お好み焼き屋の開業は儲かる?資格や原価・成功のポイントを解説
今回はお好み焼き屋の開業・独立について挙げてみたいと思います。
家族やカップルなど、みんなでワイワイ美味しく食べるのもお好み焼きの醍醐味の一つですね。
お好み焼き屋は粉もの商売。稼ぎやすい商売と考える人も多いのではないでしょうか。
そのふっくらとした柔らかい食感と具材がよく馴染み、主食やおかずとしてだけでなく、おやつとしても食されています。
現在ではお好み焼きのトッピングも豊富になり、色々な味の組み合わせも楽しめるようになっています。
今回はそんなお好み焼き屋の開業・独立について触れてみます。
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目次
お好み焼き屋を開業するには?
お好み焼き屋を開業するにはどのような許可・手続きが必要になるのでしょうか。
下記に幾つか挙げてみます。
お好み焼き屋を開業するには、まず保健所に食品営業許可の申請をしなければなりません。
保健所の施設要件・設備要件を満たす事が必要になります。
早めに管轄の保健所に相談をしておきましょう。
また食品衛生法により、食品衛生責任者を各店に一人設置する事が求められます。
食品衛生責任者資格は講習にて1日程度で取得できますので、スケジュールを確認して取得しておきます。
調理師免許を持っている方はこの資格取得は不要です。
また収容人員が30人以上の店舗の場合は防火管理者を選任する必要があります。
こちらも消防署が実施する数日の講習会を受講する必要があります。
またその他にも必要に応じて税務署への開業届や、従業員を雇用する際には労働保険への加入手続きが必要になります。
お好み焼き屋の開業資金は?
お好み焼き屋の開業資金はどれくらいかかるのでしょうか。
まずはお好み焼きに関わらず、物件探しから始まります。
一般的なお好み焼き屋の面積は10~20坪程度。
あくまで物件にもよりますが、保証金や内装工事費・厨房工事・設備費や広告費などを含めると、開業には高額な費用が必要になります。
以下はお好み焼き屋開業資金の一例です。
店舗の敷金・保証金等:150万円
内外装工事費 500万円
厨房給排水工事費 300万円
機械設備 50万円
備品・消耗品 10万円
広告宣伝費 20万円
運転資金 300万円
計:1330万円
(※人件費・材料費除く)
※上記は例であり、物件やコストのかけ方によって開業資金は大幅に異なります。
諸々のコストを計上すると、お好み焼き屋の開業資金としては700~200万円程度は見込んでおく必要があります。
開業資金のうち、30~50%程度は自己資金で始めるようにしたい所です。
またお好み焼き屋の場合にはスケルトンか居抜きかによっても内装工事費が大きく変わります。
一般的にお好み焼き屋の場合には、調理場やダクト工事が必要になるため坪30~50万円程度の内装工事費がかかります。
コストを抑えたい場合には居抜き物件を利用することも検討しましょう。
またお好み焼き屋の開業前に考えておく事として、その提供方法があります。
お好み焼き屋によって提供方法は異なり、一つは顧客それぞれが目の前の鉄板で自分で調理をする形・もう一つは店員が調理をしてそれを提供する形です。
前者の場合には顧客が自分で調理を楽しめる反面、席数分だけ鉄板が必要になり、その分設備工事費も高額になる恐れがあります。
一方で後者の場合には工事費が抑えられる反面、調理をする楽しみが半減する事や混雑時の提供スピードが落ちる可能性もあります。
またカウンター席であれば顧客の目の前で調理をするため、退屈させないパフォーマンスにもなります。
お好み焼き屋の場合、提供方法によって回転率も変わってきますしテーブル・席数も売上に大きく影響します。
開業後にレイアウトを簡単に変更する事はできません。
内装工事を依頼する際には、飲食店工事やお好み焼き店工事経験のある業者に依頼をするようにしましょう。
お好み焼きの原価は?
お好み焼きの原価はどれほどになるでしょうか。
店舗やトッピングにもよりますが、お好み焼きの原価率は20%~25%が一般的。
粉もの特有の原価率の低さです。
飲食の中で言ってもお好み焼きは比較的利益が出やすい商売という事は言えます。
お好み焼きの材料には、一般的には以下のようなものを使います。
生地・キャベツ・豚バラ肉・紅ショウガ・小エビ・青のり・かつおぶし・ネギ・天かす・卵・水・油・ソース・マヨネーズ …
お好み焼きにかかる材料費としては一枚あたり125~150円程度。
一方で個人店であれば、お好み焼き一枚の価格は500~600円が一般的。
よって原価率としては25%程度になる事が分かります。
ただし最近では小麦やタマゴ・肉などの値上げもあり、今後どのように原価が変わっていくのかは不透明な部分もあります。
またチェーン店などの一括仕入れと異なり、個人店の場合には仕入れ値がその分高くなります。
原価だけに捉われず、トータルでコストを判断する必要があります。
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お好み焼き屋は儲かる?
