英会話教室を開業するには?資格や開業資金・集客方法も解説
今回は英会話教室の独立・開業について書いてみようと思います。
最近ではグローバル化やオリンピック誘致等の影響もあり、英会話を始めたいと考えている人も多いようです。
また年齢層も子どもから大人まで幅広い年齢層が英会話を学習し始めています。
その学習目的も初歩的な英会話を学びたいという方や日常会話レベルや受験目的・ビジネス英語レベルを求める人まで様々。
また小学校での英語が必修化された事もあり、幼児等の英語教育の需要も高まっています。
今回はそんな英会話教室の独立開業について触れてみます。
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目次
英会話教室を開業するには?
英会話教室を開業するにはどのような手続き・許可が必要になるのでしょうか。
結論から言えば、英会話教室を開業するのに特別な許可や手続きは必要ありません。
また開業にあたり、特に英語系の資格を取得していなければならないといった決まりもありません。
そのため自由に英会話教室を始めることができます。
ですが英会話スクールを始めるにあたり、教室によっては教室長などを置き自分は講師にあたらないケースもありますが、やはり生徒や親御さんからの信頼を高める意味でもできれば資格は持っていた方が良いでしょう。
一般レベルであれば英検2級・TOEIC600点程度、上級レベルで教えるのであれば英検準1級・TOEIC700点程度以上は取得しておきたい所です。
英会話教室の場合には、生徒さんの目的に応じて受験英語・初心者英語・資格対策の英語など様々ですが、特に資格対策のレッスンも行う場合には講師も資格を取得しておく事は役立ちます。
例えば英語系資格としては以下のようなものがあります。
- 英検
- TOEIC
- TOEFL
- 国連英検
- 日商ビジネス英語検定試験
- ビジネス英語翻訳士
必ずしも資格取得は必須ではありませんが、開業者や講師が取得しておく事で活用できます。
また英会話教室の開業に許可や手続きは不要ですが、他業種と同じく税務署への開業届を提出する人はいます。
具体的に言うと「個人事業の開廃業等届出書」を開業後一か月以内に税務署へ提出します。
未提出でも罰則はありませんが、届出をしておく事で青色申告ができたり屋号の口座が作れたりといったメリットもあります。
税務署へ持ち込むか郵送による手続きも可能ですので、早めに届け出をするようにしましょう。
英会話教室の開業資金はいくら?
英会話教室を開業する場合、どのくらいの開業資金がかかるのでしょうか。
ここでは小規模な英会話教室を例に、簡単に開業資金をシュミレーションとして考えてみます。
開業資金内訳
- 生徒数:50名規模を想定
- 物件取得費:110万円(面積10坪/賃料11万円×10カ月。保証金・仲介料・前家賃等)
- 機材・備品:60万円(椅子・机・教材・ホワイトボード・PC・コピー機・CD・CDプレイヤー等)
- 学習教材:20万円
- 開業前広告費:20万円
- 開業前人件費:30万円(教室長1名+アルバイト2名)
- 通信費 1万円(HP製作等)
- 雑費:3万円
開業資金項目 | 金額 |
物件取得費 | 1100000円 |
機材・備品 | 600000円 |
学習教材 | 200000円 |
開業前広告費 | 200000円 |
開業前人件費 | 300000円 |
通信費 | 10000円 |
雑費・諸経費 | 30000円 |
合計 | 2440000円 |
シュミレーションでは2440000円の開業資金が必要という計算になります。(他諸費用によっても開業資金は異なります)
英会話教室の場合、大きな設備投資も必要なく、また必ずしも一等地でなければいけないという訳でもありません。
またスクールとして教材やカリキュラムを中心に進めるのか、生徒さんとのコミュニケーションを重視するのかによっても教材費や人件費が変動します。
英会話教室の開業資金としても200~400万円程度から検討することが出来ます。
また英会話教室の開業資金内訳として、特に大きいのが物件取得費(テナント)です。
英会話教室の開業場所として、以下のような方法があります。
- 賃貸テナント
- 自宅
- レンタルスペース
- オンライン英会話
レンタルスペースで借りるのであれば低資本で開業する事も考えられますし、自宅やオンラインの場合には大幅な費用削減が可能です。
またFCに加盟するのであれば加盟金やロイヤリティが発生する場合もあります。
どのような開業形態が良いのか、開業資金と照らし合わせてじっくりと検討するようにしましょう。
英会話教室の月謝はいくらにする?
