもそうですが、素材が何を使われているかも気に留めたい所です。

 

古着屋のテナントとしては一等地や路面店でなくても構いません。

10坪くらいの空中店舗であれば比較的安価な賃料や保証金で借りる事ができます。

古着屋の来店客にしても、最近の顧客はネットで下調べして来る事が多いので、路面店にこだわり過ぎるよりは古着在庫の確保にお金を回した方が賢明です。

古着のネット開業ももちろん可能ではありますが、出来れば店舗経営も併せて検討した方が良いように思います。

 

古着屋のスタッフ雇用

また古着屋を開業する際、人を雇う場合にも注意したい事があります。

「洋服が好き」という単純動機の若者を雇う人もいますが、できればもう少し具体的な志望動機が欲しい所。

スタッフは広告塔です。

特に古着はコーディネイトに取り入れるのが難しいとされている為、着こなしのセンスが問われます。

どのショップでもそうですが、古着の着こなしが上手いスタッフを雇うのは言うまでもありません。

 

また古着は商品によってはクリーニングや修繕が必要になります。

服によってコンディションの悪いものも多いので服飾学校で習っていたりどこかの洋裁店等で勤めていた等の経験を持っている人のほうが雇うにふさわしいかと思います。

また古着屋の場合、特に開業時はオープン~クローズまで居てくれるスタッフがいると助かります。

高校生などの場合、勤務できる時間が制限される事も多いので、自店の営業時間に合わせて雇用するスタッフを決めるようにしましょう。

 

まとめ

古着屋の開業について幾つか挙げてみました。

古着屋は飲食業などに比較すれば開業しやす業種です。

しかし最近ではフリマアプリやネット販売・シェアサービスに押され、売上の確保が難しくなってきているのも事実かと思います。

ですが小さな古着屋でも、一定の利益率を保っている店舗は数多くあります。

これから古着屋を始めたい方は、まずは自分が理想とする店舗を見つけ、アルバイトでも良いので入社をし仕入れから販売の流れを把握する事から始めてみるのも良いかもしれませんね。

それでは今日はこの辺で。

スポンサーリンク