和菓子職人の独立・開業・稼ぎ方

和菓子職人の独立・開業・稼ぎ方

 

今回は和菓子職人について書いてみようと思います。

和菓子は昔から日本人に馴染みがあり日本の伝統文化の1つでもあります。

茶道等にも和菓子は欠かせない存在ですしその食感や美しさ・季節の移り変わりによって

種類も変わるなど食文化に定着しています。桜や青梅、紅葉など、四季折々の自然を表した彩り豊かな

和菓子の数々には心を打たれるものがあります。

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和菓子職人になるには専門学校等を卒業し和菓子に対する知識や技術を習得していくのが一般的です。

学校では製菓器具・設備の使い方をはじめ、デコレーション技術、連切をはじめとした和菓子独特の技術を学び

和菓子独特の感性もそこである程度は学ぶ事ができます。

資格は必ずしも必須ではありませんが菓子衛生師等の資格を取っておくと将来役に立つ事もあります。

日本人はもともと手先が器用な人種ですが和菓子職人には尚更手先の器用さが求められその他にも

美的センスも必要です。また洋菓子のパティシエと同様、体力仕事が意外にも多いため、特に女性の

中では体力的に厳しく途中で挫折してしまう人も多くいます。

和菓子職人として独立をするにはやはり修行は必須となり、和菓子の大手製造チェーン店に就職するのではなく

昔から小規模で手作りの和菓子工法を代々続けているお店等に勤めて修行したほうが良いでしょう。

チェーン店の和菓子工場等では部分的な工程は覚えられる場合もありますが手作りの技術や細やかな作業は

盗む事ができません。また最近の若者は見て技術を盗むという姿勢が欠けているとも言われますが

和菓子職人の師匠と言われる人たちはいずれも比較的高齢の人の場合が多いものです。

弟子から積極的に技術を盗むという姿勢も必要になるでしょう。また最初から和菓子作りを教えてもらえる

事は稀で最初の5年は雑用や下処理がほとんどです。「餡炊き3年、薪焚き5年・得意先への配達2年・

さらに8年で半人前・仕上げの細工を10年」なんて言葉もありますがこれらの長期間修行を経てやっと

1人前と呼ばれる職種でもあります。

やはり就職してすぐに和菓子作りに専念できる環境を求めるのは難しいように思います。また正直言って

労働環境は劣悪な所が多く夜が明ける前から仕込みを初めそのまま夕方から夜まで働く事もしばしばあります。

餡と生地の仕込みが和菓子の味を決めると言ってもよく仕上げより大事な作業だからですね。

夜中から餡子をこねる事などから始まり餡子1つ取っても10種類以上の餡があったりと和菓子の種類の豊富さにも

相当な学習が必要になります。こしあん、つぶあん、うぐいすあん、白あん、くりあん、ごまあん、ゆずあん、

変わり種あん等きりがありません。

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また和菓子作りはいわば感覚と想像で作る菓子。例えば糖度を計るのには糖度計が

ありますがそれも使用せず職人の感覚で創作していきます。その日の湿度や小豆のはねる音やヘラにかかる重さ・

煮ている時の色艶とかその日の湿度・工場の環境等でも和菓子の出来は変わってきてしまいます。

やはり経験と感性がモノをいう技術商売と言えるでしょう。もちろんその感性を養うためにお茶や

絵を習ったり、季節の移ろいを感じるために外に出たり、自分を高めることにもお金や時間を費やす事も

重要になってきます。

大体はこのあたりの時点で挫折する人が多いのですが、長い労働時間や安い賃金を「指導料」と割り切ってやれるかが

ポイントにもなってきます。都心では和菓子職人は少しづつ減ってきているように思いますがじっくりと

修行をするには地方もお薦めです。地方ではGWや夏休み・祭りごとや観光シーズンなどの時期は和菓子が

人気になっている反面、都市部へ人口が集中している事から和菓子職人の人材自体が不足しています。

また地方では尚更高齢者が多いので若手の人材育成に力を入れているお店もあります。

和菓子業界や職人がなぜ停滞しているのかと言えばやはりスーパー等で工場の大量生産が主流になっており

職人が1つ1つ作り上げる高価な和菓子は売れにくいという現状があります。またそんな和菓子店で

勤務をしても年収は150~300万くらいが普通。金銭的な成功を収めたいのであればやはり

都心ではなく地方に身を移すという覚悟も必要でしょう。例えば京都など伝統工芸が盛んな街では

和菓子職人の活躍の場はまだ大いにあると思いますし中にはアメリカ等海外へ日本特有の和菓子を

持ち込んでビジネスにしている人もいます。和菓子自体は素晴らしいものが多いのですがやはり

それを認めてくれる環境も必要という事になります。また和洋折衷の和菓子など自分の想像力を限界まで

働かせ創作された和菓子というものは見る人が見れば感動を生むものです。

最近ではネットを初め全てが合理的に物事が進む中で日本の伝統工芸が失われつつあると聞きます。

合理化が進む一方でそれでも私達の伝統を必死に守ろうとする和菓子職人たちの今後の活躍にもぜひ応援して

いきたいものですね。それでは今日はこの辺で。

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