お好み焼き屋は儲かるのでしょうか。
原価の低さ等を見ると儲かりそうなイメージもありますね。
簡単にシュミレーションとして考えてみます。
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売上項目 | 売上額 |
売上合計 | 1800000円 |
経費項目 | 経費額 |
賃料 | 195000円 |
材料費 | 450000円 |
人件費 | 414000円 |
水道光熱費 | 108000円 |
諸経費等 | 90000円 |
減価償却費 | 72000円 |
経費合計 | 1329000円 |
【売上合計】1800000円-【経費合計】1329000円=471000円
シュミレーション上では、471000円の営業利益が見込める事になります。
物件の取得費や工事費などで当初借入がある場合は更に利益は減ります。
どの飲食でも人件費が高く付きますが、お好み焼き屋の場合には家族経営であれば人件費は更に下げる事も可能ですし、顧客が調理をする形態であればもう少し人件費を抑える事も出来るでしょう。
原価は25%で計算しましたが、20%~の原価率でやっているお好み焼き屋は沢山あります。
また季節によって売り上げもバラつきが出るため、季節ものやサイドメニューの工夫をする等も必要になってきます。
お好み焼きは飲食の中でも利益が出やすい業態ではありますが、難点を挙げるとすれば回転率の悪さです。
その為どれだけ客単価を上げられるかも重要になってきます。
計算では客単価1800で計算をしましたが出来れば単価2500~3000を目指したい所。
またサイドメニューやトッピングを豊富にしたり、夜メニューを変える・アルコールやテイクアウトを充実させる方法もあります。
他にも原価率の低いアルコールやソフトドリンクを提供したり店内POPを目立つようにする・お好み焼きに限らず他の鉄板ものも併せて販売する・来店客へのクーポンチラシやDMを送る等、細かい店内の仕様にはやれる事は沢山あります。
またお好み焼きは油を使うので特に女性客の取り込みが難しい場合もあります。
臭いをなるべく付着させずに調理する工夫や見た目の工夫・野菜を多めに取り入れたメニューやイベント性の演出等も必要になってきます。
女性客を増やす事で口コミから客数が増える事もありますし、デザート系やドリンクのオーダーが増えるので客単価が上がる事もあり、女性客の取り込みも大切です。
お好み焼き屋の開業当初においては他店との差別化も考え、どのようにリピーターを確保していくのか、常に集客を試行錯誤しながら模索していく事になります。
またお好み焼きはその特性上、普段の食事としてだけでなくお祭りやイベント・たまの家族との食事や恋人とのデートなど、楽しく賑やかな空間を楽しめる場でもあります。
普段から気軽に心地よく利用してもらえるような店舗造りも、お好み焼き屋の集客にとっては大切な要素となります。
お好み焼き屋で修行は必要?
お好み焼き屋で修行は必要なのでしょうか。
確かに脱サラをして、あまり修行もせずにすぐに開業をしてしまう人も中にはいます。
個人的には必ずしも修行が必要だとは思いませんが、自分なりの「準備」は必要だと思います。
まずお好み焼き屋の繁盛に必要なのは、当然に「味の良さ」です。
一般家庭で作るお好み焼きと同じレベルでは、繁盛店にするのは難しいでしょう。
自分で調理するにしてもお客さんが調理するにしても、その味がしっかりとしていなければ顧客は来店しません。
今では簡単なレシピ程度であればネット上にもいくらでも転がっていますし、調理が分かる動画コンテンツも豊富です。
それこそお好み焼き屋有名店のレシピが分かる事もあります。
開業教室も探せばたくさんあるでしょうし、時間に余裕があるのであれば手本としたいお好み焼き屋を見つけ、その店舗で働いてみるのも良いでしょう。
昔のように師匠の元に付いて5~10年も修行をするのは非効率かと思いますが、自分なりに何店ものお好み焼き屋を食べ歩いたり、納得がいくまで他店の研究を重ねることは絶対に必要です。
お好み焼きの味は元より、店内の雰囲気やオペレーション・接客や調理時間など、参考にできる部分は多々ある事でしょう。
修行が必要かどうかと言うよりは、自分が自信を持ってお好み焼きを提供できるまでは、開業は控えた方が無難なように思います。
お好み焼き屋の開業で失敗するケースとは
お好み焼き屋の開業で失敗するケースにはどのような事が考えられるでしょうか。
お好み焼き屋の場合やはり人件費がネックとなり得ます。
人件費の見積もりを誤り、過剰な人件費負担がある事で収支を圧迫します。
