固定客(リピーター)を作るには?
固定客(リピーター)を作るには
今回は固定客の作り方について挙げてみたいと思います。
長い間商売を続けていく上で、毎月の利益確保に欠かせない存在となるのが
固定客の存在。どんなに一見や新客を増やした所で、固定客が増えなければ
いつまでも売上や客数は安定しません。どの店でもリピーターの重要性は理解
しているつもりでも中々難しい所。今回は改めて固定客作りの基本的な方法について
触れてみたいと思います。
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なぜ固定客(リピーター)が必要なのか
それではなぜ固定客が必要なのでしょうか。
やはりまず利点として挙げられるのは売上・利益が安定しやすくなるという事です。
固定客が毎月何%程度見込めるかという事が分かる事により売上予測も立てやすく、
毎月の売上変動幅も少なくなります。またライバル店の出店や季節的要因・景気動向など
売上が変動する理由には様々なものがありますが、自店に固定客が付いていればその影響も
ある程度は限定的。自店に定着したファンが付くという事はその店の売上の土台を作ってくれる
ようなものでもあります。もちろん店主も精神的なゆとりを持って経営に取り組めるでしょう。
また固定客が付く事によりそこから波及する口コミ効果も期待できます。例えば飲食店
であれば固定客がその友人や家族を連れて来店してくれるケースもあるでしょうし、
飲み屋であれば会社の同僚を連れてきてくれるかもしれません。一度固定客が付けば
そこから芋づる式に顧客の輪が広がっていく可能性があるという事です。
また一見や新客というのは一般的には「様子見客」です。始めて来店したその店で
多くのお金を使おうとする顧客はあまりいません。例えばラーメン屋であればまず
スタンダードなラーメンを頼んで、美味しいと感じ何度も来店していく内に他のメニューや
トッピングを追加して食べてみたくなるのが通常です。その店の味やサービスに信頼を持った
固定客だからこそ安心して大きなお金を落としてくれるものでしょう。
また固定客が増える事により、新規顧客に対しての広告宣伝費も多くの予算を割く必要が
なくなります。日々の必要売上額の割合が固定客で多くを占めるようになれば、その分の
広告費も少なくて済みますし、また前述したように固定客からの口コミ効果も期待できるので
広告媒体を使用した宣伝費も多くを割く必要がなくなります。マーケティング面からすれば
新規顧客を捕まえるコストは固定客を維持するコストの4~5倍かかると言われています。
また新規顧客→固定客にならない限り、ずっとその集客努力や広告をし続けなければなりません。
固定客を大切に維持し続け、少しずつその輪を広げていく事が「売上を作る」という事に
他なりません。
逃げた固定客を取り戻すのは難しい
地道な広告や努力が実を結び、固定客が順調に増えていったとします。
売上の大部分がリピーターに支えられるようになると、店主にも心の余裕が生まれてくる
ものです。またはその店が繁盛しているのは顧客のおかげであるという根底を忘れ、自分の
経営手腕に酔いしれてしまう人もいるのかもしれません。もしくは更に売上を伸ばしたいと
固定客への気遣いはおろそかにし、新規客開拓にばかり力が入ってしまう人もいるでしょう。
ですが一度気を抜くと知らぬ間に固定客はよそへ逃げていきます。固定客というと聞こえは良い
ですが、頻繁に来ているだけに店の内情や店主の性格・店の味など誰よりも知っているのが固定客
であり、店のちょっとした変化に敏感なのも固定客です。
最初のうちは数%の失客であまり気にも留めないものですが、徐々に固定客の姿が見えなくなる
に連れ、段々と店主にも焦りが生じてきます。固定客が求めているのはその店舗への「安心感」
「信頼感」といったものであり、固定客であればあるほどその店にとって「特別な存在」
「自分という顧客を大事にしてもらいたい」と考えているものです。既に固定客なのだから
気遣いなどしなくても逃げてはいかない、などと考えているのは店主だけです。
ですが一度信頼を失った固定客を取り戻すのには、新規客を捕まえるよりも数倍大変な事。
また固定客を失うという事は、その固定客を再度呼び戻す努力だけでなく、新規客を捕まえる努力
も平行して行っていく事になるのでなおさら大変です。
固定客=集客努力をしなくて良い顧客ではありません。むしろ固定客に対してこそ今まで以上に
自店への満足感や好感度を常に追及していくべきと思います。
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固定客を作るには?
