運転代行の開業は儲かる?資格や備品・宣伝方法についても解説

今回は運転代行の独立・開業について挙げてみたいと思います。

車で来てお酒を飲んでしまった時なんかは運転代行があれば助かりますね。

他にも空港への送迎やゴルファーのための運転代行・選挙カーの運転代行や自家用運転手のための運転代行など、様々なニーズがあります。

ただし運転代行は低資本での開業が可能であり、新規参入者が多いのも確かです。

また近年では人気職でもあるようですが、運転代行の開業時には届出や免許など必要な手続きがあります。

今回はそんな運転代行の開業に触れてみます。

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運転代行を開業するには

運転代行を開業するには、まず各都道府県の警察署へ登録をする必要があります。

管轄する警察署(公安委員会)の認定が必要であり、認定証の交付を受けた後に営業を開始することになります。

運転代行を開業するまでの流れは、以下のようになります。

①欠格要件の確認(欠格要件に該当する人は運転代行の開業はできません)

②申請書類の準備(管轄の警察署で申請書をもらえます

③警察署に申請書を提出(申請手数料12000円)

④警察署(公安委員会)の審査

⑤認定証の交付

⑥営業開始

 

なお、上記②にて「申請書類の準備」とありますが、↓以下のような添付書類が必要となります(以下は個人経営の場合)。

認定申請に必要な書類(個人営業の場合)

  1. 申請書
  2. 戸籍の謄本又は抄本
  3. 登記事項証明書
  4. 損害賠償措置が分かる書類
  5. 安全運転管理者等の選任関係書類
  6. 随伴用自動車の登録番号等記載書類
  7. 認定申請手数料(12,000円)

各都道府県によって書類に多少の違いが生じる可能性がある他、法人経営の場合には提出書類が異なりますので注意が必要です。

 

安全運転管理者

運転代行業を開業するにあたっては「安全運転管理者」を選出する必要があります。

安全運転管理者になれる人は以下のような条件を満たしている必要があります。

条件

  • 20歳以上
  • 2年以上の自動車の運転管理経歴
  • 過去2年以内に一定の違反が無い事

また併せて、営業所ごとに使用する随伴用自動車の台数により「副安全運転管理者」を選任する必要があります(下記表を参照)。

随伴自動車の台数 人数
10台以上20台未満 1人
20台以上 10台を超えるごとに1人を加算して得た人数

 

 

損害賠償責任保険

運転代行の開業には損害賠償措置を締結しておく必要があります。(事故時にお客さんの車にかけられている保険を使うことはできません)

以下の金額を最低補償額として満たしている必要があります。

  • 対人:8000万円
  • 対物:200万円
  • 車両:200万円

必要書類が用意できたら管轄の警察署に提出をするようにしましょう。

 

運転代行の開業に必要な資格は?

運転代行の開業に必要な資格にはどのようなものがあるでしょうか。

以下に必要な資格を挙げてみます。

 

普通自動車第一種免許所持者

自動車の運転免許のことです。

運転代行では、利用客の車両に随伴していくための車両が必要です。

普通自動車第一種免許所持者はこの後ろについていく車両を運転するために必要です。

 

普通自動車第二種免許所持者

利用客の車を運転する際には二種免許が必要になります。

多くの場合には運転代行の開業者がこの二種免許を持っているケースが多いでしょう。

自分が二種免許を持っていない場合には資格所持者を雇用する必要があります。

もし二種免許を所持せずに利用客の車を運転した場合には、無免許運転違反となります。

 

安全運転管理者

先ほども上記で挙げたように、運転代行業の申請には安全運転管理者を選出する必要があります。

 

運転代行で名義貸しはできる?

運転代行では名義貸しはできない事になっています。

自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律第10条

自己の名義をもって、他人に自動車運転代行業を営ませてはならない。

上記のように法律で定められており、運転代行業者は他人に名義貸しをする事はできません。

稀に資格要件をクリアできない為に他社に名義貸しを依頼する人もいるようですが、年間に行われる講習や監査から名義貸しが発覚してしまう可能性もあるようですのでやめておきましょう。

 

また公安委員会からきちんと認定を受けている運転代行業者は「認定番号」が付与されています。

そして運転代行の利用客側の車には前後に代行マークを表示する事になっていますし、代行業者の随伴用自動車にも両側面にカッティングシートやペイントによる表示が義務付けられています。

運転代行を開業する際にはこれらのルールも遵守する必要があります。

 

運転代行開業に必要な備品は?

運転代行に必要な備品としてはどのような物があるのでしょうか。

幾つか備品を挙げてみます。

  • 随伴車両
  • ステッカー
  • 行灯(あんどん)
  • 携帯電話
  • 運転代行専用料金メーター
  • メータ用ープリンター
  • HP

 

随伴車両は外観の綺麗なものであれば中古で購入しても良いでしょうし、ネット購入であればステッカーは数千円~、行灯も1~2万円で購入できるかと思います。

携帯電話は利用客からの依頼を受けるのに必要です。

HPは現在では工夫次第で無料で作成する事もできますし、メーターやプリンター等を購入してもトータルで合計10万円前後で備品を揃えられるでしょう(車両を除く)。

備品はさほど高額にはなりませんが、運転代行を開業する際には必要な物となりますので、しっかりと準備しておきましょう。

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運転代行は儲かる?売上は?

