FP(ファイナンシャルプランナー)の独立・開業・稼ぎ方

「FP(ファイナンシャルプランナー)」の独立・開業・稼ぎ方

今回はFPの独立・稼ぎ方について書いてみようと思います。

FPという資格をご存じでない方もまだまだ多いと思います。

FPという資格は主にお金の専門家といった所でしょうか。保険・証券・不動産・

相続など生活をとりまくあらゆるお金の相談家という人たちです。資格としては

CFP・AFPなど日本FP協会が認定しているものと国家資格であるFP資格とが

あります。近年ではFP資格も難しくなってきており特にCFPやFP1級などになると

簡単に取れる資格とは言えなくなってきました。FP資格は国家資格となり

10年以上経過しますがその難易度とは裏腹にFPの認知度やニーズはあまり

高まっていない気がします。

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米国ではFP資格は非常にニーズがありお金に

関して相談事があるとかかりつけの医者のようにFPに相談するという慣習さえ

あります。しかし日本ではそのような慣習は一部の投資家や資産家を除き

見られません。この理由としては米国ではまず不動産屋や株・債権・貴金属や

投資信託など運用に関して保守的な日本人より米国人は積極的な姿勢があり資金分配等に

関してもFPが相談相手として重宝されています。また日本のFPが米国のFPと

比較するとまだまだ知識レベルが低いという事も言われています。相談しても

自分が想像できる以上の回答が得られなかったり解決に辿りつく具体的なアドバイスが得られなかった

というケースも多いかと思います。また日本人の国民性としてお金の事は内々にして

あまり人には相談しないという特性も日本でFPがいまいち普及しない理由の1つでしょう。

住所や名前等の個人情報にすら敏感になっているくらいですからお金の事を他人に漏らすという事は

神経質になる人も多いのでしょう。またFPの資格はお金のスペシャリストという呼び名が

付いているにも関わらず実際の実務相談に関しては限定的な相談しかできない事も多いものです。

例えば金銭的な法律相談であれば弁護士法に触れる場合もありますし税務相談であっても税理士法に抵触

するような内容は具体的に相談に乗る事は難しいですし社会保険関係でも社会保険労務士が存在します。

中には法律に多少抵触しても相談業務に乗る少しグレーなFPも存在しますが独占業務も併せ持たない

FPは多少中途半端な存在になっている感覚も否めない部分があります。

さてそんなFPの独立と言うとなかなか明るい話題は出てきません。企業内で僅かな資格手当をもらっている

FPや保険相談窓口などで名刺記載代わりにFP登録をしている人などが多く実際に独立して相談業務で飯を

食べていけるFPというのは僅かです。最近では出版社に自分の原稿を売り込んでいるFPもいます。

ですがそれでも採用されるには中々難しいようです。採用されたとしても原稿料さえ僅かなもの。

売り込むのも簡単ではありません。よくあるビル内やショッピングセンターにあるような保険の窓口を

開業する方法もありますが保険契約収入だけで食べていくのは相当な契約数を抱えていなければなりません。

新規の契約もなかなか取れないのでひっくり返しで無理やり保険内容を他社に見直させるような展開に

なっていく事も多いかと思います。また豊富な数の保険を扱っている店舗も多いですが契約が取れる保険商品

というのは大体決まっています。自分に手数料が多く入る保険商品はお客様にとってメリットが少ない商品も

