おでん屋台の独立・開業・稼ぎ方
屋台の種類
今回はおでん屋台の開業・稼ぎ方について書いてみようと思います。
冬になるとおでんが美味しいですね。最近ではコンビニのおでんも美味しくなり本格的な味が
家庭でも楽しめるようになってきてます。大根・卵・こんにゃく・餅巾・昆布・しらたき・ちくわぶ等々
どれも美味しくて迷ってしまいます。最近では屋台が減ってきており道路使用許可の問題や近隣からの
クレーム等、営業しやすい場所の確保も難しくなってきています。屋台を大きく4つに区分けすると
移動営業車・食品営業自動車・臨時営業・食品移動販売車に分ける事ができます。移動営業車は
いわゆる引車(屋台)ですね。よく見かけるおでん屋台などはこれに該当するでしょう。食品営業自動車は
たこ焼き屋など車の中で調理するものです。臨時営業は縁日なんかで出る出店ですね。食品移動販売車は
場所を日毎に移動して食品を販売する車です。アイスクリーム販売などで見かける事があります。
屋台で食品を販売する場合は当然生ものはNGで調理過程が簡単で火を通した物が前提になります。
また車に積んで販売する場合は法の許可を受けた施設であらかじめ仕込みをしておく必要があるなど
幾つかの制約があります。特におでん屋台などで使用するリヤカーで販売できる食品は限られており
生ものや生クリーム等は扱えない事になっています。また車で屋台をするには8ナンバーの取得も必要になります。
食中毒など起こせば営業停止だけではなく賠償責任を問われる可能性もありますので必ず保健所の許可を受けて
販売するようにしましょう。
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屋台の開業費用は?
屋台で開業するメリットとしてはやはり初期コストがあまりかからないという事が挙げられます。
店舗を取得し開業しようと思えば数千万のお金が必要になるケースもありますが、屋台の場合には
車(リヤカー)の取得費・什器備品・車の改造費・材料仕入れ代金・ガソリン代・自己の生活費程度で開業
できますので大幅にコストを削減できます。また立地による売り上げの増減を見て立地を容易に
変更できる点も屋台の魅力の1つでしょう。リヤカーの場合でもネットオークションや知り合いから
取得できる場合もありますし価格も8万円程度~とたかがしれたものです。
車の改造等も板金工場などを何か所かあたって相見積をとり一番コスパが良い所を選択しましょう。
業種によっても異なりますが屋台の開業資金の目安は200~300万円位が一般的です。
車の取得費が50~150万(中古で十分です)・改造費が80~120万・調理機器設備費が5~30万・
その他諸経費や生活費を見積もっておおよそこの位の金額に収まることが多いように思います。
改造費についてもどこまで工場に依頼するのかで大幅に費用が異なります。
例えば設計から全てプロに任せるとその分コストがかかるので設計図面は自分で用意しボディやフレーム・
仕切り等メイン部分等は工場に任せなければならないとしても他の細かい設備はホームセンター等で自前で
用意する事により大幅に改造費を低くする事が出来ます。工場側とよく相談しながら進めるようにしましょう。
特におでん屋台などは中古で廃業店のものを利用させてもらえば10万~20万で入手できる場合もあります。
また購入するのが面倒な人はリースを検討してもよいでしょう。大体5000~8000円/日のリース代で
借りられるものが多いはずです。
おでん屋台の集客
実際に将来的に店舗を取得して飲食店を始めたいと考えている店主の中にはまず屋台から始め
コツコツとお金を貯めている人が多いように思います。屋台商売に向いている適正があるとすれば
人と話すことが好きな人でしょう。屋台という小スペースで商売をするからには目の前のお客さんとの
会話は欠かせません。また人通りの多い大通りに屋台を開業したにも関わらずお客さんが入っていない
屋台を見かけることもあります。理由としては店舗より屋台は入りずらいという認識があるという事・
屋台のお客さんは常連客がほとんどであるという事があげられます。そのため一度その屋台に入り
おでんも美味しく店主とも気が合えばまたその屋台に来たいというお客さんがいる反面で、一度機会を
逃してしまえばそのお客さんはそれ以降来ないという事もあり得るでしょう。屋台の店主は商売癖というか
一度その屋台に来た客の顔はずっと覚えている人が多いものです。顔を覚えていれば再来店した際にも
話がスムーズに展開しやすくなるからです。また屋台をやっている人に言わせれば「屋台は最初は売れない」
という話をよく聞きます。1~2か月ほとんど売り上げ無しなんて事も珍しくありません。
確かに味だけで勝負している屋台も中にはあるのでしょうが、長く商売を続けるにはやはりコミュニケーション力は
欠かせない要素になってくるでしょう。いえ、コミュニケーション等と大それたものではなく気軽に楽しく会話が
出来るという誰でも一般的に備わっている習慣があれば問題はありません。
仕込みと家族の協力
また屋台商売はできれば家族の協力を得られればそれに越した事はないでしょう。営業時のオペレーションも
さることながら、おでんの仕込みも割と時間はかかります。たしかに材料を買ってきて自分で全て作れれば
安上りになりますし粗利も高くなりますが仕込みと営業時間を1人でやるとなるとかなりの重労働です。