ここでは運転代行の売上をシュミレーションとして考えてみたいと思います。

各社プランに違いはありますが、最初の5キロ程度は2000~3000円位となっており、その後は+1kmごとに300円~追加といった形態が多いかと思います。

 

 売上条件

  • 客単価:3000円と仮定
  • 客数:8組
  • 台数:平均3台稼働
  • 営業時間:20:00~翌2:00
  • 月商:2160000円(1日の売上=3000円×8組=24000円。24000円×3台×30日=2160000円。

 

 経費条件

  • ドライバー人件費:1210000円(客車:時給1250円/ 随伴:時給1000円)
  • 保険:60000円
  • 通信・無線費:50000円
  • ガソリン代:160000円
  • 駐車場代:50000円
  • 広告費:40000円
  • 車両経費:20000円
  • 事務所家賃:120000円

 

売上項目 金額
1台あたり売上 720000円
合計 2160000円

 

経費項目 金額
人件費 1210000円
保険 60000円
通信・無線 50000円
ガソリン代 160000円
駐車場代 50000円
広告費 40000円
車両経費 20000円
事務所賃料 120000円
合計 1710000円

 

[売上合計] 2160000ー [経費合計] 1710000=450000円

シュミレーションでは3台の稼働で450000円の営業利益が見込める可能性があります(シュミレーションであり実際の収支とは異なります)。

 

ざっくりとした計算ではありますが、車が常にフル稼働しているとは限りませんし、効率よく稼ぐには運転中のロスも少なくする必要があります。

また実際には週末(金・土)は増員を図っている代行業者も多いのではないかと思います。

運転代行はリピート率の高い業態でもあるので、利用客に対して次回以降の利用を促す仕組み作りも大切です。

 

運転代行の宣伝・集客方法は?

運転代行の宣伝や集客方法にはどのような方法が考えられるでしょうか。

幾つか宣伝・集客方法を挙げてみます。

  • HP
  • ブログ
  • SNS
  • 地域掲示板の利用
  • 運転代行ポータルへの登録
  • リスティング広告
  • 飲食店への広告配置
  • リピーター
  • 口コミ

 

運転代行の宣伝・集客方法を考える際には、まず利用者がどのように依頼をしてくるのかイメージをしてみましょう。

一般的に利用客は以下のような経由で運転代行を依頼すると思います。

  • 飲食店の従業員の伝手や広告から業者に依頼をする
  • 友人等の以前のリピーターや口コミ経由から依頼をする
  • その場でスマホで検索をして今自分がいる場所から利用しやすい業者を探す
  • 運転代行サービスのサイト(ポータル)を利用する

 

そのため中高年世代の客層にはお店の伝手や割引カードからの集客も期待できます。

特に居酒屋との付き合いは運転代行にとっては大切ですし、他にも飲食店・ゴルフ場・ホテル・クラブ・葬儀場・バー・キャバクラ等から依頼がかかる事もあります。

また若年層はすぐにスマホから検索をかけますので、リスティング・HPやSNS経由での集客も考えられるでしょう。

 

今まで居酒屋等の飲食店との提携が中心であった運転代行にとって、今後はWEB集客が欠かせません。

ですが薄利な業態だけに、最初からあまりにも過大な宣伝広告費をかける事は得策とは言えないでしょう。

そのため地道な方法ではありますがHPやブログ等で良質なコンテンツを積み重ねて、キーワード単位で上位表示を狙っていく方法が無難とも考えられます。

 

一言に宣伝広告と言ってもそれぞれ費用対効果が異なりますので、自社にとって最適な広告が見つかるまで試行錯誤を繰り返していく必要があります。

また出来ればアルバイト等でも良いので他社での運転代行の経験を積んでおけば、そこから集客方法を掴めてくる事もあるでしょう。

 

運転代行で起こるトラブル

運転代行業にはコミュニケーション力やトラブル対処力が求められます。

特に顧客は酔客相手の事が多いため、対人スキルが求められます。

車両に傷がついたとか汗やタバコの臭いがついた等トラブルは日常的に起こります。

併せて車両やタイヤの大きさ・トリプルメーターやタイヤの空気圧によって同じ距離を走っても距離が毎回異なるケースも多く、常連の客が付いている場合にはその辺りの説明の徹底も必要です。

 

また随伴で前には利用客の車が走ることになるため、その車との連携も大切です。

車間距離を保ちながら追突や信号無視等をせず事故を起こさないように注意して運転をしなければなりません。

合間を見て日報を書いたり無線に応答するといった雑務もありますし、特に運転代行では通った事のない慣れない道を運転する事になりますので、運転に自信がある人に向いています。

また仕事は夜が中心となるので睡魔との戦いもありますし、スムーズに次の仕事が入る日ばかりではないので効率よく稼げない日もあるでしょう。

運転代行を開業する際には、運営方法を慎重に検討する必要があります。

 

運転代行の独立開業まとめ

運転代行の独立開業について幾つか挙げてみました。

運転代行は参入しやすい為、新規開業者が多すぎるのも事実です。

また事故のリスク等を考えても、代行業でまともに利益を出していくには集客への様々な工夫が必要となります。

飲酒運転等を考えると運転代行は社会貢献度の高いビジネスでもありますが、事業として考えた場合には今後は他社との明確な差別化が必要になってくるでしょう。

利用客のニーズを汲み取り、自分なりの集客方法を考えていきたいですね。

それでは今日はこの辺で。

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