出来れば家族や知人・親戚を頼るなど、人件費がかかりにくいスタッフを確保しておく事は大切です。
お好み焼きや鉄板焼きは、調理をお客様に任す場合には焼き設備が必要となり、キッチンやダクト工事でどうしても設備費用が高額になってしまう場合があります。
中古品を使用したり居抜きを利用する等、開業時は出来るだけコストを抑えましょう。
お好み焼きは服などに臭いが付くことがあるので、特にビジネス街やランチタイムなどは不向きな場合もあります。
また調理に時間がかかるので立地も検討が必要です。
お好み焼き屋の場合、必ずしも一等地でなければいけない訳ではなく住宅街や二等地でも集客は可能です。
選ぶ立地によって客層が異なるため、客層にあわせた価格やメニューを展開する必要があります。
また無駄に広いテナントよりは、必要最低限の小規模な店舗の方がスタッフや顧客との距離も縮み、和みやすい店内の雰囲気も作り易くなるでしょう。
当然ですが立地は後から変更する事は難しいので、本当に良い物件に出会えるまでは開業は控えた方が良いでしょう。
お好み焼きのように複数人や団体の食事の場合、店内が常に満席というケースは少ないです。
混んでいる時でさえ幾らかの空席がある事が通常です。
そのため最初から過剰な売上予測や収支計算をしてしまうと、現実の数字とのギャップが生じます。
お好み焼き屋の場合、その味だけではなく雰囲気も大切です。
店の個性や盛り付けのインパクト等、お店の楽しさを感じてもらえる工夫をしましょう。
お好み焼きのこだわり
お好み焼きと一言でいってもミックス・豚玉・モダン焼き・ネギ焼き等色々なレシピがあります。
ミックスではタコ・エビ・イカ・豚等が主流ですが、冬場に牡蠣を入れるものもあります。
また具材以外にも大切なのはキャベツ。
どこのキャベツを使用するかにも店舗により差がありますし、スライスの仕方やその厚みによっても食感が変わってきます。
粉とキャベツの量のバランスは食感に大きく影響し、一般的にはキャベツ:生地が4:3くらいの割合を保っているお店が多いかと思います。
種類としても関西風・広東風・広島風などがあり焼き方や使う食材も様々です。
またお好み焼きにとってポイントになるものは、やはり生地とソースにあります。
専門店でお好み焼きを食べると、ふんわりとした生地の食感と具材が絶妙にマッチしていて思わず完食してしまいます。
生地についてはお店によりけりですが市販の粉をそのまま使っているお店もあれば、複数の粉やスパイスや牛乳等をブレンドさせてオリジナルの粉を作っているお店も多くあります。
またソースについても市販のおたふくソースのようなものもありますが、専門店のソースはオリジナルに作られたものが一般的。
野菜や果物・調味料や香辛料をブレンドさせて自店のお好み焼きに適したソースを作り上げています。
またお好み焼きで地域性が一番出やすいのがソースです。
ソースは地域によっても特色があり、例えば関東であればさっぱり味のソース・大阪はこってり・広島は濃厚で甘みのあるソースなど、その地域に適したソースがあります。
エリアの特性に合わせたソースを提供するようにし、また顧客によっても好みが違うため種類を豊富にそろえておきたい所です。
お好み焼きは老若男女問わず人気のある食べ物で、またおかずやおやつとしても適した食べ物でもあり、食べる時間帯を問わない利点もあります。
値段も比較的安価な事から、気軽に購入できる食べ物でもあります。
店内にはカップルや家族連れなど幅広い客層がターゲットになるため、座席にも2人席~6人席などバラつきを持たせる事も大切です。
またお好み焼きの味自体で他店との差別化を図ることももちろんですが、昨今のお好み焼き屋では店舗内装もこだわりを持つ店舗が増えています。
高級感やレトロ感を売りにした店舗も多く、顧客がゆったりくつろげる空間作りに配慮されています。
多くのお好み焼き屋さんがある中で選ばれる店舗になるためには、店舗造りにも試行錯誤が必要と言えます。
お好み焼き屋の開業まとめ
お好み焼き屋さんの開業について幾つか挙げてみました。
お好み焼きは昔から馴染みのある食べ物であり、老若男女誰からも愛される味があります。
馴染みやすい味なだけに、どのような点で他店との差別化を図るのか迷ってしまう事もあるかもしれません。
ですが今でこそ繁盛店になっているお店も、最初は一から小さく始めている筈です。
成功店等を参考にしながら、自分だけの拘りのお好み焼き屋さんにしたいですね。
それでは今日はこの辺で。
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