本屋の独立・開業・稼ぎ方
本屋の独立・開業・稼ぎ方
今回は本屋の独立・稼ぎ方について書いてみようと思います。
本が好きな方にとっては自分で本屋を開業したいと思った方もいるのではないでしょうか。
ずっと物語や活字に囲まれて仕事したい、自分が好きな本をお客さんに薦めてあげたい等々、いくらネットが
発展しても本が好きな人はいつまでもいるものですね。本の電子化が始まってから数年経ちますがまだまだ
末端にまで浸透しているとは言えず実際の本を手に取ってじっくり読むのが好きという人も多いものです。
さてそんな本屋ですが独立への道はどうかというと夢を潰してしまうようですができればやめておいたほうが
良いでしょう。本屋の流通システムは問屋が儲かる仕組みが昔から確立されており小売りである書店は
なかなかの薄利であることは知られた話です。昔は2万~3万店の本屋があるという話でしたが今はネットの
流れに押されてずいぶんと減少しました。本屋を開業するのに特に資格等は必要ありません。古本屋は古物商の
許可が必要ですがそれも警察署経由で簡単に取れます。まずは本屋の利益ですがざっくり言えば本の価格の2割が
本屋の利益分になります。本屋を開業するには肝心の本を卸してくれる問屋を見つけて卸契約をしないと
いけません。この契約を取次と言います。問屋ではトーハンさんとか日販さんが有名ですよね。
また本によって当然出版社も違いますのでどの本を仕入れたいのかという視点も必要に
なってきます。しかし例えばAという本を10冊仕入れたいとしてもそれだけでは輸送費がかなりかさんでしまう
ため実際にはそんな単品ごとの仕入れはしません。問屋から大量の本を一括仕入れすることによって輸送費を
節約する必要があります。またその輸送費も問屋によって変わりますが一般的には本の価格の7~8%程度の
輸送費を取られます。但し数十冊仕入れたとしても問屋としてはそんな細かい仕入れに対応していては
仕事が煩雑になりますし利益が出ないので大量の本を注文しないと仕入れさせてくれない仕組みになっているんですね。
具体的には月商300万円以下の本屋の取引には応じないというケースも多いようです。
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ですから本屋としては仕入れる必要のない本までも仕入れしなくてはならない状況になる時もあります。
ですが売れ残った本が全て在庫になってしまうかと言えばそうではなく本屋には委託制度というものがあります。
売れなくても返品すれば代金が返金されるというものですね。ただこの委託制度が使えるのはあくまで
問屋を通して本を仕入れた場合で出版社と直接取引して仕入れた場合にはこの委託制度は使えず返品が
できないという事になります。よほど売れる見込みの高い商品しか出版社との直取引はしない事も多いものです。
また問屋と取次契約をしてもらう為には店舗の規模なども考慮されます。10~20坪くらいの小店舗では
取引してもらえない事もあるでしょう。となると50~80坪くらいの書店を構えようとすると当然それなりの
テナント家賃がかかってきますし規模に見合った従業員数も必要になってきます。もちろん大きな店舗で
あればあるほど本の数も必要になります。また本屋が開業するときは特に莫大なお金がかかり契約金や
仕入れ代金が大きいので最初がかなり資金がかさみます。返品代金が入金される頃には多少ラクになってきますが
それまで資金がショートする可能性もあります。また新刊などは特に問屋へ注文を出しても希望を聞いてもらえない
事も多くあくまで問屋が生き残る仕組みは変わりません。また本の電子化やネット販売がもたらしたものは
本屋の売り上げに直結するだけでなく万引き犯罪にも影響を与えました。少し前に「せどり」という中古本を
本屋で個人が仕入れてネットで販売する小遣い稼ぎが流行りましたがこの流れで本の万引きが異常に増加しました。
ただでさえ薄利の本屋ですが万引きにも対応しないといけないので更に売り上げ減に拍車をかけます。
1冊の本を万引きされたら5~6冊の本を売り上げてやっとトントンでしょう。また大手も指をくわえて見ているだけではなく
こんな状況を鑑み本+αの形態を取る書店が多くなってきました。身近な所ではTSUTAYA+スタバの形態などが
有名な所でしょう。その他にもブックカフェ+イベントや本屋+飲み屋・また本の販売に一定のコンセプトを置いて
販売している書店もあります。それぞれに独自性があり今までの書店形態では生き残っていけない様を表していますね。
今から新規事業として本屋を開業することはお薦めはしません。あくまで本は自分の趣味として置いておく事を
推奨しますがそれでも本屋を開業したいという事であれば他にはない独自性を打ち出した書店コンセプトが必要に
なってくるのかもしれませんね。それでは今日はこの辺で。
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