多く、一方で契約が取れる商品は人気があり手数料割合が少ない商品が殆どです。そのため僅かな手数料割合の

人気商品を数多く売らなければならないというFPとは少しかけ離れた業務内容に傾いてきます。

また保険代理店は顧客に保険商品を販売すると1年間は保険料収入の50~150%もの高い保険料

手数料を保険会社から受け取る事ができますが2年目以降は僅かな手数料収入に減っていくので

年々新規契約を取らなければ収入は安定せずケースによっては顧客に不必要な保険商品を勧めなければ

ならない事を余儀なくされる事もあります。そのためFP本来の中立的な提案というよりは

代理店のマニュアルセールストークに応じた提案しか出来ないケースも実際には多いでしょう。

「企業系FPとは違い独立系FPは中立的な立場で保険提案が出来る」とはよく聞き慣れたフレーズ

ですが実際には独立系FPでも保険手数料で生計を立てている資格者が多く、商品毎の保険料率で

顧客に提案する商品に偏りが出来てしまうケースも少なくありません。

また証券分野についても株・投資信託などは証券マンのほうがよほど詳しい場合もありますし

運用についてはリスクがあり積極的にアドバイスできないFPというのも多いものです。FP資格者として

活躍するには講演・執筆・インターネット等でのライフプラン診断が柱になっているFPも多いですが

利益重視の企業とは違い公平な意見を言えるFPだからこそ相談できる案件というものがあると思います。

例えば顧客から「良い商品はありませんか?」という漠然とした質問を投げかけられる事も多いFPですが

顧客の状況や家族構成・将来展望等を交えて瞬時に判断できるくらいの知識量や判断力が大切です。

FPにコミュニケーション力が求められるのは顧客から一度信頼されると客が客を呼ぶという傾向が強く

特に資産相談業務が必要な高齢者顧客においてはこの傾向は顕著と言えます。

不動産・相続分野が皮切りに?

今後のFP分野の中で一番有望なのはやはり不動産という事になるでしょうか。

単純に住宅購入においても住宅ローンや火災保険・不動産投資・太陽光パネル設置・

ハウスメーカーの選定などFPが相談に乗れる業務は多岐に渡ります。また一般的には富裕層を相手に

した方が利益率は高くなる傾向はありますが富裕層は既に顧問や相談取引先を抱えている事が多く

富裕層を顧客として掴まえる事自体が困難なケースも多いものです。ですが不動産は一般家庭でも保有

している事が多く不動産を所有しているどの家庭も潜在的な富裕層顧客として当てはめる事が出来ます。

また不動産は他の証券・保険等と比較しても単価が高い分、購入者は慎重になります。

しかし実際の不動産購入において第三者に相談できる人がいるという事は通常はなかなかありません。

不動産屋は早期売買を勧めたがる傾向もありますし自社の利益を優先します。また不動産屋には不動産

について詳しい人は多くいますが不動産を絡めた金銭の運用までアドバイスできる人は多くはいません。

住宅メーカーや不動産屋から受け取る情報が本当に自分にとって有益な情報なのか、購入者は最後まで不安に

なるものです。本当にその金額が適正価格なのか・打診された売却価額が妥当か、有効な土地活用方法など、

FPが活躍できる場はあります。売主・買主・仲介業者の枠に含まれない第三者的な立場であるFPだからこそ

提案できる業務の1つと言えるでしょう。

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また2015年2月には「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。