それでは固定客をつくるにはどのようにすれば良いでしょうか。
まず考えておかなければならない事は固定客と新規顧客の扱いの違いという点を意識
する必要があります。日常の様々な場面において「平等」という言葉はどちらかと言うと
ポジティブなイメージで使われる言葉ではありますが、固定客と新規顧客を「平等」に扱う
という事は経営においては間違いであるとも言えます。固定客は当然にその店に何度も通って
いている常連であり、店に対しての貢献度も新規客とはまるで違います。固定客にはそれ相応
のサービスや対応でもてなすのが当然であり、固定客からしても、その店の常連であることに
満足感を感じる事でしょう。そのため固定客作りには、その店の固定客になった時のベネフィット
(利益)を分かりやすく提供してあげる事が大切になってきます。
どの業態でも既に行っている事ではありますが、ポイント制やクーポンを発行する
事は固定客を作っていく上でまだまだ有効です。当然にポイントが貯まっていけば
顧客は自然とその店に足を運ぶ事もありますし、お得感もあります。またそのポイント
利用が自店だけではなくそのエリアや商店街など他の店舗でも利用できるような仕組み
作りをする事も効果的でしょう。またクーポン券利用時には券の裏面などに名前やメール
アドレス等の記載をして頂くようにしておけば同時に顧客情報も入手できる事になります。
また業態によって1日のうちにアイドルタイムがある程度決まっている場合には、その時間帯
に来店する事で優遇割引を受けられるようなサービスをしても良いでしょう。また固定客作り
に大切な事は顧客との「接触」です。いくら長年通ってくれている客とは言え、3か月に1度しか
通ってくれない客であれば、もう少し接触期間を短縮する事も考えておきたいもの。例えば
上記のクーポン等に「配布日から1か月以内にご来店の場合」等の期限を設けてあげる事で
来店頻度にも多少は影響が出てくるかと思います。
多少強引な方法に見えるかもしれませんが、店舗システム自体を会員制や登録制にして
しまうといった方法も考えられます。店のシステム自体を一定の会員しか受けられない
サービスと限定する事で、常連客からすれば特別なサービスを受けているかのような
感覚を持つ事もあります。確かに原則からすれば日々良いサービスや良い商品を提供
していれば固定客は自然と付いてくるというのはその通りなのですが、それだけでは固定客
作りの仕組みとしては弱く、それを後押ししてくれるのが会員制や登録制のシステムです。
会員制や登録制にするメリットは固定客作りだけではなく、「質の良い顧客」が集まるように
なるといった利点があります。ターゲットを高所得者層に限定したビジネスモデルをよく
見かける事はありますが、例えば高級クラブなどの紹介制・会員制の店などは、紹介者にも
自分の立場があるため、品の悪い客やマナーの悪い客はあまり寄り付かず、質の良い顧客で形成
されていく傾向があります。またその結果として苦情等が発生しにくいといったメリットや、
購入単価が上がりやすい事・顧客間同士で質の良い顧客を紹介し合うといった好循環が生まれて
いく可能性もあります。
これも当然と言えばそうなのですが、やはり小規模な個人店が大手などを相手として戦って
いくには自店の独自のカラーをはっきりと打ち出していく事が正攻法になります。
また固定客を生んでいく為にはまず自店がどのような店なのかコンセプトを明確にする必要があり、
そのコンセプトに共感を持ってくれるターゲット顧客に向けて、最善のサービスを提供していく
事が、固定客作りの基本とも言えるかと思います。
なぜその店の常連客になったのかという事を固定客の立場で冷静に考えてみると、やはりその店の
居心地が良かったり、自分を大事にしてくれる・その店に行くと気持ちが落ち着くといったように、
その店に対してちょっとしたファン心理のようなものが働いている事に気付きます。
最初は確かにクーポンや知り合いの誘い・広告などが来店動機であったとしても、最終的には
その店のコンセプトを含めた雰囲気や店主の性格・集まる常連客同士の輪などが理由となって
長年その店に通っている事が多いのではないでしょうか。自店がどのような人に来店してもらいたい
店なのかという事を店側から発信する事も大切な事です。
メニューは豊富にあるけれども無難な味の料理が並ぶ店と、メニュー数は少ないけれども
この店でしか食せない料理がある店とでは、当然に後者の店のリピーターが付きやすいという
事は言えるかと思います。餅は餅屋ではありませんが、「この料理ならあの店」「この商品
ならこのエリアではあの店が1番」といったように自分の店の専門性や、特別な商品力を持たせる
事は固定客作りに繋がっていきます。
メニュー数を豊富にすれば多くの顧客が寄ってくるかと言えばそれは間違いです。
例えば飲食店にしてもメニュー数を多くしても大抵は20~30%の品目に注文が集まり、
その他の70~80%の品目に関してはたまに注文が入る程度。それでもメニューに載せている
限りはそのオーダーには応えなければなりませんし、食材も揃えておかなければなりません。
またメニュー数が多ければ調理も煩雑になりオペレーションコストも増加しますし、食材の廃棄率
も上がっていきます。メニュー数を最初から豊富にするよりは、むしろ1つのメニューや商品
に対して地域1番店になる事を考えて、メニューや商品構成を検討していった方が良いでしょう。
常連客というのはその店に対して自分なりの想いや考えを持っている事が多いものです。
それこそ口には出しませんが、「開店当初から通っている貴重な客」「常連だからこそ特別な
扱いを受けている」といった想いを心の底には持っているのかもしれません。
店側としてもそのような想いを汲み取り、特に常連客には一般客とは異なる対応やサービスを
意識しておく必要があります。
特別感という意味では、特に女性客の場合にはその傾向は顕著で、自分だけにしてくれた
サービスや、特別な日に渡された贈答品など、やはり良い印象を持ってくれます。
これを固定客作りに置き換えてみると例えば顧客の誕生月にバースデイカードの送付や、
初来店日から1年毎のお礼状の送付・定期的なクーポンチケットの配布や、キャンペーンの
DM送付・固定客だけへの新しいサービスの無料配布・飲食店であれば常連だけの裏メニュー
提供など、固定客だからこその利点を定期的に示してあげる事で固定客に特別感を持たせて
あげる事は大切です。
幾つか固定客の基本的な作り方について挙げてみました。上記だけでなくリピーターの
作り方はその店それぞれではありますが、やはり決め手となるのは居心地の良さ。
顧客がどのような商品を求めているのか・どのようなサービスに対して居心地の良さを
感じてもらえるのかといった事を、普段からアンテナを張っておく事は大切ですね。
今回は固定客(リピーター)を作るには?について挙げてみました。
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