おでん屋台は夜から深夜にかけて営業しその前の仕込み時間も1人でやるとなると体を壊します。
もし1人で開業するのであれば知り合いのおでん屋台をやっている店主と具材を分担して仕込みを行うとか
味を信用できるおでんダネ専門店や惣菜店から仕入れるとか工夫を凝らして営業を継続していかなければ
なりません。また先述したように屋台で仕込みを行うことは出来ないので、仕込み場は家族が担当し
屋台は店主が仕切るといったような分担作業が望ましいと言えるでしょう。
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売り上げと具材・ダシ
またおでん屋台の売り上げに関していえば1日25000~30000円の売り上げは欲しい所。
月商は55~70万円としても具材原価が3割としてそこから経費・リース代を除けば25000が限界ラインかと
思います。人件費はほぼかからないとしても公道ではなく駐車場や私有地で賃料を支払って営業するのであれば
利益は尚更シビアになるでしょう。
客単価が2000円として1日に12~15名のお客さんをさばく事は簡単なようで難しいもの。
また屋台では滞在時間も比較的長くなるため当然回転も良くありません。おでんだけではなくお酒の提供や
可能であればサイドメニューの提供も含めて客単価を上げたい所です。またおでん屋台は季節的にも
夏以外はほとんど営業している所が多いので特に冬場は稼ぎ時です。また具材によって廃棄率が
異なり長時間置くと餅巾着は袋が破けたり卵は外側が変色したり大根は食感が損なわれたりと具材によって
廃棄しやすいものは仕込みの量を調整する等の工夫も必要です。
またご存じかと思いますがおでんの生命線は大根と卵である事はどのお店でも共通かと思います。
これらはどちらもダシを吸う具材です。当然にダシを出す具材(昆布・ちくわ・さつま揚げなど)と
バランスよく鍋に配置する必要があります。最初から一緒に煮込んでいる屋台もあれば別々に煮込み
ダシが出る具材から出たスープを丁寧に吸う具材に何回もかけながら鍋を完成させる店主もいます。
また具材の価格に大きな差が無ければ当然に原価率の高い具材から売れていきます。鍋の具材の配置や
具材ごとの価格差は日々の販売数を考慮しながらそれぞれ綿密に考える必要があります。
おでん屋台によって味は様々であり最初は弟子入りしてどこかの屋台で教わったとしても、次第に店主の
味が確立されてくるはずです。オリジナルの味の追及は忘れないようにしたいですね。
開業立地と道路許可
次に立地の確保になりますが屋台によって適している場所は異なります。ランチタイムに売り込むお弁当等
であればオフィス街が適している場合もありますし夜だけの営業であれば駅近・オフィス街・繁華街などが
候補に挙がるでしょう。当然おでん屋台も人通りの多い特にサラリーマン等が集うエリアに出店をする
ことがベストかと思います。また重要な事は一度出店場所を決めたらしばらく場所を変えないことです。
先述したように屋台は開業当初は見向きもされない事がほとんどです。またお客さんは帰宅途中などで
何度もその道を通っています。そうすると何度かその帰り道でその屋台を見かけるうちに「試しに1回入ってみようか」
という来店動機に繋がるパターンが多いように思います。数か月経つとちらほらお客さんが入り始めるので
それまで辛抱強く営業を継続するようにしたい所です。
また屋台を開業していて避けては通れないのが苦情・クレームの類です。中には何度も近隣住民や警察から
苦情を受けて退店を余儀なくされた屋台も少なくありません。またその筋の人から場所代(ショバ代)を
かすめ取られた人もいるでしょう。私有地の営業であればほぼ問題はありませんが公地であればトラブルに
なる可能性は十分にあります。またおでん屋台となればお酒を置く事が多く酔っ払い等の騒音や
通行の妨げ・臭い・煙・ゴミ処理の問題なども対処しなければなりません。
また道路上で屋台営業をすることは通常は禁止されています。しかし実際には多くの屋台が営業している
のも事実。通常は公道で屋台営業をする場合には警察署に道路使用許可の申請をします。しかし申請を出した
からと言って警察は許可はしないでしょう。しかしあらかじめ申請をしておくのとそうでないのとでは
雲泥の差があり、屋台などのように数時間の営業であれば実際には警察もおとがめなしで済ますケースが多いように
思います。また暴力団関係者からの嫌がらせに関しても警察署の暴力団対策室に挨拶をして事前に営業する
旨を説明しておいた方が良いでしょう。もちろん警察から移動指令があった場合には速やかに移動しなければ
なりません。屋台営業はそれだけ柔軟な動きも求められるという事は言えるかと思います。もちろん危ない橋を
渡るよりは始めからどこかの空き地や私有地・商業施設駐車場などを借りて営業したほうが良いのですが
土地賃料を支払って経営が成り立つほど屋台は稼げないというのも事実です。周囲の了解が比較的
得られやすく比較的集客が見込めそうな場所を粘り強く探したい所ですね。
おでん屋台の開業について簡単に書いてみました。まだまだ寒い日が続きそうなこの時期ですが
街のおでん屋台がひとつでも復活していく事を期待したいですね。それでは今日はこの辺で。
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