全国に占める空き家の割合は実に13.5%。2020年には1000万戸を超えると言われています。

東京都の人口ほどの数の空き家が宙に浮く訳です。

自治体から特定空き家と指定されるとこの指定を受けた空き家は行政の判断で取り壊されたり

その命令に従わない所有者に罰則が定められたりと良い事はありません。また取壊し更地にすれば

固定資産税はおよそ5倍にもなります。しかし不動産の所有者たちはいきなりこのような法を

目の前にしても不動産の活用方法を知りません。またそもそも空家等対策の推進に関する特別措置法自体が

未完全な状態にあり中にはザル法と噂する人もいます。更に少子化は増々悪化し、残された実家が

空き家となる率は増々増えていくでしょう。また相続された空き家は古屋も多くメンテナンスが必要な

住宅も多いもの。住宅修復の相談相手も必要になってくるでしょうから空き家の活用法の枠においても

FPの活躍の場は開かれています。売却か・建て替えか・賃貸に回すのか、駐車場立地にするのか、店舗兼住宅

にするのか、荷物のガレージにするか、提案方法は様々です。またご存じの通り、不動産はその住宅だけを

捉えて判断して良いものではありません。周辺施設の状況や人口の増減・相続や他の保有資産状況・投資に

対しての適正や税金など様々な事を考慮してその不動産の使い道を考えなければなりません。所有者の周辺状況を

トータルで考慮しその上で適正なアドバイスができる資格者というのはFPが最も適任のように思います。

また昨年から相続税基礎控除枠も大幅に引き下げられサラリーマン世帯でも相続問題は

無視できない状況になってきました。データでは3家庭のうち1つの家庭は相続税について検討しなければ

ならない状況になっています。一般家庭でも不動産を保有している事は多いですし生命保険や証券財産など

将来的な保有方法に悩んでいる顧客は沢山います。また高齢化を鑑み、国は相続税をかなり当てにしています。

今後数十年の間に発生する莫大な相続税が国家の借金を補填していく格好になるかと思います。

相続に関しての相談ニーズは今後増々多くなっていくでしょう。また土地や住宅保有者としては

相続税はいくらになるのか・遺産分割方法・どの資産を売却するべきか・相続後の資産運用など

不安を抱えている人は割と多いものです。もちろん各資産においても専門家はいます。保険であれば保険屋・

不動産であれば不動産会社が・株や投信であれば証券会社の営業マンが熱心に相談に乗ってくれるでしょう。

但しその各分野の専門家たちは自社の利益を優先に考えて交渉を進めたり自分の専門分野以外の事について無知

だったりする事も多いもの。トータルなライフプランニングを提供できる人は意外に少ないです。

要するに各会社の利益とは関係のない所で気軽にセカンドオピニオンを取れる役割が今のFPには重要に

なってくるかと思います。

またFPで独立をすると考えた場合、不思議と保険・証券・不動産・相続などビッグワードで独立を考える

人が多いように思います。ですが個人がこのような大きなカテゴリーで勝負する事は決して有効では

ありません。更に細かいカテゴリで勝負をしていく必要があります。例えば証券で言えば為替取引専門・

年金で言えば確定拠出年金専門・不動産で言えば駐車場立地活用専門・相続で言えば遺言アドバイスなど

小さな特定のカテゴリでのスペシャリストを目指す事が意外に近道だったりもします。

なぜ細かいカテゴリで勝負する必要があるかと言えばFPは無から有を生まなければならない職だから

です。例えば弁護士であれば法律事務が、司法書士であれば登記が、社労士であれば保険手続きという

ように他士業は独占業務が割り振られどのような範疇で収入を得るかという事やその費用相場も事前に

ある程度決まっています。

しかしFPは仕事の仕方も千差万別でどのようなカテゴリで仕事を獲ってくるかは人によって違いますし

報酬も相場があってないようなもの。どのようなターゲットを顧客にするか・プランニング方法・料金設定・

どの部分をマネタイズに繋げるのかといった事までゼロから自分で設計していかなければなりません。

まして現在では大抵の事はネットで個人が調べ事が出来る時代。大抵の金融知識であれば自分で検索すれば

事足りますし自分1人で行動を起こす事も出来ます。FPがカテゴリを絞って独立する必要があるのは

ネットで届かない専門性の高い知識や過去の現場経験がないと出来ない判断・その分野に普段から身を

置いていなければ気付かない特性等をその分野の専門家だからこそアドバイス出来る事にあります。

自分の強みが何なのか、それを一瞬でPRできる専門性の高いFPが求められていくでしょう。

独立と言うと大きなカテゴリを扱った方がその分多数の顧客を取り込めると考える人もいるようですが

実際には一人のFPが扱えるマーケットというのはさほど大きくはありません。そのようなマーケットは大手が

とっくに牛耳っており個人が入れる隙間は既にありません。むしろ最初から大きなスタンスで始めるよりも

小さなカテゴリの取引数を徐々に増やしていき他の分野に少しずつ手を伸ばしていく方が成功確率は高まる

でしょう。

FPの相談業務等は無資格者でも行える業務が殆どです。

残念ながら資格を持っていれば稼げるという時代はとっくに終わっています。

この点ではFPも税理士も弁護士も同じです。年収1000万を超える税理士や弁護士がいる一方で

月収10万円にも満たない税理士や弁護士もいます。FPも同様でFP資格が稼げないのではなく

活用の仕方がわからないという資格者がほとんどだと思います。FPは単に資格手当をもらう為や

名刺記載する為に取得するものではなかったはずです。

FPの将来性というのは中々厳しいものがありますがそれでも自分の得意分野を明確に打ち出して

PRしていけばまだまだ勝機はあるように思いますがいかがでしょうか。それでは今日はこの辺で。

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