英会話教室の月謝はいくらに設定するべきなのでしょうか。
これもレッスン対象者によって大きく異なります。
子供向け・幼児向けなのか・受験対策なのか・大人向け・ビジネス英会話なのかによっても異なります。
一般的な英会話教室の月謝としては、子供向けが4000~5000円程度、大人向けが7000~10000円程度が相場といった所でしょうか。
大手のグループレッスン等では1レッスン2500円~など回数制の所もあります。
また月謝を決める際には、事前にレッスン形式も決めておかなければなりません。
マンツーマンなのか・少人数制なのか・グループレッスンなのかによっても当然に人件費のかかり方が変わってくる為、月謝も変動します。
特に最近では回数制を好む生徒さんも多いようですし、マンツーマンや外国人講師でなければ嫌という生徒もいます。
月謝や回数制だけでなく、より生徒が希望する形に添う料金設定を設けてあげる方法もあります。
また大人向け英会話が比較的高単価なのに対し、子供向けは月謝も低めです。
特に最近ではオンライン英会話も伸びていますので、今後は更に価格競争が進む可能性もあります。
競合スクールが多い事や外国人講師の増加等も理由として考えられますが、あまりに収益が見込めないようであれば子供向けは断念せざるを得ないケースもあるでしょう。
周囲の教室の月謝相場や需要のあるレッスン形態を調査して、その教室に見合った月謝を設定するようにしたいですね。
英会話教室の売上は?
英会話教室の売上はどのくらいになるのでしょうか。
ここではシュミレーションとして、英会話教室開業後の売上・利益について考えてみます。
売上条件
- 生徒数:60名(月謝設定:10000円)
- 入学金:10000円(月5名の入会と仮定)
- 月商:650000円 (10000円×60名+50000円=650000円)
経費条件
- テナント賃料:80000円(面積10坪)
- 教室運営は自分+1人(教室長)
- 人件費:220000円(売上の約34%)
- 教材費等:32500円(売上の5%)
- 水道光熱費:13000円(売上の2%)
- 広告宣伝費:45500円(売上の7%)
- 通信費:10000円
- 雑費・諸経費:19000円(売上の約3%)
売上項目 | 金額 |
月謝 | 600000円 |
入会金 | 50000円 |
売上合計 | 650000円 |
経費項目 | 金額 |
テナント賃料 | 80000円 |
人件費 | 220000円 |
教材費等 | 32500円 |
水道光熱費 | 13000円 |
宣伝広告費 | 45500円 |
通信費 | 10000円 |
雑費・諸経費 | 19000円 |
経費合計 | 420000円 |
[売上合計] 650000円ー[経費合計] 420000円=230000円の営業利益となります。(シュミレーションであり実際の収支とは異なります)
英会話教室では人件費がネックとなります。
そのためグループレッスンにしても質が下がらない程度に生徒人数を調整する事や、外国人講師を雇うにしても固定ではなく数カ月に一度など来てもらう等、人件費を抑える努力も必要となります。
テナントも一等地は避け、二等~三等地を選んだり、公民館などの空きスペースやレンタルスペースを借りる・オンライン英会話の検討など、固定費を削減する工夫も必要です。
恐らく個人の英会話教室では、どの教室もギリギリの状態で経費を削りながら経営をしているのが実際のように思います。
特に新規の生徒さんが教室選びをする際には「知名度」から入る事が多く、テレビCMや広告で名前を知っている教室から覗いてみるという人が圧倒的に多いかと思います。
個人の英会話教室が競合の存在を意識しながら経営を持続するためには、生徒にそれぞれに合ったレッスン形態や良質な講師の確保など、他校との明確な違いをアピールしていく必要があります。
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英会話教室の開業で外国人を雇う注意点
英会話教室で外国人講師を雇いたいという所は多いかと思います。
英語を話せる先生が足りていない教室もあるでしょうし、日本人講師との採用方法の違いに悩む教室もあるかもしれません。
まずその講師が日本国籍でないのであれば、在留資格を得る必要があります。
また新たに海外から来日して講師として働く場合でも、就業ビザの取得が必要となるでしょう。
その為にも教室側としては雇用契約書や事業計画書の提出を求められる事もあるかと思います。
日本人と比較しても外国人講師の採用には一定のハードルが考えられますので、適切な雇用方法を実施する必要があります。
また外国人講師を雇用する際に注意をしておきたいのはコミュニケーション力です。
外国人講師と言えど、生徒とのコミュニケーションを積極的に取ろうとする人もいれば、仕事に関してドライに考える講師もいます。
特にネイティブと会話をする事を求める生徒さんも多いので、人と会話をする事が好きな講師を選ぶべきと言えます。
また外国人講師と一言に言っても、その発音に癖があるケースもあります。
特にフィリピン系などの講師の中には発音に癖がある人も中にはいるかもしれません。
このように講師毎に癖があると生徒に移る可能性もありますので、外国人講師を雇用する際には発音や訛りにも注意したい所です。
英会話教室を自宅で開業するには
英会話教室を自宅で開業する場合でも、特別な手続きは許可は必要ありません。
税務署への開業届や、マンション等の場合には管理規約等を確認して開業を検討するようにします。
