とんかつ店の独立・開業・稼ぎ方

とんかつ店の独立・開業・稼ぎ方

 

今回はとんかつ店の独立・開業・稼ぎ方について書いてみようと思います。

今や日本人の舌に馴染みのあるとんかつ。とんかつという名前の由来は豚肉のカツレツから

来ているそうです。街中の百貨店やデパートの中に構える大手とんかつ店から街中で個人店舗の

とんかつ店まで様々な店舗がありますね。

とんかつ店を開業するには一般の飲食同様、食品衛生責任者資格が必要な事と併せて保健所への

届け出も必要です。もちろん個人でも開業可能です。

とんかつ店の特色としてはまず他の飲食と比較すると客単価が多少高めな事が挙げられるかと思います。

とんかつ店で食事をすると1000~1500円は当たり前。もちろん単品ではなく味噌汁やご飯・

キャベツの千切り等と併せて提供される事もありますが一食あたりの単価としては高めです。

内訳の原価としては35~40%が一般的。飲食の部類では若干高めの原価に落ち着く事が多いかと

思います。とんかつは主に豚肉や小麦粉・パン粉・卵・小麦粉・キャベツ等が材料になります。

大手等は大量仕入れをしている為に単価は下がりますが個人店舗では上記の材料全てで350~400円

前後の原価がかかっているかと思います。特に肉はその品質自体がそのままとんかつの味として伝わって

しまう為、どうしても高原価になってしまう傾向があります。原価を落とす事も出来ますがそれは

肉の品質を一定レベル以下に落とすという事。これは客離れを引き起こす可能性があり逆効果になる

恐れがあります。高い価格でもとんかつ屋が集客できるのはやはりとんかつ自体が手間のかかる調理

だという事。一般家庭で手間のかかる揚げ物をする事は減っていますし調理自体も油ものは面倒なものです。

またとんかつ店で提供される食材というのは肉以外にも大きく味や食感を変えるのがパン粉です。

例えばお馴染みのとんかつ店の和幸であればパン粉は別注でパン工場にて製造依頼しているとか。

その特別な水分量が多いパンを粗挽きにし決まった作業手順で丁寧に手の平と指で肉にパン粉を

つけ揚げていくという拘りがあります。個人の店がここまでやる事は難しいものです。

 

またとんかつ屋が難しいのはメニューでの差別化が計りずらい事。他の飲食であればバリュエーションに

富んだメニュー構成を組む事は難しい事ではありません。そば屋であればざる・きつね・かけ・たぬき・

天ぷら等様々なメニューを組む事が出来ますが、とんかつは単品そのものです。その為とんかつ以外の

サイドメニューを充実させたり串揚げを併せてメニューに追加する等、メニュー構成にも工夫をする必要が

あります。

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またとんかつは食事としては油を使用する比較的重めの食事の為、毎日は食べたいとは思わないのが

普通です。回転率自体は悪くはありませんがランチと夜時間帯しか多くは集客が望めない傾向があります。

来店頻度が低い事を考慮するととんかつ店は住宅街等で営業をするよりは繁華街など無差別に人通りが多い

テナントで営業をする事が必須となってきます。また賃料次第では商業施設等も候補地に入ってくるでしょう。

また回転率や廃棄ロスを考えればとんかつは揚げ置きをしている店舗も多いはずです。ですが長時間揚げ置きを

していると食感や味に影響してきます。時間帯別に揚げ置きの調整や揚げ方自体にも工夫が必要と言えそうです。

またとんかつ自体がヘルシーとは言えずカロリーを気にする女性客の取り込みにも苦労はあるかと思います。

とは言え肉の厚みを安易に薄く変えるとボリューム感が無くなり男性客さえも取り逃しかねません。揚げ方の

工夫や野菜を利用した串揚げ等、ヘルシー感の追求やバリュエーションを増やしていく事でイメージから

女性客の取り込みを検討したい所です。

またとんかつはアルコールとの相性もあまり良くない為、立地次第では夜間帯の利益率を押し下げる傾向が

あり、その分テイクアウトの充実や利益率の高いメニュー開発等が求められてきます。

調理に関してはどのとんかつ店もさほどの調理技術は求められていないのが一般的です。厨房設備もさほど

多額の設備投資を必要とせず仕込み自体も大きな労力を割かない・またオペレーションが均一なので

指導次第でアルバイト等でも調理が出来、人件費も大きくはかかりません。人件費20%程度で回せている

とんかつ屋も多いでしょう。夫婦+アルバイト1人位で営むのであればそれ以下に抑える事も可能です。

オペレーション自体もシンプルですしフライヤー操作等も難しいものではありません。

全体的に言えばとんかつ店は賃料と原価は多少高めに設定する必要がありますが人件費はやり方次第で

抑えていく事が可能です。賃料をコントロールする事は中々難しい所ですが原価自体は店舗数を増やしていき

仕入れルートを拡大し大量に仕入れコストを抑える・肉を限定する・とんかつ以外のメニューを充実させ

売上げを底上げをする等で下げる事は検討できるかと思います。

外食大手でもその傾向は顕著で特に松屋フーズが展開する松のやは最近でも店舗を大きく拡大しており

またとんかつが500~600円で食せるとだけあって、集客も伸びているようです。今までの牛丼肉の

仕入れのノウハウが活かされており、大手ならではの価格設定になっています。また他でもファミレスで

安価なとんかつ定食を提供する等、今までの高価格のとんかつのイメージを払拭し男性客だけでなく

女性客の取り込みにも成功しています。今後個人店のとんかつ屋が勝負していくにはやはり素材という事に

なるのでしょうか。とんかつというのは衣でシンプルに揚げるだけの調理である為に素材の味がダイレクトに

顧客に伝わる料理かと思います。それだけに素材の良さを顧客に伝えやすい反面、悪い素材を使えば顧客

からは簡単に悪評が付きやすい料理とも言えます。とんかつと一言で言っても提供の仕方により奥が深い

ものなのかもしれませんね。それでは今日はこの辺で。

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