また自宅開業であればテナント賃料もかからず、固定費を削減できる事も利点と言えます。
ですが英会話教室の自宅開業には幾つかのデメリットもあります。
まずは集客の弱さがある事。
大手の英会話教室では駅前や商業地など、好立地に教室を確保している所も多いです。
個人教室の場合には二等~三等地に教室を構える事が多く、その上で自宅開業となると視認性が悪かったり大きな看板を設置できない場合など、集客に影響が出る事も考えられます。
また広告を打つにしても自宅住所を公表しなければならない事もありますし、周辺住民への理解も必要です。
車で通学する生徒さんを考慮すると近場に駐車場も借りる必要がありますが、混雑すればそれも苦情に繋がる可能性があります。
また自宅開業の場合にはプライベートとの区別が付きにくい事も難点です。
英会話教室の場合には飲食店のような綺麗な内装は必要ありませんが、それでもあまりにも生活感丸出しの教室は如何なものかと思います。
自宅開業はメリットもありますが、生徒からの信頼感や立地上の利便性をカバーするための工夫が必要と言えるでしょう。
英会話オンライン教室の開業
最近ではSkypeやスマホを利用したオンライン英会話や電話での英会話も流行ってきています。
特にレッスン料の安さや、教室に行かなくても良いという気軽さが人気を博しているようです。
この手の英会話オンライン教室が経営面で力を入れているのが人件費とネット集客です。
特に講師は日本人・米国人よりフィリピン等のアジア系講師が多いというのも特徴的。
フィリピンはアメリカの植民地だった事もあり英語も公用語になっている為、流暢な英語を話す人も多くいます。
しかも日本人より圧倒的に人件費が低いので、フィリピン人等の雇用機会は今後も増えていくでしょう。
一方ではフィリピンだけではなくアメリカやカナダ等のネイティブ講師を揃えているネット英会話教室も増えています。
またオンライン英会話である為、ネット集客に力を入れているのも特徴的です。
他の英会話教室が広告やCM・チラシポスティング等に力を入れているのに対し、オンライン英会話はSEOを始めとしたオンラインマーケティングに大きく注力しています。
オンラインと対面では生徒の習熟度に違いはあるものの、今後は実オフィスで教室を展開している企業は更に苦戦を強いられるかもしれません。
英会話というのは週1や月数回のレッスンをするよりも、毎日短時間でも頻繁に耳に入れたり声に出した方が習熟度は高い筈。
いつでもどこでもレッスンを受講できるオンライン受講のスタンスは、今後も人気が高まりそうな気もします。
ですがもちろんオンラインにもデメリットはあり、生徒さんからすれば共有の学習仲間を作りづらかったり、マイク越しに聞こえてくる英語はリアルな会話とは少し違うという声もあります。
また実際の会話では、相手の表情や身振り手振り等を踏まえて会話をする事が通常ですので、オンライン上では学びにくいという生徒さんもいる事でしょう。
今後英会話教室を開業する上では、オンライン教室という選択肢は外すことは出来ません。
学習する生徒さんや自分の教室に合った学習方法を構築するようにしたい所です。
英会話カフェ開業の選択
オンライン英会話と同様に最近少しずつ話題になってきているのが、英会話カフェです。
英会話カフェはその名の通り、カフェ・喫茶店の中でコーヒー等を飲みながら英会話を楽しむといったものです。
英会話教室の生徒さんのニーズの中には、レッスン形式など堅苦しいものでなく、自由に会話を楽しみたいといった需要もあります。
その点においても英会話カフェであれば自由な時間を過ごしやすいでしょうし、店内の雰囲気も良く会話も弾みそうなイメージもあります。
多くの英会話カフェの料金設定は1時間1000円程度。
例えば1回につき同時に5名構成でグループレッスンをしたとすると、1日3時間のレッスンを実施すれば15000円程度の売上が立ちます。
一か月に20レッスンとしても、15000円×20日=300000円の営業利益が見込める事になります。
事業規模としてだけでなく、副業としても検討できるかもしれません。
ですが一点気になる事は、カフェ店内でのレッスンがお店側の迷惑行為等に該当しないかどうかという事です。
確かにレッスンともなるとある程度大きな声で話す事もあるでしょうし、周囲の利用客が気になる事もあるかもしれません。
お店側としても1~2杯のドリンクで何時間も居座り続けられる事は迷惑と感じるかもしれませんし、店内での営利活動や勧誘を禁止しているカフェであれば尚更でしょう。
そのためケースに応じてカフェ点側に許可をもらったり手数料を支払ってスペースを貸してもらう等の対策は必要かと思います。
また英会話カフェと言うからには、やはり日本人ではなく外国人講師が必要とされるでしょう。
あえて英会話カフェを選択する生徒さんは、ネイティブ講師との楽しい会話をイメージするかと思います。
人材をどのように確保するのかという点も、英会話カフェ開業時のネックと言えるのかもしれません。
英会話教室の開業まとめ
英会話教室の独立開業について幾つか挙げてみました。
今では大手スクールも廃校になる程、教室同士の競争も激しくなっています。
今後は単純な英会話のやりとり以上に、質の良いサービスが求められる事になるでしょう。
様々な英会話教室がありますが、どの教室も料金設定やレッスン内容等のカラーを打ち出して勝負をしています。
事業として継続していく事は簡単ではありませんが、今後の新しい英会話教室の誕生に期待したいですね。
それでは今日はこの辺で。
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